猫に「貴族」の地位が与えられていた!?一条天皇と宇多天皇は愛猫家で、「それ、わかる~!」なかわいがりっぷり【平安時代のペット】
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*TOP画像/インコ 大河ドラマ「光る君へ」 43話(11月10日放送)より(C)NHK
『光る君へ』ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は平安時代における「ペット」について見ていきましょう。
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いつの時代も“ネコ様”は特別扱い。平安時代、家ネコはどのように暮らしていたの?
現代において私たちに身近な存在の猫ですが、猫が日本に渡来したのは弥生時代というのが通説です。当時、猫には穀物やお経、書物などをネズミから守る役割が与えられていました。
平安時代になると、唐猫という猫が中国から日本に来て、ペットとして愛されるようになります。ただし、猫と暮らせるのは貴族など身分が高い人たちに限られていました。
猫は何人もの帝からも深く愛されていました。一条天皇、宇多天皇は“愛猫家”として現代においてもよく知られています。一条天皇は猫が出産したときに人間の子どもと同様に産養いを催しました。また、この猫に「命婦のおとど(みょうぶのおとど)」という名*1 と貴族としての地位を与え、内裏を出入りできるようにしました。命婦のおとどには飼育係の女官がついていました。清少納言も一条天皇の猫に心惹かれており、この猫は『枕草子』にも度々登場しています。
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宇多天皇は『寛平御記』(かんぴょうぎょき )に猫についてさまざまなことを書き留めています*2 。彼は政務で忙しい父から賜った墨のような黒い猫をたいそう愛でており、乳粥を与えたり、この猫について体長(約45cm)など細かな情報を記録したりしています。また、猫の音をたてない歩き方に感心し、「雲上の黒龍のようだ」と綴っています。
当時、猫は首輪をつけ、長い紐でつながれていました。ちなみに、命婦のおとどは赤い首輪をしていたそうですよ。当時の飼い主たちは猫を放し飼いにはせず、家の中から出すことはありませんでした。
猫が紐をつけずに飼われるようになったのは江戸時代以降です。この時代になってようやく、「猫に紐をつけるのはかわいそうだ」という声が上がります。また、江戸時代は庶民にとっても猫が身近な存在になった時代です。絵師・歌川国芳は愛猫家として有名で、猫の絵を数多く残しています。
一条天皇や宇多天皇が愛猫にしてあげたことは猫の飼い主なら共感するのではないでしょうか。現代でも多くの人たちが猫を家族の一員として扱っています。また、猫に関する祝い事を盛大に催している飼い主も多くいると思います。
*1 日本で猫に最初に名前をつけた人は一条天皇というのが通説。
*2 猫の記録として『寛平御記』は国内でもっとも古いといわれている。
平安時代には猫以外にも人間からかわいがられる動物たちが!
当時、猫以外にも人間からかわいがられ、愛される動物がいました。また、帝が自ら動物のお世話することもあったようです。
ここでは、当時において人間と暮らしていた動物たちを見ていきましょう。
・鷹
当時、貴族たちは鷹狩りを娯楽としていた。桓武天皇も鷹狩りを好んでおり、彼は鷹の世話にも積極的で、餌を与えたり、爪や嘴(くちばし)を手入れしたりすることもあったという。また、宮中には鷹の世話をする省があった。
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・孔雀
推古天皇の治世に孔雀が百済から献上された。道長は孔雀を庭で放し飼いしていた。
・雀
平安貴族の中には雀を飼う人が多くいた。幼鳥を獲ってきて、手乗りするように育てていた。宮中の女房の中にも幼い雀を育ててた人がいる。『枕草子』には「こころときめきするもの」として「雀の子飼い」が挙がっている。
・インコ
ペットとしてインコを飼う貴族もいた。清少納言は宮中でインコの鳴き声を耳にしている。
・犬
犬は番犬や猟犬として飼われていた。中宮・定子は翁丸という犬をかわいがっていた。
参考文献
川村裕子 (監修)『愛とゴシップの「平安女流日記」』PHP研究所、2013年
砂崎良 (著)、承香院 (監修)『平安 もの こと ひと事典』朝日新聞出版 、2024年
高橋千劔破『花鳥風月の日本史』河出書房新社、2011年
繁田信一『平安貴族 嫉妬と寵愛の作法』ジー・ビー、2020年
吉田裕子 (監修)『紫式部と源氏物語見るだけノート』宝島社、2023年