BEAMSの名物ディレクターが教える青森でおいしいリンゴを買う方法。ラーメンや喫茶店の楽しみ方も【フーテンの寅みやげ】
●企画や仕入れを行う関係上、東西南北、日本全国を飛び回るBEAMS JAPANの名物ディレクター・鈴木修司さん。尊敬する人物は『男はつらいよ』の車寅次郎。寅さんのように年の1/3は旅の空という鈴木さんが、旅先で見つけた銘品を「フーテンの寅みやげ」としてご紹介します。
こんにちは。ビームスジャパンの鈴木修司です。2024年11月の旅先は、まさにリンゴの収穫が最盛期をむかえた青森県。この5年ほど、一年を通して何度も青森を訪れていますが、この季節の出張ほど嬉しいことはありません。
その理由は、もちろん美味しいリンゴが手に入るから。冷蔵や保存技術が発達した昨今、冬でなくとも美味しいリンゴは買えるのですが、やはり味わい的にも気分的にも、収穫したてのものに勝るものはありません。列車を降りたら、仕事の前にお土産のリンゴ確保に走ります。
訪れたのは、青森駅前のビルにひっそり佇む『マルヨシ越田商店』さん。ここでは、この時期に採れる複数種のリンゴを丁寧に一個ずつ吟味しながら、詰め合わせを作ってくれます。「選ぶのに時間がかかって申し訳ないわね〜」とお母さんが言うのですが、逆に「急に来て、こちらこそ申し訳ないです!」と恐縮してしまいます。その甲斐あって、自宅に帰って食べてみたら、どのリンゴも想像以上に美味しいものでした。
もう一つ、買おうと決めていたのがリンゴと並ぶ青森名物の“ホタテ”。仕事先に向かう途中にあるホタテ専門店で、それなりの量の冷凍ホタテを購入して大満足。あまりにも頭の中がホタテ一色になってしまったのか、道路にある蓋らしき物もホタテ貝に見えてしまうほどでした。
青森ラーメンと名物「肉そば」を食べに行く
そして午後の仕事に備えるべく、名物の“青森ラーメン”も堪能。大好きな『長尾中華そば』の支店が青森駅前にあり、とても便利です。私は魚介系ダシに目がなく、魚粉がたっぷりと漂う濃厚スープと太めの麺の相性が抜群。食べ終わったら、口の中はまさに“海”。やみつきになること間違いなしの旨さです。
ついでに麺といえば、青森名物で意外に知られていないのが「肉そば」です。ラーメンに比べてまだ認知度が低いと思いますが、私としては青森でぜひ食べてほしい一品。今回は、翌日のお昼に、青森駅近くにある『にぼ節』さんでいただいたのですが、やはりウマいです。青森ラーメンとはまた違う魚介系ダシに豚バラ肉が最高に合うんです。
青森の地酒と海の幸も忘れずに
午後、みっちりと仕事をこなした後のお楽しみは夕食。とくれば、間違いなく海鮮です。青森県は太平洋、日本海、そして津軽湾と多様な海に囲まれ、海の幸に恵まれ過ぎている県。ちなみにですが、海ではなく津軽半島北西部にある“十三湖(じゅうさんこ)”のシジミも有名。美味しい日本酒の〆にオススメです。
話が逸れました。私の行きつけの居酒屋さんでいただく刺身が絶品で、有名過ぎますが“大間のマグロ”、それ以外にも近海の魚介が目白押しです。例えば、マグロだけでなく、ウニまで大間産。ここまで新鮮な海の幸を心ゆくまでいただけるのは、青森ならではだと思います。
青森市内は実は喫茶店のモーニング天国
そして青森市内で朝からお腹がすいたら、喫茶店でのモーニングが断然オススメです。市内には素敵な喫茶店がいくつかあり、しっかり朝から営業してくれているので旅人にはとてもありがたいのです。今回は、私のお気に入りの喫茶店『クレオパトラ』さんへ。コーヒーのお供は“アップルパイ”一択。お店によって様々なスタイルのアップルパイを楽しめるのも、青森旅の醍醐味です。
なお、青森市内に喫茶店が多い理由はよくわかりませんが、私は港町ならではの文化だと勝手に考えています。
十和田に足を伸ばして「裂織」文化に触れる
青森市内での仕事を終えて、向かったのは十和田市。青森県の南部地方に江戸時代から伝わる伝統手工芸・“裂織(さきおり)”の製作現場を訪ねました。裂織とは、貴重であった布地を最後まで大切に使い切るために、丁寧に裂いた細幅の布を縦糸で堅牢に織り込んでいくもの。自然環境がとても厳しい地域だからこその文化で、とても素晴らしいものなので、機会があればぜひ見て、手に取っていただきたいです。
そんなこんなで、青森の旅は無事に終了。いつ来ても本当にいいところです。最後に改めて。この時期に青森県へ行く予定があるようでしたら、万難を排して「リンゴ」をお土産に手に入れることを強くオススメします。
●著者プロフィール
鈴木修司(すずきしゅうじ)|BEAMS JAPANクリエイティブディレクター
1976年、三重県松阪市生まれ。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトを発掘。大学などで講師を務めることも。著書に『銘品のススメ』、監修書籍に『都道府県おでかけ図鑑』などがある。