夏ドラマで輝いた「ブレイク必至の若手俳優」ベスト3。“色気ダダ漏れの20歳”も見逃せない
9月までで夏ドラマが終わりを迎えたが、今回も主演ではないものの存在感を発揮した若手男性俳優が多く登場した。今後の飛躍を予感させる若手男性俳優3人に触れたい。
◆“ネクストブレイク俳優1位”にも輝いた奥野壮
まずはニュースサイト「モデルプレス」が9月17日に発表した「あなたが思うネクストブレイク女優&俳優は?」というアンケート調査で1位に輝いた奥野壮(24歳)。ドラマ『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)で城島佑を演じた。城島はクラスの1軍かつ暴力沙汰ばかりを起こす不良高校生で、「学校なんてくだらない」「教師なんて信用できない」という価値観を有する、ある意味“学園ドラマの王道キャラ”である。
気性が荒く、すぐに手が出てしまう粗暴な性格をしっかり乗りこなし、暴力を振るわずにポケットに手を突っ込んで佇む姿も様になっていた。だからこそ、徐々に担任教師・加賀美零(山田涼介)と接する中で、改心して表情が変わっていく過程は微笑ましい。また、漫画『GTO』(講談社)の“相沢雅”をイメージせざるをえない、城島の想い人・東堂雪美(大原梓)と仲を深めていく様子も可愛らしさを覚えた。
◆仮面ライダー主人公からの不良役という王道ルート
ちなみに、夏ドラマでは『ビリオン×スクール』だけではなく『コスメティック・プレイラバー』(フジテレビ系)にもメンズ美容部員として出演。生意気な後輩・佐橋斗真(豊田裕大)に振り回される生真面目な先輩・間宮棗役を務め、可愛い系でも魅せられる演技の幅広さを見せた。
『仮面ライダージオウ』(テレビ朝日系)の主人公・常磐ソウゴ役でデビューを飾り、その後もドラマ出演を増やして着々とキャリアを積み上げ、ここに来て城島役を務めた奥野。『仮面ライダー電王』(テレビ朝日系)で主人公・野上良太郎を演じ、その後『ROOKIES』(TBS系)で岡田優也を演じた佐藤健をはじめ、「『仮面ライダー』シリーズの主役に抜擢され、不良キャラを演じる」という王道ルートを歩んで人気を確立した俳優は多い。奥野の今後に期待したくなる。
◆うぶな高校生からの“変化”で魅せた野村康太
次は『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京系)に三宅渉役で出演、沢村一樹の息子としても注目されている野村康太(20歳)。渉は主人公・如月みのり(松本まりか)の夫・勇大(竹財輝之助)の不倫相手・理子(野波麻帆)の息子というポジション。作中では、勇大たちへの復讐達成の“駒”として、みのりに誘惑されてまんまとゾッコンになってしまった可愛いやつ。
とはいえ本作では鬼気迫る松本の演技に意識を奪われることが多く、前半の渉はキーパーソンではあるものの“うぶな高校生”くらいの印象。第1章ではあまり存在感を発揮できていなかった。しかし復讐達成から7年後を描いた第2章が始まると、本領を発揮した。
◆20歳にして大人びた色気がダダ漏れ
高校はとっくに卒業しており、偶然みのりが移住していた地方の小学校で教師として働いていた渉。前髪重めだった高校生時代の髪型から、おでこを出す髪型に変更しており、すっかり大人びた雰囲気を醸し出していた。おでこを出すことで“垢抜けた感”を出すことはできる。その手法はよくわかっているが、それでもここまでギャップを出せたのは野村が魅力的な役者であるからに他ならない。
10話では雨でびしょびしょに濡れた服などお構いなしで、みのりと濃厚なキスをするシーンも見られ、弱冠20歳にしてすでに色気がダダ漏れ。本作に限らず、今後は恋愛ドラマで多くの視聴者を虜にしていく未来がすでに約束されている気もする。
◆子どもの可愛さを引き出す笑顔・木戸大聖
最後は『海のはじまり』(フジテレビ系)で、主人公・月岡夏(目黒蓮)の弟・大和を演じた木戸大聖(27歳)。大和は先述した2人よりも出演シーンは少ないものの、その無邪気な笑顔は多くの人の記憶に深く刻まれているはずだ。とりわけ、夏の娘・海(泉谷星奈)と接している時にとても良い表情を浮かべる。
5話で夏に連れられて月岡家に初めて訪れた時、大和と目が合ってすぐに打ち解け、次のカットでは一緒にゲームを楽しむ。父親の夏でさえ海と距離を縮めることにはかなりの時間を要したにもかかわらず、大和にとっては刹那さえ必要なかった。
また、9話では夏と海がファミレスで食事をしている場に合流。「海ちゃん」「会いたかったよ」と口にしながら海の隣に突撃して抱きつく姿はあまりに可愛らしい。その後、トイレに行きたがる海を「よしっ、行ってこい」と抱きかかえながらトイレに行くように促す様子もたまらない。大和は海からすれば“おじさん”になるが、“お兄ちゃん”のような包容力を見せた。
◆『おとうさんといっしょ』の出演も活きている
“すぐに子どもに好かれる”という彼の特殊能力に説得力を持たせる演技が求められた大和役で、木戸は期待にしっかり応えた。その要因として、2018年から2021年まで『おとうさんといっしょ』(NHK Eテレ/NHK BSプレミアム)に出演していたことが挙げられる。子ども向け番組に出演していた木戸だからこそ、海とすぐ仲良くなれたことに疑問を抱く視聴者はいなかったのだろう。子どもと関わる役を今後も見たいが、その可愛さで女性を振り回すような役も見てみたい。
今回取り上げた3人の役者の今後、また過去の作品もチェックしていきたい。
<文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki