「文字が小さい。なんとかしろ!」携帯ショップの店員を苦しめる“横暴な中高年客”。退職を決意した出来事は…

昨今社会問題になっているカスタマーハラスメント。携帯電話の販売などを行うショップでも、迷惑な客と遭遇することが多々あると聞く。かつて携帯ショップの店長を務めていた森航平さん(仮名・20代)が苦々しい表情で口を開く。これまで遭遇してきた迷惑客には、とある傾向があったという。

◆中高年客は「キレる、ゴネるのはあたりまえ」

「厄介な客は圧倒的に中高年が多いです。デジタルネイティブ世代の若者はこちらが説明しなくても、ある程度知識があるので、説明すれば話が通じるのですが、中高年はなかなか納得しません。キレる、ゴネるのはあたりまえ。喚き散らす人もいました」

森さんは、困った中高年客の特徴について、持論を展開する。

「中高年の客は総じて、タメ口ですね。年齢が上なので仕方ないのかもしれませんが、あまり良い気はしないですね。もちろん良い人もいますし、タメ口が絶対にダメとも言い切れませんが、『友達じゃねえんだよ、何様だ』と内心思っていました」

◆プランについてあれこれ言われても困るのだが…

森さんの頭を悩ませていた中高年客。そのなかで、多かったのが「料金プランがわからない」とキレる客だったそう。

「料金プランを説明すると、『わからない』『ややこしい』とキレられることが、本当に多かった。プランが複雑なのは事実なので、こちらもなるべくわかりやすく説明するのですが、『全然わからねえよ』『もっとわかりやすく説明しろよ』と……。また、プランについて『全然お得じゃねえよ!』と怒られもしました。プランを決めているのは携帯会社で、ショップ店員の私が決めているわけではないんですよ」

◆「文字が小さい。なんとかしろ!」と怒鳴られた

森さんは「テキストサイズ」について、かなり強烈なクレームを受けたことが忘れられないという。

「中高年と思われる男がわざわざ携帯ショップに電話をかけてきて、『文字が小さい。なんとかしろ! こんな小さいなんて、聞いてない。金を返せ』と怒鳴られました。内心『は?』という感じで、『スマートフォンの設定で直せますよ』と言うと、『わからん』と。こちらも相手をしていられないので、『ネットで調べてください』と告げて切ろうとしたのですが、『なんだその態度は。本社にクレームを入れるから名を名乗れ』とまたもブチキレ。『そうしたければどうぞ』と言って、切りました。クビ覚悟でしたが、その後音沙汰はありませんでした」

機種変更の対応でも、理不尽な客に遭遇したことがあるという。

「機種変更の際、古いスマホから新しいスマホにデータを移すのですが。これぐらいのことは若い人なら自分でやります。60代ぐらいの男性が『やり方がわからない』というので、代行したんです。事前に『移行には時間がかかる』と案内したのですが、移行中に『遅い!遅い!』『このあと予定がある』とキレ出しました。『それなら自分でやることをおすすめします』と言うと、『できるわけがない!』『早くしろ!』と怒鳴り散らす。結局、『もうデータ移行はしない!』と言って出ていきました」

◆「辞める決意を固めた」できごと

森さんが「1番困った」と語るのが、通信障害が発生した際のクレームだ。

「携帯が通信障害で長時間繋がらなくなった日がありました。嫌な予感はしていたのですが、やはり50代の男がやってきて、『なにをしてるんだ!』『いつ繋がるんだ!』と女性スタッフを怒鳴り散らしました。スタッフは『もうしわけありません』と謝っていましたが、それでも『ふざけるな』と。ショップ店員に言われてもどうすることもできないので、なんとか帰ってもらうしかないと思い、私が出ていくと『ふざけるな、早く直せ』と怒鳴られました。我慢の限界に達していましたが、居合わせた複数のお客様が『店員に言ったって仕方ないだろ』『八つ当たりするな』と言ってくれて、男は逃げるように出ていきました。この日はクレーム電話も殺到で、辞める決意を固めました」

携帯電話は料金プランや設定など、わからないことが多いもの。だからといって、反射的にクレームを入れるのではなく、説明をしっかり聞く、あるいはネットで検索して解決方法を調べるなど、常識的な行動をとってほしいものである。

<TEXT/佐藤俊治>

【佐藤俊治】

複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など

2024/11/5 8:51

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