焼き入れ廃止で業界に新風!サンスター技研が生み出す高性能かつ持続可能なブレーキ技術の未来

サステナビリティが企業の重要なテーマとなる中、自動車業界も例外ではありません。地球環境への配慮がこれまで以上に求められ、環境負荷を軽減するための技術革新が加速しています。

そんな中、サンスターグループは創業以来、「常に人々の健康の増進と生活文化の向上に奉仕する」を社是に掲げ、革新的な製品と技術を通じて多様な課題解決に取り組んできました。1932年に自転車用ゴム糊の製造販売からスタートした同グループは、その後、その製造技術を活用、展開することでオーラルケア製品や健康食品、建築用接着剤や二輪車・自動車の金属部品など、幅広い事業領域に進出。そして現在、各分野で環境対応を重視した商品開発を積極的に進めています。

特に金属加工を担うサンスター技研MC(モーターサイクル)事業部(以下、MC事業部)では、二輪車用ブレーキ部品の製造を通じて、環境負荷を大幅に軽減することを目指した取り組みが注目されています。環境への配慮と高度な技術力を融合させ新しいスタンダードを築くことを目標とする同事業部の挑戦について、技術営業部の品川が語ります。

サンスター技研MC事業部の課題と挑戦

サンスター技研MC事業部は、自動車や二輪車向け部品を製造する中で、多量のCO₂排出や電力消費という課題を抱えていました。これらの問題は、環境負荷低減の企業の責任として求められる現代において、見過ごすことができないものです。

また、業界で標準的とされる「焼き入れ工程」は、製品の強度を高める一方で、製造時にCO₂排出量の大部分を占めていました。こうした状況の中で、環境負荷を大幅に軽減する新たな製品開発に挑んだのが「熱処理廃止ブレーキディスク」のプロジェクトです。この取り組みは、業界の常識を覆す大胆な発想と技術革新をもって、持続可能な製造方法の構築を目指しました。単なる製品開発を超え、サンスター技研MC事業部の環境対応戦略そのものを刷新する意欲的な挑戦となったのです。

熱処理廃止ブレーキディスクの革新

自動車や二輪車のブレーキ部品製造において、長年不可欠とされてきた「焼き入れ工程」。この工程は製品の強度を高める重要なプロセスである一方、大量のエネルギー消費とCO₂排出を伴う環境負荷の要因でもありました。

MC事業部はこの業界の常識に挑み、焼き入れ工程を完全に廃止する新しい製造方法を開発。これにより、製造時のCO₂排出量を50%以上削減することに成功しました。

また、焼き入れ廃止に伴う材料の強度低下やクラック発生のリスクに対しては、独自の「ディンプル構造」を採用。ディスク表面に配置した小孔(ディンプル)がディスクにかかる負荷を分散し、クラックを防ぐ役割を果たします。ディンプルの数にもこだわり、実走評価を重ね最適なディンプル数を導きました。この技術は特許を取得しており、サンスター技研の技術力を象徴するものです。

さらに、レーザー加工を活用した「金型レス」の製造プロセスを導入することで、資源とエネルギーの消費を大幅に抑えつつ、精密な加工を実現しました。「熱処理廃止ブレーキディスク」は、環境負荷軽減と高性能の両立を実現し、業界に新たなスタンダードを提示する画期的な製品として注目されています。

ブレーキパッドの同時開発

今回のプロジェクトでは、「熱処理廃止ブレーキディスク」に合わせたブレーキパッドの開発も不可欠だったため、ディスクの開発と並行して、環境負荷を軽減する新しいブレーキパッドの開発にも取り組みました。

従来のブレーキパッドには、製造や使用過程で粉塵の発生という課題がありました。サンスターは銅を含まず粉塵の発生を抑えた「ローダスト」パッドを開発。この新しいパッドは、使用時の粉塵発生を15%削減し、環境への影響を低減することに成功しました。

さらに、耐久性やパフォーマンスにも優れ、長寿命化によって交換頻度を減少させることで、廃棄物削減にも貢献しています。パッドとディスクの相性を緻密に調整することで、ブレーキシステム全体の効率と信頼性を高めることにも成功しました。

この開発は、パートナー企業である東海カーボンとの協力のもと進められました。高度な材料開発と精密な設計プロセスを通じて、環境負荷を最小限に抑えつつ、ユーザーに高い満足度を提供する製品を実現しました。

「ローダスト」パッドは、サンスターの環境対応ブレーキシステムの重要な一部として、二輪車だけでなく、小型四輪車や次世代モビリティへの展開も目指しています。

鈴鹿8耐レースでの実証

2024年7月、サンスター技研MC事業部はスズキ株式会社による「チームスズキCN(カーボンニュートラル)チャレンジ」と連携し、パートナー企業の1社として今回開発したレース用「熱処理廃止ブレーキディスク」と「ローダストブレーキパッド」を提供しました。そして、「鈴鹿8時間耐久ロードレース」で過酷な条件下においても安定したブレーキフィーリングと耐久性を発揮し、見事8位入賞という結果を収めました。厳しいレース環境の中でその性能と環境性能を実証することができました。レースで得られたデータは、一般向け製品や小型四輪車、次世代モビリティ向け開発における貴重なフィードバックとして活用していきます。

今後の展開と戦略

今後は、「Naturide(ネイチャーライド)」というブランド名のもと、環境対応パーツを積極的に展開していく計画です。この名前は「自然(Nature)」と「乗る(Ride)」を組み合わせた造語で、持続可能なモビリティ社会の実現を象徴するものです。

二輪車向け製品を中心に展開してきたこのプロジェクトですが、今後は小型四輪車や次世代モビリティ市場への適用を目指した技術開発を進めています。特に、超小型EVなど新たなモビリティ市場にも対応可能な技術を育て、事業領域を拡大する方針です。

さらに、サンスターはEuro7規制やカリフォルニア州法といった厳しい環境基準への対応も進めています。これらの国際的な基準をクリアすることは、グローバル市場での競争力を高めるだけでなく、環境保護に積極的に取り組む企業としての信頼を強化するものです。

サンスターが推進する革新的な取り組みは、自動車業界に新たなスタンダードを示しています。「熱処理廃止ブレーキディスク」をはじめとする環境対応製品は、これまでの業界の常識を覆し、環境負荷を大幅に軽減しながらも高性能を実現する技術革新の象徴です。

CO₂排出量を50%以上削減し、粉塵発生を15%抑える製品は、持続可能な社会の実現に向けた具体的な一歩となっています。

今後もサンスター技研は長年にわたり培ってきた技術力と挑戦心を活かし、地球環境への配慮と次世代モビリティの進化を両立させる取り組みを進め、生産プロセスの改善や再生可能エネルギーの活用など、事業活動全体を通じた環境負荷削減を実現するための努力を重ねています。

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2024/12/26 10:00

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