【中受と教育虐待】夫に圧を掛けられ続けた息子に異変…。危機を覚えた妻が「密かに行ったこと」は(後編)
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「教育熱心な父親」を装いながら実際には「支配」の手段として子どもの成績や行動に執着し、妻や子どもを精神的に追い詰めるモラハラ夫の存在が問題視されています。
子どもの意向を無視して進学塾に無理やり通わせ、成績が悪いと暴言を吐きまくる。今回はそんな夫に悩み続けていたTさんのお話です。【後編】です。
夫に怒られるのが怖くて、いつしか息子に「勉強しなさい」と言うようになってしまったTさん。
精一杯頑張っていた息子は、ある日ついに精神的に耐えられなくなったようで、学校からTさんの元に連絡が入りました。
「『息子さんが授業中に突然泣き出しました』と担任の先生から電話があったのです。」
それは、息子さんが家庭内の緊張感に押しつぶされ、心の中に溜め込んでいたものが限界を迎えた瞬間でした。先生は「息子さんが少しでも安心できるよう、学校でもサポートしますが、ご家庭の環境についても一度見直してみてください」と言ってくれたそう。
この言葉を聞いて、Tさんは息子が受けている心の負担を改めて痛感したといいます。夫のやっていることはおかしいとわかっていたのに、怒りを向けられるのが怖くて夫に意見することもできなかったのです。
モラハラ夫に立ち向かう 次ページ
「夫に立ち向かおうか…?」そのとき複雑な感情が
Tさんの心の中には複雑な感情が入り混じっていました。
1. 恐怖と責任感
夫への恐怖: 夫の怒りや逆上が怖くて動けない気持ちがあります。
母親としての責任感:それでも「息子を守りたい」という強い思いが心にあります。
2. 自己否定と罪悪感
自分を責める: 「私が悪いからこんな状況になっている」と自己否定してしまいます。
息子への罪悪感: 恐怖から息子に無理をさせたことを後悔しています。
3. 現実と変化への葛藤
現状への気づき:「このままでは家族が壊れてしまう」と気づきました。
4. 母性と勇気
母性の力:息子を守りたいという母親としての愛情が、一歩を踏み出そうとする力になっています。
小さな勇気:少しずつ「変えなければ」という思いが勇気に変わりつつあります。
Tさんには夫への恐怖と、もし夫を怒らせたら結婚生活を維持できるのかという不安がありました。しかしそれ以上に息子を守りたいと思う母性と母親としての責任感が上回っていました。
自分も壊れてしまう…そう思ったTさんが行った場所とは 次ページ
この地獄から脱出する方法は
その夜Tさんは、息子の寝顔を見つめながら涙を流しました。
「このままでは息子を守れない。私自身も壊れてしまう。」そんな思いが頭の中を巡りました。夫の怒りを恐れるばかりに息子の心の痛みを感じることを、あえて避けていたのです。このままでは自分も息子も壊れてしまうという思いから、勇気を持って地域の子育て相談でカウンセラーと話をすることにしました。
「家庭内での暴言や責任転嫁は、モラハラに該当します」とアドバイスをもらったTさん。その瞬間、目が覚めたような気がしたといいます。「このままでは息子さんもお母様もダメになる。息子さんと安心して暮らせる環境を考えることが大切です。」カウンセラーの言葉に、Tさんは初めて「自分を守ることが、息子を守ることに繋がる」という視点を持つことができました。
誰かに話すことで心の負担が軽くなります。抱えている不安や悩みを口に出すと、感情が整理され、少しずつ心が軽くなるものです。さらに、相談相手が「あなたは悪くない」と伝えてくれることで、自己否定の感情から解放されることもあります。
話すことで解決策や、今まで自分だけでは気づけなかった新しい視点や選択肢に気づくきっかけにもなるのです。
ついに夫に「受験はしません」と伝えたTさん 次ページ
その後、Tさんは夫に「息子のためにも受験をやめる」と伝えました。
「そんなことは許さない」「お前の学歴が低いからそんなことが言えるんだ」夫は言ってきましたが、Tさんは(いつも通りの言葉だな)と思っただけだったそうです。
「夫がいないと生きていけないと思い込んでいた私ですが、子どもと自分を守るための別居や離婚についても具体的に考え始めています」と、Tさん。
Tさんは「この状況を変えたい」と思い、夫が何を言おうと息子の意思を尊重し塾を辞めさせると決心しました。
その後塾を辞めたことで息子さんにも少しずつ笑顔が戻り始めたそうです。夫は激怒し、暴言に加え暴力まで始まったので、Tさんと息子さんはとりあえず実家に避難することにしました。
今までは「夫が正義」で、自分は間違っていると思い込んでいましたが「自分が悪いのではない」と気付くことで、Tさんと息子さんは新たな人生のスタートを切ることができました。
家庭内のモラハラに悩む多くの方に、Tさんの姿が少しでも勇気を与えられることを願っています。自分と子どもの未来を守るための行動は、決して「逃げ」ではなく「守るための選択」なのです。