飛行機事故で生存率が高い座席位置はあるのか
ロシア軍による誤射と見られている昨年12月25日のアゼルバイジャン航空機の墜落事故。同29日には韓国・務安空港でのチェジュ航空機の胴体着陸失敗による爆発炎上。年末に立て続けに大きな航空機事故が発生したが、いずれの事故でも生存者が確認されている。
ちなみに25日の事故で助かった29名は後部座席、29日の事故での生存者は乗務員2名のみだったが、いずれも機内最後方の乗務員席に座っていた客室乗務員だ。
事故率は車や鉄道、船舶よりも低いが、発生した際の死亡率は突出して高い航空機。それでも一般論として「後部座席のほうが生存率は高い」と以前から言われており、聞いたことがある人も多いはず。今回の事故も結果だけ見れば、この説を裏付けた格好だ。
「航空機事故は機体前方から衝突するケースのほうが多く、前方座席ほど事故発生時のリスクが高いのは事実です」(元航空整備士)
これはファーストクラスやビジネスクラスなどグレードの高い座席ほど危険であることを意味する。つまり、いずれの座席も快適性こそ優れているが、安全だから料金が高いわけではないようだ。
「また、機体中央部も主翼などに燃料タンクがあるため、爆発炎上した際の被害が大きい場所です。一方、後方は墜落時の衝撃で分裂することも多々あり、それが結果的に脱出を用意する場合もある。さらに火災による二次被害を免れる割合も高いんです」(同)
なお、米国家運輸安全委員会(NTSB)によると、飛行機事故で死亡する確率は0.0009%。これは毎日搭乗し続けたとしても438年に一度起きる計算だ。
中型機以上で後方座席の場合、着陸時に機外に出るまで前方座席より10分やそれ以上時間がかかる。実際、これが嫌で飛行機では常に前方付近の座席を手配する人も少なくない。
そもそも航空機事故では乗員乗客全員が犠牲になるケースも多く、これだと座席の位置はもはや関係ない。どうしても気になる人は少しでも生存率の高い後方座席を予約すればいいと思うが、過度に気にする必要はないのかもしれない。