謎の不調はもしかして「腸カンジダの増殖」が原因かも⁉︎要因となりやすい5つの習慣と、引き起こされる恐ろしい症状とは?【医師が解説】
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頭がぼーっとしていつも体がだるい、疲れがとれない、頭痛が続く、食後にすごく眠くなる、便秘と下痢を繰り返すなど、不調に悩まされていませんか? 体調不良の症状はさまざまですが、病院で検査を受けても特に異常がなく、原因不明のまま不調が続いているなら、腸内に「カンジダ」が増殖しているせいかもしれません。
「OTONA SALONE」世代にとって、「カンジダ」というと膣カンジダを思い浮かべる人が多いと思いますが、実は腸にも増えやすい性質をもっているのです。
腸は“第二の脳”ともいわれるほど大事な臓器です。その腸内にカンジダが増殖すると、腸はうまく機能しなくなります。そして全身にさまざまな不調を引き起こし、多くの重大な病気にもつながります。
では、腸カンジダを増やさず、退治するにはどうすれば?
腸カンジダの治療をおこなっている、ひめのともみクリニック院長の姫野友美先生に腸カンジダの正体と原因、症状、退治方法についてお話を伺いました。
「腸カンジダ」って?増殖する原因とは?
−−−カンジダというと膣カンジダを思い浮かべます。腸内のカンジダの正体について教えてください。
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「腸内には色々な腸内細菌が存在し、腸内環境を整えています。誰の腸内にも常在している真菌の1つに『カンジダ菌』というカビの一種があります。元々は善玉菌や悪玉菌とともに腸内環境を整える日和見菌で、腸内細菌のバランスが安定しているときは悪さをしないでおとなしくしています。
ところが、ストレスや様々な要因により、カンジダ菌が善玉菌よりも増え過ぎてしまうと問題が起こります。急激に異常増殖することも。もっとも大きな問題は、カンジダ菌が作り出す酵素が腸の粘膜を溶かして荒らし、腸の重要なバリア機能が低下してしまうこと。
腸の粘膜に隙間ができることで体にとって有害なものまで取り込んでしまい、腸の炎症を引き起こします。恐ろしいことに、腸を通して炎症が全身に広がると、免疫力の低下や様々な病気を招くことも。このように腸カンジダが増殖している状態のことを「腸漏れ症候群」と呼んでいます」
―――通常は日和見菌なのに、なぜ病気を引き起こすほど腸内で増えてしまうのでしょうか?
「腸カンジダは、おもに以下5つの原因により、ツタがはうように菌糸を伸ばして腸粘膜に根をつけながら爆発的に増えていきます。
①酵母を多く含む食品をよく食べている
腸カンジダは酵母の仲間のため、パン酵母など酵母を多く食べていると腸カンジダが勢いを増すことがあります。腸内細菌は群れを形成し勢力争いをするためです。
②糖質過多の食生活をしている
糖質は腸カンジダの大好物。小麦粉、砂糖、果物の果糖などを多く摂ると腸カンジダのエサとなり、どんどん増殖してして粘膜が弱くなります。増えた腸カンジダは腸内で「もっと甘いものをちょうだい!」と欲しがるため、甘いものが食べたくてたまらない衝動がある人は、腸カンジダの欲求に操られている可能性があります。
③抗生物質を常用している
病気の治療には有効ですが、頼りすぎると腸内の善玉菌が死滅してしまい、腸内環境が乱れて腸カンジダが増殖するきっかけに。腸カンジダは抗生物質ではなくなりません。
④ 野菜を十分に食べていない
野菜=食物繊維は善玉菌のエサになる重要な栄養素のひとつ。外食や加工食品ばかりで野菜が十分摂れていないと善玉菌が減って腸内環境が悪化し、腸カンジダが増殖してしまいます。
⑤有機水銀(メチル水銀)を摂取している
歯科治療で歯に「銀の詰め物」(アマルガム)を入れていませんか? アマルガムから発生した水銀を含んだ蒸気は体内に吸収されると言われています。腸カンジダはその水銀を取り込んで「メチル水銀」として腸内に放出します。「メチル水銀」は白血球の殺菌能力を低下させ、抵抗力を弱めてしまうため腸カンジダが増殖しやすくなってしまうのです。大型魚(マグロ、クジラ、サメのフカヒレ)にも多く含まれています。
近年、腸内環境の重要性は認知され、患者様からも「毎朝ヨーグルトを食べています」という声を聞きますが、そこに甘いジャムやはちみつをたっぷり入れていたらどうでしょうか?どんなに質のよい乳酸菌を摂っても糖質を取り過ぎている限り、腸カンジダは増えるばかりなのです」
増殖した「腸カンジダ」が引き起こす症状とは?
−−−腸カンジダが増殖すると全身にどんな症状をもたらすのか、具体的に教えてください。
「腸カンジダが引き起こす症状は、次のようなプロセスで悪くなることがわかっています。
① 腸から必要な栄養素が吸収できないため、疲労感や頭痛、気分障害、下痢、腹痛などが続く。
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② 薄くなった腸粘膜は隙間がザルような状態のため、未消化のタンパク質が通り抜け、遅延型食物アレルギーが起きやすくなる。
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③ 異物も容易に体内に入りやすくなり、それを攻撃するために抗体が形成され関節炎などの自己免疫疾患につながるリスクとなる。
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④ 糖質だけは急速に腸に吸収されるので、血糖値の乱高下が起きる。このため低血糖が起きて気分が不安定になる。
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⑤ 栄養素を運ぶタンパク質を傷つけるため特にミネラル不足になりやすく、中高年ではマグネシウム不足から不整脈や高血圧の原因になる。
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⑥ 薄く弱くなった腸粘膜では解毒作用も低下。このことで肝臓の負担が増え、肝臓で解毒しきれなかった毒素が全身を周り、全身のあちこちで炎症が起きる火種となる。もし脳に運ばれ炎症が起こればうつ病や認知症になりやすい。
腸カンジダが身体にとって、いかに悪影響をもたらすかわかっていただけましたか?
健康のために、とどんなに栄養価の高いものを食べても、炎症が起きているカンジダ菌だらけの腸では栄養を吸収できないのです。
後編では、腸カンジダについての検査方法や対策について具体的に解説します。
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お話を伺ったのは
姫野 友美先生 (ひめのともみクリニック院長)
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東京医科歯科大学医学部卒業、九州大学医学部付属病院、北九州市立小倉病院、麻生飯塚病院、愛風会さく病院、Mayo clinic Emergency Room(U.S.A) Visiting Clinician、東京都立広尾病院、東邦大学大橋病院、木原 病院、(財)東京顕微鏡院付属診療所、テーオーシービル診療所、女性のための生涯医療センターViVi勤務を経て、 2005年にひめのともみクリニック開設。2006年~2021年は、日本薬科大学漢方薬学科教授。著書多数。近著に「認知症になりたくなければラーメンをやめなさい」(講談社)