「私がモラハラ夫になった理由をすべてお話しします」妻の協力でモラハラを克服したアラフォー男の告白【後編】
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自他ともに認めるおしどり夫婦で、周囲から「理想の夫婦」と言われていた妻と筆者。
しかし、とある原因により筆者は一気にモラ夫化することに──。
前回は、筆者が妻に対しどのようなモラハラ行為を行ったのかを赤裸々に告白しました。
今回は、筆者がモラ夫になってしまった理由と原因についてお話しします。
「自分はもしかするとモラ夫かも……?」と心当たりがある旦那様、「もしかして私の夫はモラ夫かも……?」と不安を抱いている奥様はぜひ参考にしてください。
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心当たりがある人は要注意!余裕がなくなるとモラ夫化しやすい⁉
筆者がモラハラ夫になった理由を端的に言うと、「忙しすぎて心の余裕を失ったから」です。
職場では部下を指導し、顧客の社長や営業マンとコミュニケーションを取りつつ、マーケットを分析しながら経営戦略を練ったり、新商品開発のための企画を練ったり……。商品の手配や海外拠点のスタッフ指導など、当時はとにかく多忙極まる時期でした。
仕事由来のストレスも増え、家庭に割けるリソースも減少。消耗しながらも家庭が唯一の拠り所と思っていたのも束の間。妻への過剰な期待ばかり肥大し、その期待に応えてくれない妻に対し勝手に失望する始末。
振り返ってみると自分自身の身勝手さを反省するばかりですが、当時の筆者は本当に心の底から「妻の努力が足りない」「妻は現状に甘えている」「妻の怠慢だ」と思っており、妻に対し批判的な感情を抱いていたのです。
>>渦中にいながら「モラハラ」を自覚し内省できたのはなぜ?
「メタ認知」こそモラハラ克服の鍵!モラハラを自覚するために必要な技術とは
当時の筆者が、妻に対して批判的な感情を抱いてしまった主な原因として、以下の3つがあげられます。
・筆者自身の余裕のなさ
・家事負担への無理解
・育児負担への無理解
近年の心理学では、「人の自律性は有限の資産であり、自己制御を行えば行うほど資産が目減りする。資産が枯渇すると自制心のコントロールを失い、欲求を抑えるのが難しくなる」と考えられています。この状態を専門的には「自我消耗」と呼びます。
当時の筆者は、まさに自我消耗状態に陥っており、自分自身の欲求や感情の抑制が難しい状態にあったと考えられます。
また、筆者は妻が担う家事や育児といった仕事を過小評価していた側面もあります。家事・育児負担への十分な理解が足りない男性は、筆者を含めかなり多いはず。家事・育児の大変さは言葉で表現するのが難しいものが多く、「体験してみないとわからない」類です。
育児や家事の多くを担っていた妻の大変さを私が知ったのは、ずっと後のことでした。
このように、筆者が自分のモラ的要素を自覚するのにおおいに役立ったのが「メタ認知」です。
メタ認知とは「自分自身を含め物事をメタ的(俯瞰的)に理解する」ことで、「客観的視座」や「客観視」と言い換えることもできます。
物事をメタ的に認知するには、自分自身の欲求や感情としっかり向き合い、適切に処理するプロセスが必要不可欠です。筆者の場合、「自分はこんなに頑張っているのに」「なぜ妻は──」という承認欲求や責任転嫁、他責的思考といった感情や欲求が課題でした。また、一方的に妻を怠慢だと決めつけ、十分なコミュニケーションを試みようとしなかった点も、夫婦の相互理解を遠ざけた一因でした。
>>モラハラをやめられた3つの理由
筆者がモラハラ夫をやめられた3つの指標
私がモラハラ夫をやめられた理由は、主に次の3つです。
モラ夫化した自覚があり、そんな自分に疑問を抱いた
モラ夫化した原因をメタ的に分析した結果、自我消耗状態にあると結論づけた
原因に対応する具体的な解決策を考案し実行した
「今の自分はなぜこんなにも情緒不安定なのか?」という自問に答えを出すまでに、時間はかかりませんでした。当時の私はどう考えても多忙だったからです。
「家族のために頑張って稼がなければ」という動機で仕事に心血を注いでいましたが、「仕事のために家庭不和に陥ってしまっては本末転倒」と判断し、最終的にいくつかの事業を縮小および撤退しました。そして、空いた分のリソースを自分自身の静養と、家族との時間に充てたのです。
この期間中に、筆者は「妻の立場や視点への理解を深めたい」と思い、期間限定で家事や育児を任せてもらいました。その結果、家事や育児という重労働の大変さをまったく理解していなかった自分を、痛烈に自覚したのです(家事はともかく、家事と育児の両立はかなりストレスが大きく、発狂しそうになりました)。
この体験をきっかけに、「私が今まで仕事に全力を注げたのも、帰宅すればいい匂いがするシーツに包まれて安眠できるのも、いつも気持ちよく風呂に入れるのも、すべては妻のお陰だったんだな」と思い知りました。
そして、今まで「我が家の収入は自分が得ている」と思っていたものが、「我が家の収入は、妻と私の二人で得ている」という認識に大きく変わったのです。
妻の努力や工夫にまったく気付かなかった自分自身の鈍さを呪いつつ、こうして私はモラ夫から抜け出し、妻との良好な関係を取り戻しました。長男はすくすく成長し、今では9歳。その間に次男も生まれ、妻と私のツーオペで育児に励んでいます。家事においても、一番大変そうな料理関係は私が担当し、家族の健康やQOLに配慮した食事を毎日用意しています。
そして何より、私がモラ夫から抜け出せた大きな理由は、「妻自身が私を信じて支え続けてくれた」でしょう。
妻はこれまで一度も私を咎めたり、責めたり、非難したりしたことがありません。信じ続けてくれる妻の存在があってこそ、私もモラ夫から抜け出す意思を持てたのだと思います。
モラ夫たちへ伝えたい筆者のメッセージ
モラハラをしている自覚や心当たりがあったするにも関わらず、ここまでお読みになった方には、モラハラを克服する素質がおおいにあるはずです。
なぜなら、改善の意思がなければ、ここまでご覧にならないはずだからです。
本記事でお話しした通り、モラハラは必ずしも性格や人格に起因するのでなく、環境や状況によって生じる場合もあります。
筆者の場合は、環境や状況を大胆かつ抜本的に変える(具体的には業務を縮小し、時間的・精神的リソースを確保する)ことで対応し、改善に成功しました。
夫婦仲が険悪になってしまっている方は、お互いの環境や状況を根本から見直してみるといいかもしれません。罪悪感や良心の呵責、それを認めたくない気持ちなどは一旦横に置き、今の自分が一番やるべきことにスポットライトをあてて淡々とミッションをこなしましょう。
苦悩を乗り越え、いつかのように笑い合える素敵なご夫婦が増えることを祈っています。