京の名工 伝統工芸士 進化と挑戦する伝統工芸
京の名工 伝統工芸士の挑戦 新市場は共創
概要
京の名工として認められた伝統工芸士、山岸茂美(64)は、株式会社西捷と共に、西陣織の引箔を制作しています。しかし、近年の着物産業の衰退に伴い、彼の作品の生産も壊滅的に減少しています。20~30年前には金箔や銀箔を施した製品に高い需要がありましたが、現在では着物の需要が1/10に減少し、生産も激減しています。
株式会社西捷との取り組み
山岸と株式会社西捷は、伝統技術を守りながらも新たな市場開拓に挑戦しています。20年前から、山岸は金箔だけのフォーマル需要から脱却し、青や緑といった現代的な色合いや、絵画・焼き物などの多様なデザインを取り入れています。この取り組みによって、従来の古典フォーマルからモダンなスタイルへと進化し、結婚式などの特別な場面だけでなく、カジュアルなシーンでも使用できる製品を制作しています。これにより、独自のデザインや配色を持つ袋帯を確立しました。
現在の課題
しかし、近年は呉服産業の低迷や、引箔を織れる機械の減少が続いており、今後の生産はさらに減少する見込みです。この厳しい状況を打破するため、山岸と株式会社西捷は新たな挑戦を行っています。
海外や別事業への挑戦
新商品開発の取り組みは、京都信用金庫の新商品開発セミナーがきっかけとなりました。講師の金谷勉氏の言葉に触発され、伝統産業の需要を感じ、タペストリーの新商品開発に着手。株式会社アナログPRの協力を得て、台湾市場への進出を果たし、大手半導体企業の会長に作品が手渡されるなど、成功を収めています。
さらに、台湾震災復興イベントに作品を寄贈し、感謝状を受け取るなど、社会貢献にも積極的に取り組み、現在は京都府の支援を受けて新商品開発を進め、プレシャス京都に参画し、フランスの展示会でインテリアアートとしての市場開拓に挑戦しています。
未来への展望
山岸と株式会社西捷は、職人一人ではなかなか目指せない他市場や海外への挑戦を、若いメンバーと共に行っています。行政や銀行、企業の支援や応援を受けながら、引箔だけでなく、京都の伝統産業の職人も一人では無く共創の成果事例を作り、維持・継続・発展に活力になればと考えています。
結論
山岸茂美と株式会社西捷は、伝統工芸士としての技術を活かしつつ、新たな市場への共創を目指しています。今後も彼らの挑戦が、京都の伝統産業を守り、発展させる一助となることを期待していますので応援頂ければと幸いです。
株式会社 西捷(にっしょう)
代表取締役 木村 裕
京都府京都市中京区薬屋町603
TEL:075-254-8726 FAX:075-254-8727
沿革
1950年 一瀬 政雄 起業
西陣 上長者町にて百貨店の機場として着物の織物業
1988年 一瀬 捷治 二代目 当主として就任
2000年 起業50周年に三代目 一瀬 泰孝が総合問屋より修行を終え家業に戻る
二代目と共に織物業を広げる
2019年 株式会社 西捷 創業
木村 裕 三代目 一瀬 泰孝と共に総合織物業を始める
木村工房・若狭屋とブランド立上げ
現在では、中学校の企業授業や大学のプロジェクト科目(企業の社会課題授業)を3年受持つなど、若年層への着物普及に取り組みや、京都府のプレシャスキョウトにも参画を行う。