「ヒトメタニューモウイルス」中国で拡大の感染症が春節に日本で感染爆発⇒インフルに追い打ちか

 昨年末から列島各地で猛威を振るっているインフルエンザ。9連休明けとなった1月6日には病院前に行列ができるほどで、東京都でも5年ぶりに警報基準を超える患者数が記録された。

 そんなインフルエンザの感染拡大に追い打ちをかけるのではないか、との懸念の声が広がっているのが、現在、中国においてとんでもない勢いで感染が拡大する呼吸器感染症「ヒトメタニューモウイルス」(HMPV)だ。

 この聞き慣れないウイルスは2001年にオランダで発見されたものだが、インフルエンザに似た呼吸器合胞体ウイルス(RSV)と同じ仲間に属し、咳やくしゃみによる飛沫や抱擁など身体の接触などにより人から人へと感染させていくものだ。

「HMPVに感染・発症した場合、主な症状は発熱・せき・鼻水などインフルエンザの疾患とよく似ていますが、息切れが起こり、それが気管支炎や肺炎へと進行する可能性もあるため、乳幼児や高齢者、基礎疾患がある人が感染すると重症化する恐れもあります。罹病期間は症状によって異なるものの、通常はインフルエンザと同程度。ただ、なにぶん近年になって認知されたウイルスのため、特効性のあるワクチンがない。中国疾病予防コントロールセンターによれば、当初このウイルス感染症は北部のみで流行していたようですが、あっという間に南部でも患者数が増加。昨年11月からは中国全土で拡大傾向にあるといわれます」(外報部記者)

 現在中国では、呼吸器系疾患での陽性率がインフルエンザに続き2番目に多く、呼吸器感染症の一つであるHMPVは、すでに中国からインドやマレーシア、インドネシアへと広がりを見せており、隣国ベトナムの当局も感染状況把握に努めているとされる。

「中国では1月28日から延べ90億人の移動が見込まれる大型連休『春節』に入りますが、5年前に湖北省武漢市で新型コロナウイルス感染症の発生が確認され、感染拡大したのもちょうどこの時期からだった。人が動けば感染が広がるのは自然の理。インフルエンザの大流行に加え、ワクチンのない厄介なウイルスが日本に入ってきたら、またも医療機関がとんでもないことになりかねない。厚労省も情報収集ときちんとした広報に努めてほしいですね」(同)

 現段階で特効薬的なワクチンがない以上、こまめな手洗いやマスクの着用など、基本的な感染防止対策を心がけるしかないが、今日本ではインフルエンザA型に加え、本来であれば2月から3月にかけてピークとなる「B型」が前倒しで流行の兆しを見せているとされる。つまりA型がピークアウトするのを待たずにB型が出てきているというわけだが、急激な発熱が特徴とされるA型に対し、B型は嘔吐など消化器系に症状が出やすいのだとか。さらに脱水症状を起こしやすいため、症状が長引き重症化するケースも多いという。

 8日からいよいよ学校も始まり、人の往来も通常に戻るこれからの時期。感染拡大を防ぐためにも、手洗いやうがいなどを徹底したいものだ。

(灯倫太郎)

2025/1/8 18:00

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