お金に関する知識をゲームで学ぶ「クエスト・オブ・ファイナンス」。SMBCグループが目指す金融経済教育の未来

ゲームの世界でミッションクリアを目指しながらお金に関する知識を学べる、教育機関向け金融経済教育教材の「クエスト・オブ・ファイナンス~勇者の武器はお金の知識~」。この教材は三井住友フィナンシャルグループ、SMBCコンシューマーファイナンス、三井住友銀行が、「世界の優秀な教員10人」に選ばれたこともある教育のプロ 立命館小学校教諭 東京大学客員研究員 正頭英和先生と日本初のプロマインクラフターであり東京大学大学院 客員研究員、常葉大学 客員教授を務めるタツナミシュウイチ先生、株式会社SCRAPとともに開発を進めました。現在は、小学校~大学まで全国で多くの教育機関に導入されています。

「クエスト・オブ・ファイナンス」は、プログラミング教育・情報教育・共同学習などの教材として教育現場で活用が進んでいる「教育版マインクラフト」にて使用できるワールドデータであり、学校関係者はホームページから無料でダウンロードが可能です。プレーヤーは大魔王を倒すのに必要な伝説の剣を購入するため、ゲームの制限時間内で必要なコインを集めるという設定です。

SMBCグループが金融経済教育に力を入れる理由、「クエスト・オブ・ファイナンス」の開発経緯と今後の展望について関係者に伺います。

今回はインタビュー前に、正頭先生が勤務する立命館小学校の6年生を対象にした「クエスト・オブ・ファイナンス」の体験授業に潜入。

ゲーム前には簡単なレクチャー動画を流し、生徒全員にコインを集めるコツやヒントを記載した「勇者新聞」が配布されます。

勇者新聞

生徒たちは「勇者新聞」を読み解きながらゲームを進めていきますが、ヒントどおりに手堅くお金を稼ぐ生徒もいれば、投資を楽しいと考える生徒もいて、プレイスタイルはさまざま。中にはゲーム内で詐欺などのお金のトラブルにあってしまう人も。わずか30分のプレイですが、小学生にもなじみのある「マインクラフト」をベースにしているせいもあり、生徒たちはすぐにゲームの仕組みを理解して夢中になって取り組んでいました。

授業を受ける生徒たちの様子

金融経済教育のハードルを下げ、幅広い世代にお金の教育を

ーーSMBCグループは金融経済教育の重要性をどのように考えていますか?

加藤

SMBCグループは中期経営計画で「社会的価値の創造」および「経済的価値の追求」「経営基盤の格段の強化」という目標を掲げています。社会的価値の創造の一環として金融経済教育を重要視しており、グループを挙げて取り組んでいる最中です。私は三つの理由からお金の教育が重要だと考えています。まず、人生100年時代といわれる現代は、かつてのように一つの会社に定年まで勤め上げ、年金をもらって老後を過ごすというライフスタイル以外の生き方も可能な時代です。複数の会社で働くのはもちろん、起業したり、社会貢献活動に取り組んだりとさまざまです。自分のライフスタイルを実現するために、お金の知識は欠かせません。

二つめは年金問題です。これからの時代は誰もが十分な年金がもらえるとは限らないので、将来の資産形成を若いうちから計画的に行う必要があります。そのためにも金融リテラシーは欠かせません。三つめは金融トラブルの増加です。成人年齢が18歳に引き下げられ、10代のうちからいろいろな契約が可能になりました。結果として、アルバイト詐欺や投資詐欺の被害が増えてしまい、それらのトラブルを回避するためにもお金の教育は必要と考えています。

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 執行役員 お客様サービスプラザ担当

兼 社会的価値創造推進部副担当 加藤 博史氏

ーー「クエスト・オブ・ファイナンス」を開発した理由を教えてください。

伊藤

お金の勉強というと難しそうなイメージを持つかもしれませんがゲームを通じてだと抵抗なく受け入れられる人も多いと思います。私たちは2011年度から学校への訪問授業を行ってきましたが、教育現場で活用が広がっている「教育版マインクラフト」を利用することで、幅広い世代にお金の勉強に興味を持ってもらえるのではないかと考えたのが開発のきっかけです。振り返りの教材も作成しており、ゲーム内で起きたことが実生活のお金にまつわる出来事とどのように結びついているかの気付きを得て、より深い学びへと繋げていくことが可能です。

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 社会的価値創造推進部 主任 伊藤 寛孝氏

ーー開発にあたりどのような点にこだわりましたか?

正頭

これまでもカードゲームやボードゲームを活用した金融教育の事例はありましたが、私の知る限り「マインクラフト」×金融教育という掛け算は初かと思います。「マインクラフト」は幅広い年代にプレイされている世界規模で人気のあるゲームで、遊んでいるうちにお金の知識を身につけることができます。「金融教育の最初の入り口をずらす」という意識をもって開発にあたりました。

立命館小学校教諭 東京大学客員研究員 正頭 英和氏

伊藤

「クエスト・オブ・ファイナンス」は正頭先生をはじめ、その道の第一人者の方々が得意分野を活かして開発に臨んでいます。例えば勇者新聞・解説の書はリアル脱出ゲームで有名な株式会社SCRAPが制作しており(※「リアル脱出ゲーム」は株式会社SCRAPの登録商標です)、大人でも楽しめる内容になっています。またタツナミ先生が監修したマイクラワールドはその世界観に惹きこまれます。ぜひ多くの子供たちにこのゲームのワクワク感をお届けしたいです。

「お金の教育」の解像度を上げる

ーー教育現場はこの教材をどのように授業に取り入れていけば良いでしょうか?金融や「マインクラフト」の知識はどの程度必要でしょうか?

正頭

実は僕は「マインクラフト」の知識はほとんどありません。基本的には最初のレクチャー動画を流して生徒に遊んでもらうだけなので、極端な話、教卓に座っているだけでも大丈夫です。パソコンのスペックやネット環境、アカウントの取得などは必要ですが、導入のハードルはほとんどありません。金融や「マインクラフト」の知識が先生になくても、生徒たちと一緒に学ぶくらいのスタンスで導入いただければと思います。今回の授業は6年生が対象でしたが、僕の肌感覚では3年生以上であれば大丈夫かと思います。

ーー金融経済教育を広めていく中での学校における課題感はなんでしょうか?

正頭

お金の教育に対する解像度が低いことです。たとえば、算数が得意、国語が得意などとはいいますが、道徳が得意とはあまりいいません。それは、道徳とは正しく身につけておくもので、概念だからです。お金についても同じで、多くの日本人が抽象的な概念としてお金を捉えているかと思います。そうではなくて、「お金について学ぶことはスキルを身につけること」という認識に変われば、より多くの学校と先生に受け入れられるのではないでしょうか。より分かりやすいように解像度を上げていかないと、なかなか学校の授業として定着はしないでしょう。

ーーゲーム教材を用いることで、子どもたちにはどのような影響が期待できるでしょうか?楽しみながら学ぶことを経験した子どもたちは、どんな将来を迎えるでしょうか?

正頭

まず、「クエスト・オブ・ファイナンス」で人生が変わるということはありません。けれども、このゲームを通して子どもたちにお金に興味をもってもらうことは可能です。今はスマホがあればYouTubeやTikTokなど、いくらでも楽しいコンテンツがあるのに野球に夢中になる子どもがいます。それは野球が楽しいからです。野球が好きだから野球を始めるのではなくて、野球をやってみたら楽しくて夢中になる。「クエスト・オブ・ファイナンス」は、その「始める」という最初の一歩のハードルを大きく下げた画期的なプロダクトだと思っています。そこから続く2歩目、3歩目というステップが子どもの人生を大きく変えるかもしれません。

「クエスト・オブ・ファイナンス」を活用した金融経済教育を全国に広める

ーー「クエスト・オブ・ファイナンス」の今後の展望について教えてください。

伊藤

より広く、先生方に「クエスト・オブ・ファイナンス」を知っていただきたいと考えています。教育関係者向けのイベントへの出展や、各地の教育委員会へのお声掛けも進める予定です。将来的には「金融教育といえばまずはクエスト・オブ・ファイナンス」というような、お金について学ぶ入口としてのスタンダードな教材として想起されることを目指しています。

加藤

金融経済教育の機会を全国的に拡充していくことを目的とした団体J-FLEC(金融経済教育推進機構)が今年4月に設立されました。今後はより一層官民一体で幅広く国民の皆さまへの金融経済教育提供が求められるでしょう。SMBCグループは金融経済教育セミナーも各地で実施していますし、クエスト・オブ・ファイナンスを入り口とした金融経済教育をパッケージングして全国に広めたいと考えています。

解説の書

※MinecraftはMicrosoft社の商標です。また、本データはMicrosoft社及びMinecraft開発社のMojangStudiosの承認を得ているものではなく、公式として提供するものではありません。

【プロフィール】

立命館小学校教諭 東京大学客員研究員

正頭 英和氏

京都市公立中学校、立命館中学校高等学校を経て現職。Minecraftを活用した授業が認められ、2019年のGlobal Teacher Prizeにおいて、世界150ヵ国以上、3万人のエントリーの中から、日本人小学校教員初となるTop10に選ばれ、「世界の優秀な教員10人」となる。その他には、桃鉄教育版のエデュテイメントプロデューサーなどもつとめている。主な著書に「世界トップティーチャーが教える子どもの未来が変わる英語の教科書(講談社)」などがある。

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 執行役員 お客様サービスプラザ担当 兼 社会的価値創造推進部副担当

加藤 博史氏

兵庫県出身。金融経済教育を担当する執行役員として、全国11か所に存在するお客様サービスプラザを所管。金融リテラシー向上に向けた様々な取り組みを推進。

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 社会的価値創造推進部 主任

伊藤 寛孝氏

2013年三井住友銀行入行。個人向けの資産運用や相続などの相談業務を経て、ジョブエントリー制度を活用し2022年より現職。金融経済教育の教材開発や企画業務を担当。

【関連リンク】

【SMBCグループ/DX-Link】

SMBCグループはお客さまと社会の課題解決のためのソリューションを

提供するためにデジタルを活用し、外部のパートナー企業とも連携しながら、

金融・非金融の垣根なく、ニーズを先取りしたサービスを提供していくことを

目指しています。

“DX-link(ディークロスリンク)”では、 DXにおけるSMBCのビジョン、

企業のDX推進のためのソリューション、共創パートナー企業との取組、

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様々な情報やサービス、企業がクロスする場としていきたいと考えています。

皆さまとともに、明日につながる新たな価値を創出できるよう、

SMBCはグループ一丸となってDXの取組を進めてまいります。

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2024/11/27 11:00

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