ビンラディンはポルノに暗号を隠してテロを指示!?米軍が押収した「ビンラディンのハードディスク」の謎

 ウサマ・ビンラディンが生前に使っていたパソコンのハードディスクには何が保存されていたのか。そこにはなんと無数のポルノコンテンツが蓄えられていたというのだ。

■ポルノコンテンツは暗号化されたメッセージなのか

 9.11同時多発テロの首謀者として2011年5月2日に パキスタン・アボッターバードで米海軍特殊部隊「ネイビーシールズ」によって殺害された国際テロ組織「アルカイダ」のウサマ・ビンラディンだが、その遺品の数々は米軍が押収し現在も分析が続けられている。

 押収された物品の中でもパソコンやUSBメモリ、DVDディスクなどはその内容を念入りに検分し、中にはポルノ映像・画像がかなり多く保存されていたことが報じられた。それらのポルノコンテンツをどこから入手したのか、具体的にどのような内容のものがあるのかについて、捜査当局は詳細を明らかにはしていない。ビンラディンが収集したものであるかどうかについてもノーコメントを貫いている。

 ちなみにイスラム教ではポルノの所持や観賞は厳に戒められている。宗教指導者でもあったビンラディンがポルノを所持していたというのはかなり都合の悪いことである。

 ビンラディン本人は情報漏洩を極度に懸念しインターネットを使っていなかったといわれている。配下や実行部隊との連絡では、USBメモリを人手を使って運ばせていたという。インターネットにつないでいない以上、ポルノコンテンツもこうしたやりとりの過程で入手しハードディスクに保存されたものであると考えるのが自然であろう。

 ハードディスクにはポルノコンテンツのほかにも、自分やアルカイダに関連するニュース映像やドキュメンタリー番組などが数百も収められていたという。その中にはビンラディンのスピーチ映像もあった。

「CNN」のセキュリティ分析官であるピーター・バーゲン氏は、西側の人間として初めてビンラディンにインタビューしたのだが、この時の映像もハードディスクに残されていた。

「ハードディスクのこれらのデジタル情報が多くのことを語ることは明らかです。ウサマ・ビンラディンのファイルは、数千人の命を奪った複雑な男の痕跡を残しました。歴史は彼を覚えていますが、聖十字軍の洞窟で過ごすこの禁欲主義者をより良く理解するためには、彼がフォロワーに向けて公開したビデオをどのように作成したかを知ることが重要です。彼を理解することは、将来に他の潜在的なビンラディンと戦うために不可欠です」(ピーター・バーゲン氏)

 ビンラディンのハードディスクやメモリに保存されていたこれらのデジタルコンテンツについて、新たな視座が加わることになった。ナショナルジオグラフィック制作のスペシャル番組『Bin laden’s Hard Drive』が2020年9月10日に放送されたのである。番組の中でハードディスクにあった無数のポルノコンテンツは実はコード化された暗号メッセージだったのではないかという考察が含まれているのだ。

■HDの中身はビンラディンの二面性を浮かび上がらせる

 この60分番組では、ビンラディンが助言者とのコミュニケーションにポルノコンテンツに仕込んだ暗号メッセージが使われていた可能性を指摘している。

 番組に出演している前出のピーター・バーゲン氏は、ビンラディンが情報漏洩を極度に恐れていたことから、それが手渡しのUSBメモリであったとしても、暗号化したメッセージを用いていたといわれている。ポルノコンテンツのファイルに暗号化した指示を仕込ませていた可能性があるというのである。

 この話題を取り上げた米ニュースサイト「The Daily Beast」の記事によれば、ビンラディンのこれらの遺留品から浮かび上がってくるのは彼の二面性であるという。

 法心理学者でCIAコンサルタントのリード・メロイ氏は「このテーマに関する決定的な答えはまだ出ていませんが、このポルノの発見がビンラディンの包括的な偽善を物語っていることは間違いありません。これは『Bin laden’s Hard Drive』の主要なポイントになります。あらゆる場面で、殺人者のハードドライブにあるビデオ、メディア映像、通信は、彼の二面性を強調しています」との見解を示している。

 たとえば、ビンラディンの謙虚さについては、専門家や元同志から多くの話があり、ビンラディンはソフトな口調で話し、家族を愛する一方で、信者や同胞の傲慢さを非難したとされる信心深いイスラム教徒であったという。ビンラディンは“謙虚な人”であると同時に“怒り狂ったナルシシスト”でもあったというのだ。

 スピーチのビデオ収録においては完璧性を追求して何度もテイクを重ね、ヒゲを染めて自分をより若々しく見せていたことも判明している。

 記事の中で筆者のニック・シェーファー氏は、ビンラディンのハードディスクの中身を検証してもあまり意味はないことを指摘している。結局のところ、ビンラディンの内面の二面性と複雑性を代弁するものであり、コンテンツそのものは重要ではないということだ。ノンフィクションの手法でビンラディンに迫る取り組みには限界があるという。

 考えてもみれば、9.11同時多発テロの首謀者としてアメリカから“指名手配”を受けてから殺害されるまで、ずっとビンラディンは隠遁生活を送ってきたのだ。映像コンテンツの消費量が増えている今日の我々のように、ビンラディンもまたその隠遁生活でさまざまな映像コンテンツを欲していたといえるのかもしれない。ともあれ“ビンラディンのハードディスク”について、今後も何らかの動きがあるのかどうか注目していきたい。

参考:「The Sun」、「The Daily Beast」、ほか

 

※当記事は2020年の記事を再編集して掲載しています。

2024/12/1 20:00

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