旧ジャニーズ事務所、被害者感情逆なでの態度に「事件の風化」を危ぶむ声

 創業者である故・ジャニー喜多川氏による性加害問題を受け、旧ジャニーズ事務所(現・SMILE-UP./以下、スマイル社)が加害を認め、謝罪して1年。被害を訴える当事者で結成された「ジャニーズ性加害問題当事者の会」が9月7日をもって解散した。被害者救済と補償について「実績を残すことができた」としたものの、それから1カ月、業界関係者からは早くも事件の風化を懸念する声があがっている。

「『当事者の会』も『補償と救済はまだ道半ば』と指摘する通り、スマイル社の補償対応はまだ終わっていませんし、性加害の実態もきちんと明らかにされたとは言い難い。そんななか、『当事者の会』が解散したことで、いまだ補償問題が未解決の元タレントや、スマイル社から被害認定されなかった被害者たちが、世間に“性加害問題は終わった”という印象が与えられないかと危惧しています」(芸能ライター)

 8月30日にスマイル社が公表した内容によれば、被害を申告したのは、996人。そのうち497人が補償内容に合意し、489人に対して補償金が支払われたものの、申告者244人とは連絡が取れず、また、在籍や被害の確認ができなかったとして、補償を行わない旨を連絡した人が203人にのぼるという。

「つまり、まだ半数近くの補償問題が終了していないんです。たしかに被害者と認定されなかった203人の中には、被害者を装った反社の人間もいたようですが、大半の人は認定されないことに納得していませんし、二次被害に悩まされている被害者もいます。さらに性加害問題をめぐっては、今年3月、ジャニー氏だけでなく、旧ジャニーズ事務所スタッフが所属タレントに性加害を行っていたことが明らかになりました」(全国紙記者)

 今年3月28日、スマイル社は、旧ジャニーズ事務所のスタッフ2人が所属タレントに性加害を行っていたことを初めて公表したが、これは、イギリスの公共放送BBCが、東山紀之社長への単独インタビューを行ったなかで明かされたものだった。

「インタビューの中で、スタッフ2名の性加害について聞いていると答えた東山社長は、BBCの記者から『その情報は、あなたたちから警察に提供すべきでは?』と問われながらも、『法的なことを考えると僕らには権限がないと思います』と答え、その対応を批判されています。事情通の間では、元スタッフの1人は東山社長のマネジャーだった男性と噂されていますが、スマイル社は、関係者のプライバシーを理由に『回答は差し控える』と答えるだけ。事務所の身内を守ろうとする隠蔽体質は変わりません」(前同)

 スマイル社が被害者救済に動く気配がないため、9月3日、市民団体「ジャニーズ問題の早期解決を望む市民の会」が、ジャニー氏ほか、元スタッフの捜査を求める署名1万3733筆を警視庁赤坂署に提出しているが、その頃、東山社長がメジャーリーガー大谷翔平選手の試合を現地観戦する現場が目撃され、さらなる批判を集めている。

「9月5日(現地時間4日)、東山社長が、妻で俳優の木村佳乃と、『STARTO ENTERTAINMENT』社の福田淳社長と共に、ドジャース対エンゼルス戦を現地のVIP席で観戦している姿がMLB中継に映り、テレビ観戦していた視聴者にもバッチリ“目撃”されました。ちなみに、彼らが目撃されたVIP席は1シーズン25万ドル(約3600万円)とも言われています。補償問題が終わらないなか、庶民感情を逆撫でしたのは間違いないでしょう」(女性誌記者)

 1年前の謝罪会見に出席した東山氏は、ジャニー氏の性加害について「人類史上、最も愚かな事件」と断罪。「今後はこの事実に真摯に向き合うため、年内をもって、表舞台から引退します。今後は人生を懸けてこの問題に取り組んでいく覚悟です」と被害者への補償と再発防止を誓っていたがーー。

「『当事者の会』の解散が決まったことで、肩の荷が下りたと思ったのかもしれませんが、まだ被害者救済も、旧ジャニーズ再生も始まったばかりです。被害者の痛みがわからないようであれば、スマイル社は東山社長を解任してでも、真剣に補償問題に取り組むべきではないでしょうか」(前同)

 性加害問題が風化されることのないよう、今後もスマイル社の被害者対応に注目したい。

2024/10/3 17:00

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