小林製薬「紅麹サプリ事件」発覚から8カ月で株価が急騰する投資家の悩ましい事態

 小林製薬が腎機能の障害など健康被害の恐れがあるとして、紅麹配合サプリメントの自主回収を発表したのが今年3月。同社がサプリメント摂取との関連を調べている死亡者数は100人を突破し、8月に紅麹事業からの撤退を発表した。

 小林製薬が11月8日に発表した24年1~9月期連結決算は、純利益が前年同期比65.5%減の53億円。紅麹配合サプリメントによる健康被害問題を受け、製品回収にかかる費用など特別損失101億円を計上したことで、大幅な減益となった。

 一方、株価は好調だ。株式市場の情報サービス会社・フィスコのHPによると、みずほ証券では小林製薬への投資判断を「中立」から「買い」に格上げ。目標株価は6300円から6400円に引き上げたとのこと。紅麹配合サプリメント問題は収束に向かっており、25年12月期から本格的な事業活動再開が見込まれると判断したようだ。

 そして小林製薬の株価は11月25日に高騰し、終値は5986円。26日の終値は6036円と大幅続伸した。今後も株価は上がり続けていくのだろうか。

「紅麹サプリメント問題が発覚した当時、ストップ安をつけるなどして、株価は年初来安値の4700円まで落ち込みました。それが今では6000円前後にまで上昇しています。ストップ安のあたりで買った人が26日に決済したのであれば、1株1000円超の利益を確定したことになります。株主の中には会社の先行きを不安視してすでに全株を売却した人もいましたが、ストップ安をチャンスと見た人は先を見る目があったのでしょう。ただ、問題はこの先です。さすがに上がり過ぎた感もあるので、容易には買えません。かといって下がることを見越して空売りするのも勇気がいりますね」(マネー誌ライター)

 しばらく静観したほうが無難か…。

(石田英明)

2024/11/27 18:00

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