「第46回 サントリー学芸賞」で史上初の快挙!中央公論新社の書籍が、3部門で4作受賞!
株式会社 中央公論新社
中央公論新社刊の受賞4作品
株式会社中央公論新社(本社・東京都千代田区、代表取締役社長・安部順一)が刊行する4作品が、11月12日発表の「第46回 サントリー学芸賞」を受賞しました。各部門あわせて受賞計8作品の半数を占めるのは、史上初の快挙です。
<政治・経済部門> 牧野 百恵『ジェンダー格差』 (中公新書)
<政治・経済部門> 萬代 悠『三井大坂両替店』 (中公新書)
<芸術・文学部門> 片岡 真伊『日本の小説の翻訳にまつわる特異な問題』 (中公選書)
<社会・風俗部門> 渡辺 将人『台湾のデモクラシー』 (中公新書)
「サントリー学芸賞」は、広く社会と文化を考える独創的で優れた研究、評論活動を、著作を通じて行った個人に対して、「政治・経済」「芸術・文学」「社会・風俗」「思想・歴史」の4部門に分けて、贈られています。
<政治・経済部門>
牧野 百恵『ジェンダー格差』(中公新書)
【概要】
歴史・文化・社会的に形成される男女の差異=ジェンダー。その差別には近年批判が強く集まる。本書は、実証経済学の成果から就業、教育、歴史、結婚、出産など様々な事柄を取り上げ、格差による影響、解消後の可能性について、国際的視点から描く。議員の女性枠導入=クォータ制が、質の低下より無能な男性議員排除に繋がる、女性への規範が弱い国ほど高学歴女性が出産するなどエビデンスを提示。旧来の慣習や制度を問う。
【書誌情報】
〇書名:『ジェンダー格差』
〇判型:新書判 〇発売日:2023年8月21日
〇定価:990円(10%税込)〇ISBN:978-4-12-102768-9
【著者】 牧野 百恵(まきの・ももえ)
1975年愛知県生まれ。99年東京大学法学部卒業、2002年タフツ大学フレッチャースクール国際関係修士課程修了、同年アジア経済研究所入所。11年ワシントン大学経済学部博士課程修了、Ph.D.(経済学)。在ニューヨーク、ポピュレーション・カウンシル客員研究員を経て現在、アジア経済研究所開発研究センター主任研究員。専攻/開発ミクロ経済学、人口経済学、家族の経済学。共著に『コロナ禍の途上国と世界の変容』(日経BP / 日本経済新聞出版、2021年)がある。
<政治・経済部門>
萬代 悠『三井大坂両替店』(中公新書)
【概要】
元禄四年(一六九一)に三井高利が開設した三井大坂両替店。当初の業務は江戸幕府に委託された送金だったが、その役得を活かし民間相手の金貸しとして成長する。本書は、三井の膨大な史料から信用調査の技術と法制度を利用した工夫を読み解く。そこからは三井の経営手法のみならず、当時の社会風俗や人々の倫理観がみえてくる。三井はいかにして栄え、日本初の民間銀行創業へと繋げたか。新たな視点で金融史を捉え直す。
【書誌情報】
〇書名:『三井大坂両替店』
〇判型:新書判 〇発売日:2024年2月21日
〇定価:1,100円(10%税込)〇ISBN:978-4-12-102792-4
【著者】 萬代 悠(まんだい・ゆう)
1987年大阪府生まれ.2015年、関西学院大学大学院文学研究科博士課程後期課程文化歴史学専攻日本史学領域単位取得退学。2016年、博士(歴史学)大阪市史料調査会調査員、公益財団法人三井文庫研究員を経て、現在、法政大学経済学部准教授。著書に『近世畿内の豪農経営と藩政』(塙書房、2019年。日経・経済図書文化賞受賞)共編著に『岩波講座日本経済の歴史 第2巻 近世 16世紀末から19世紀前半』(岩波書店、2017年)『三井大坂両替店の顧客信用情報――享保一七年から明治二年まで』(勉誠社、2024年)などがある。
<芸術・文学部門>
片岡 真伊『日本の小説の翻訳にまつわる特異な問題』(中公選書)
【概要】
日本文学は「どうしても翻訳できない言葉」で書かれてきた、と大江健三郎は言う。事実、谷崎も川端も三島も、英訳時に改変され、省略され、時に誤読もされてきた。なぜそのまま翻訳することができないのか。どのような経緯で改変され、その結果、刊行された作品はどう受け止められたのか。一九五〇~七〇年代の作家、翻訳者、編集者の異文化間の葛藤の根源を、米クノップフ社のアーカイヴ資料等をつぶさに検証し、初めて明らかにする。
【書誌情報】
〇書名:『日本の小説の翻訳にまつわる特異な問題』
〇判型:四六判 〇発売日:2024年2月9日
〇定価:2,750円(10%税込)〇ISBN:978-4-12-110148-8
【著者】 片岡 真伊(かたおか・まい)
国際日本文化研究センター准教授、総合研究大学院大学准教授(併任)。博士(学術)。1987年栃木県生まれ。ロンドン大学ロイヤルホロウェイ(英文学)卒業、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン修士課程(比較文学)修了。総合研究大学院大学(国際日本研究)博士後期課程修了。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)言語文化学部シニア・ティーチング・フェロー、東京大学東アジア藝文書院(EAA)特任研究員を経て、2023年より現職。
<社会・風俗部門>
渡辺 将人『台湾のデモクラシー』(中公新書)
【概要】
権威主義体制が長く続いた台湾。1996年に総統の直接選挙が始まり、2000年には国民党から民進党への政権交代が実現した。今や「民主主義指数」でアジア首位に立つ。中国の圧力に晒されながら、なぜ台湾の民主主義は強靭なのか。また弱点はどこにあるか。白熱する選挙キャンペーン、特異なメディア環境、多様な言語と文化の複雑さ、そしてあらゆる点で大きな影響を及ぼすアメリカとの関係に注目し、実態を解き明かす。
【書誌情報】
〇書名:『台湾のデモクラシー』
〇判型:新書判 〇発売日:2024年5月22日
〇定価:1,188円(10%税込)〇ISBN:978-4-12-102803-7
【著者】 渡辺 将人(わたなべ・まさひと)
1975年、東京都生まれ。シカゴ大学大学院国際関係論修士課程修了。早稲田大学大学院政治学研究科にて博士(政治学)。米下院議員事務所・上院選本部、テレビ東京報道局経済部、政治部記者などを経て、北海道大学大学院准教授。コロンビア大学、ジョージワシントン大学、台湾国立政治大学、ハーバード大学で客員研究員を歴任。2023年より慶應義塾大学総合政策学部、大学院政策・メディア研究科准教授。専門はアメリカ政治。受賞歴に大平正芳記念賞、アメリカ学会斎藤眞賞ほか。著書に『現代アメリカ選挙の集票課程』(日本評論社、2008年)、『見えないアメリカ』(講談社現代新書、2008年)、『現代アメリカ選挙の変貌』(名古屋大学出版会、2016年)、『アメリカ政治の壁』(岩波新書、2016年)、『メディアが動かすアメリカ』(ちくま新書、2020年)、『大統領の条件』(集英社文庫、2021年)、『アメリカ映画の文化副読本』(日経BP、2024年)。共著に『オバマ・アメリカ・世界』久保文明・中山俊宏(NTT出版、2012年)。ほか著訳書多数。