イニエスタ、バルセロナで引退会見を実施…次は指導者の道へ「いつかバルサに戻りたい」
元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタが8日、スペイン・バルセロナにて会見を実施し、現役引退を報告した。
イニエスタは今月1日、自身を象徴する背番号『8』に伴い、2024年10月8日に自身の将来に関する発表を行うことを示唆。前日の7日には、自身の公式SNSを通して現役引退の意思を表明すると同時に、同会見に向けたビデオを公開していた。そして8日、カンテラ(育成組織)時代からトップチーム昇格後の2018年夏までを過ごしたバルセロナのクラブ施設内で、現役引退の意思を自らの口で明かした。
かつてのチームメイトも多く駆け付け、共にバルセロナの黄金時代を築き上げたシャビ・エルナンデス氏、現在はクラブのスポーツ・ディレクターを務める元ポルトガル代表MFデコ氏、現在はキングス・リーグの主催者としても知られる元スペイン代表DFジェラール・ピケ氏、さらにはバルセロナだけでなくヴィッセル神戸でも共にプレーした元スペイン代表FWボージャン・クルキッチ氏や同MFセルジ・サンペールらが来場。数多くの“戦友”、そして愛したクラブの関係者に見守られながら、イニエスタは自らの言葉で現役引退の意思を明かした。
「今日ばかり感情的になることを許してほしい。こんな日が来るとは思わなかった。想像もしていなかった。この数日間に流した涙は、悲しみを意味しているのではない。サッカー選手になるという夢を抱いていたフエンテアルビージャ出身の少年に対する誇りを意味しているんだ」
「僕はラ・リーガ1部で活躍するような選手になりたかった。多くの犠牲と努力の末に、それを成し遂げることができた。その旅路で得た価値観は、僕の人生において必要不可欠なものであり、その道を誇りに感じている。サッカー選手という人生を歩むことができて、とても幸せだと感じている。この道はまるでおとぎ話のようだね。サッカー選手としてのキャリアで得られる最高のものを経験することができたのだから」
「僕の人生の旅路は、フエンテアルビージャからはじまりバルセロナに辿り着いた。ラ・マシア(バルセロナの育成組織)は僕の人生を大きく変えてくれた。この人生で持つべきすべての価値観を高めるために、最も適切な場所だったんだ。コーチたち、チームメイト…数えきれないほど多くの人々にとても感謝している。僕の人生を決定付けてくれた場所だった」
「最後の1滴となる汗が落ちるまで、そしてサッカー選手として戦った最後の瞬間まで、努力を続けられたことを誇りに思う。残っているのは多くのタイトルを勝ち獲ったこと、そして敗北の記憶だけど、プライドとあきらめない気持ちが最後の瞬間の僕を非常に幸せにしてくれた。願いが叶うなら、僕は90歳までプレーしていたかもしれないね」
同会見の中で、イニエスタは最も自身の中に刻まれているゴールとして、2008-09シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)・準決勝のチェルシー戦でバルセロナのファイナル行きを決定付けた後半アディショナルタイムのゴールと、FIFAワールドカップ南アフリカ2010・決勝のオランダ代表戦のスペイン代表を世界一の座に着かせる“116分のゴール”の2つを挙げたが、双方に順位をつけるようなことはしなかった。
同時に、バルセロナがフットボール史上初主要大会6冠を成し遂げた2009年の翌年、バロンドールの最有力候補として名前を挙げられながら、最終的にはチームメイトのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシが同賞に輝いたことについては、「僕にとっては、表彰台でシャビとメッシと僕が一緒に写っている写真が、バロンドール以上のものさ。あの2人と受賞を争うならば、正直誰が賞に輝いても良かったんだ」と明かしており、自身のキャリアに後悔はないと強調した。
また、現在バルセロナを率いるハンジ・フリック監督に対しては「彼には長らくここにいてほしい。というのも、それは僕らのクラブが多くの成功を収めたことを意味するからだ」という言葉で敬意を表明しつつ、「僕はまだその道では一流になれていないけれども、目標は監督になることなんだ」と明言。自身が「サッカーと離れることはできない」とした上で、次のように言葉を紡いだ。
「サッカーは僕の人生そのものさ。次の日に最高の自分を見せるため、時間をかけてきた毎日に終わりがくるなんてね…。だけど、次の章に向かうため、アカデミーを通して再びトレーニングに励む必要がある。この姿勢はラ・マシアで学んだもので、僕が一生をかけて維持していきたい遺産のようなもの。既にコーチングコースに進むための第一歩は踏み出しているし、それはこれからの僕が全力を捧げるものになる。僕という人間を知っている人は、どれほど頑固者かをわかってくれると思うんだ。僕はこの道を突き進み、うまくやっていくことを決めたんだ」
「将来的には、(監督として)バルサに戻りたいと思っている。けれども、それは然るべき時、つまりバルサという偉大なクラブを率いるのに自分が適していると感じられるようになってからの話さ。今は『監督としてのイニエスタ』という新たなプロフィールを持つために、努力を重ねることだけを考えている」