「吐きそうになるニオイ」でも豪州で大行列の人気!別名“死体花”は日本でも咲いていた

 多くの花は毎年同じ時期に咲くといわれる。しかし、開花時期がまったく予測不能、ものによっては十数年に一度しか咲かず1度開花しても24時間から48時間でしぼんでしまうのが、「ショクダイオオコンニャク」という不思議な花だ。

 ショクダイオオコンニャクは、インドネシア・スマトラ島原産。最大高さ3メートル、重さ100キロに達するこの巨大な花は、国際自然保護連合(IUCN)の推計によれば、野生にはわずか数百本しか生息しておらず、IUCNでは絶滅危惧種に分類している。しかも、花の寿命が30~40年程度であるため、中には一生のうち1回しか開花しないものもあるという。

 そんな不思議な花が、オーストラリア・メルボルン南部のジーロングのある植物園で開花し始め、オーストラリアじゅうから植物鑑賞ファンが訪れ長蛇の列が出来る大騒ぎになったのは11月11日のこと。

「開花したショクダイオオコンニャクは、2021年に南オーストラリア州アデレードにある州立の植物園から贈られたものですが、今回は一般の植物ファンではなく、噂を聞きつけた物珍しがりの人々が『ある強烈な体験』をしたいがために、各地から大挙して訪れたようです」(世界の植物に詳しいジャーナリスト)

 その「強烈な体験」の源が、この花が放つとんでもない悪臭にあるというのだ。というのも、この花は開花時に甲虫やハエなど受粉を媒介してくれる虫を引き付けるため腐敗臭を放つのだが、それが「ネズミの死骸が腐っていく匂い」、あるいは「ヘドロまみれの腐りはて悪臭の匂い」とされ、おかげで「死体花」なる別名も付けられているというのだ。

「米CNNは植物園で”匂い”を嗅いだ観覧客をインタビューしているのですが、大半が『死んだポッサムのような臭いだった』『気持ち悪くて思わず吐きそうになった』と、想像以上に強烈な体験ができたと答えています。このニュースは通信社により全世界に配信されていますから、今後も『死体花』ファンが増えることは間違いないでしょうね」(同)

 不思議なことに、人間には誰しも“怖いけれど見てみたい、触れてみたい”という思いがある。ただ、このショクダイオオコンニャク、先にも触れたようにどこにでも咲いているという花ではない。ところが、実は日本でもこの「死体花」が開花して話題になったことがある。それが、昨年12月8日、東京・文京区にある東京大学の研究施設、小石川植物園での13年ぶりの開花発表だった。

「その際も、やはり11月から花が急成長し、植物園の担当者が花を包んでいる『仏炎苞(ぶつえんほう)』と呼ばれる部分を確認。開花が発表されました。同植物園でも園内で開花が確認されたのは2010年7月以来、実に13年ぶりのこと。その前はなんと19年間開花しなかったと言います。そう考えるとこの『強烈な匂い』が嗅げるのも、ごく一部のラッキーな人たちということになる。オーストラリアでの報道を受け、日増しにショクダイオオコンニャク・ファンが増えているようです」(同)

 体験したい思いと、体験したくない思いとが交錯する「死体花」が放つ強烈な匂い。ただ、食事する前の鑑賞だけは避けたほうがよさそうだが…。

(灯倫太郎)

2024/11/20 10:00

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