タコ価格の異常高騰は「悪魔の魚」でなくなったから?
スーパーの鮮魚コーナーの値札を見て、びっくりした人も多いのではないか。手頃な食材だった「タコ」の市場価格が高騰している。総務省統計局「小売物価統計調査」によると、今年10月下旬時点における東京都区部の平均小売価格は100グラム513円で、まぐろの492円よりも高いのだ。
ちなみに19年10月の同調査のタコの価格は356円だったが、21年後半から右肩上がりに上昇。いまや庶民にはなかなか手が出せない高級食材となっている。
関西では自宅でたこ焼きを楽しむ家庭も多いが、大阪府内に住む40代の主婦は「食費がかかるため、月イチから2カ月にいっぺんに減らしました」と言う。また、兵庫在住の20代女性は「最近はイカやコンニャクなど安くて食感の似た食材を使ってます」と話す。
とはいえ、別の食材で代用するわけにいかないのが飲食店だ。近年はたこ焼き店の値上げが相次いでおり、大阪府内の店主は「小麦粉だけでなくタコまで高騰、おまけに光熱費も上がっている。値上げは昨年しましたが、利益なんてほとんど出ませんわ」とボヤく。
また、縁日向けのたこ焼き屋台の店も「8個入り500円から600円に値上げし、タコの大きさを半分に減らしたけど、儲けはコロナ前より少ない」と苦しい内情を明かす。
それにしても、なぜタコの市場価格はここまで上がってしまったのか。
「1つは国内の水揚げ量の減少。もう1つは欧米圏のタコ消費量が急増したこと。円安のうえに海外の業者との買い付け競争が激化したため、それが価格に跳ね返っている」(水産業界紙記者)
かつてタコは西洋でデビルフィッシュと呼ばれて敬遠されてきたが、どうやらそれも過去のことのようだ。