堺打刃物の新ブランドをフランスで立ち上げ。世界中の人々から愛されることを目指す「sen閃」 その戦略に込められた思いとは

「パリで認められて、そこから世界に大きく拡げたい!」

そんな思いでスタートした、堺打刃物の製造卸の会社 株式会社高橋楠のフランス発の新ブランド「sen閃」の悪戦苦闘の開発ストーリーです。

株式会社高橋楠は、「世界中の食文化を、料理の力で前進させる」をビジョンに、「世界中で、よりよい料理を志向する人の最高のパートナーになる」をミッションに日々邁進しています。

堺打刃物業界は特に鍛冶師の減少に歯止めがかからない状況です。弊社では分業制の堺打刃物で内製化を進めて職人育成に努めています。一方で、堺の包丁を世界にもっと知ってもらうべく、2022年に、新ブランド「sen閃」の立ち上げを行いました。

sen閃第一弾:左から順に

Kurouchiペティ・Migakiペティ・Kyomenペティ・

Kurouchiスライサー・Migakiスライサー・Kyomenスライサー・

Kurouchi牛刀・Migaki牛刀・Kyomen牛刀

Kurouchi切付牛刀・Migaki切付牛刀・Kyomen切付牛刀

Kurouchi切付スライサー・Migaki切付スライサー・Kyomen切付スライサー・

Kurouchi切付ペティ・Migaki切付ペティ・Kyomen切付ペティ

食の都でありデザインの中心地であるパリで認めてもらうべく立ち上げた包丁新ブランド「sen閃」

同ブランド立ち上げに際して、2021年フランスの星付きシェフ複数人にインタビューを行い、日本の包丁の認知度・満足点・不満点を中心にヒアリングを行いました。

ヒアリングの内容を参考にし、現地のブランディングは現地の方が良いと考えていましたので、フランス現地のフランス人アートディレクターと喧々諤々ブランディングを行いました。「sen閃」はフランス人にとって響きの良い韻であること、そして日本刀で切ったときの閃光をイメージし、命名しました。

第一弾の商品開発においても、現地の方と協業したく、フランス現地のプロダクトデザイナーと協議を重ね、「日本の伝統や文化を世界に拡げる」を商品コンセプトに、刀身はステンレス製の堺打刃物に決定し、ハンドルをどうするか議論を重ねました。

伝統技法を用いた「藍染」との出会い。環境に配慮した天然素材をハンドルに

第一弾の商品開発について、「sen閃」は、「日本の伝統や文化を世界に拡げる」ということをコンセプトにしていました。

今は、悲鳴を上げ続けている世界で環境配慮は必要不可欠です。

商品コンセプトと世界の現況を鑑み、素晴らしい天然素材に出会いました。

弊社が見つけた藍染の会社は、環境に配慮し、完全無農薬の持続可能な農法を追求し藍を育て、スクモにし、伝統技法を用いて藍染を施しています。

藍染のブルーはフランスのカントリーカラーであり、Japan Blueでもあります。

フランス人アートディレクターと、フランス人プロダクトデザイナーと、議論を重ね、藍染のハンドルにすることにしました。

藍染は毎年の藍の出来によって青色具合が変わり、また使えば使うほど味が出て良い色になります。新ブランドには非常に適した素材でした。

しかし、樹種の選定により、2022年のフランスお披露目は惨敗となります。

限られた準備時間の中で迎えた、「sen閃」お披露目の国際展示会は、文字通り惨敗の結果に

そして迎えた、フランスの国際展示会「Maison et Objet in 2022」

木目の美しい国産の樹種を選択したのですが思った青色が出ず、また会期まで時間がなかったこともあり、当初の予定のデザインのハンドルが出来上がらず、中途半端な状態での出展となりました。

「sen閃」のお披露目でもあったのですが、代表の商品への自信のなさがブースにも表れ、旧来からある弊社のブランドとsen閃の包丁を分け合う形での出展となりました。

結果としては、来場者の方も弊社の旧来のブランドを主に手に取る始末。

やはり、ハンドルで藍染のブルーを綺麗に表現できなかったことが最大の敗因と考えています。また、商品コンセプトも今ほど明確に、自信を持って伝えられておらず、今考えると、この点も敗因でした。手にとってくれた来場者はいましたが、それ以上の商談には結びつかない結果となりました。

2022年の出展は文字通り惨敗。反省だらけの出展となりました。

翌年の国際展示会に向けて、改良を何度も重ね、自信を持って迎えた「Maison et Objet in 2023」

2022年のMaison et Objet終了後、商品改良が始まります。

まずは、樹種。藍染の会社と話し合いを進め、国産で青が最も綺麗に出る北海道メープルに変更しました。木目は諦める形になります。

そして、2022年の出展では諦めた当初のデザインでの商品開発です。デザイナーが考案したデザインでの製作は非常に困難でしたが、木柄の職人と話し合いを重ね、こちらも原案通りの商品に仕上がります。

デザイナーが机上で考えた、スタイリッシュなデザインを実現するのは、作り手側からすると困難を極めますが、話し合いを重ねに重ね、原案通り出来上がった際には、感極まります。

そして迎えたMaison et Objet in 2023。商品への自信は今回はブースに表れる形となります。

結果、sen閃の受注を欧州各国の小売店から頂きました。

パリの星付きシェフたちへお披露目イベントを開催。三ツ星レストラン総料理長の廻神大地氏との出会い

Maison et Objetの後、10人を超えるパリの星付きシェフの方たちへのsen閃のお披露目イベントを開催しました。

色々な星付きのシェフの方にお披露目しましたが、特に、三ツ星レストランのGroupe Yannick Allénoの総料理長である廻神大地氏に商品を使ってもらえたことは大きな成果でした。

翌年にも廻神氏とお話をする機会がありましたが、sen閃の包丁に非常に高評価をいただいています。

Youtubeチャンネルでもsen閃をよく使用してくれています。

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シェフたちからのさまざまなフィードバッグ。これからの商品開発の糧に

2023年にパリで星付きのシェフにお集まりいただき、「sen閃」のお披露目を行い、翌年に、同商品へのフィードバックをもらうべく、パリで同様のイベントを行いました。

良いフィードバックも頂きましたが、手に取らなくなったというシェフも中にはおり、そこは真摯に掘り下げて考えていく必要があると感じました。

手に取らなくなった理由の一つとしてあったのは、「昔から使い慣れている包丁に戻ってしまう」ということでした。これは、シェフからはよく聞く話であり、「どのようにして愛着のある所持品から新しい包丁に切り替えてもらうのか」ということは、もっともっと突き詰めて、掘り下げて考えないといけないと思っています。

同じイベントでは代表の高橋が、「sen閃」の研ぎも行いました。

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フランスでは知らない人はいない著名シェフThierry Marx氏の評価。伝統的フレンチからも認められるsen閃の包丁

そして、2024年に、フランスでは知らない人はいない著名シェフThierry Marx氏にインタビューと包丁研ぎをする機会を頂戴します。

Thierry Marx氏は、なぜ弊社の包丁が素晴らしく、そしてsen閃の包丁は何が優れてくれているのか語ってくれました。

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インタビューの中ではThierry氏の思想や哲学に触れる機会があり、伝統的なフレンチの分野で、科学的なアプローチを始め、斬新な取り組みをされても尚、業界で突き抜けられる同氏の凄みを感じました。

大変ご多忙なのに、代表が包丁研ぎをしている間もずっと横にいらっしゃって、研ぎを見てくださっている姿を拝見し、お人柄が窺えました。

第二弾は米国市場に挑戦。世界中の料理人に愛される日を目指して、「sen閃」の歩みは続く

2023年のMaison et Objetが終わり、2024年に向けて、米国向けの新商品開発がスタートしました。

アメリカでは、ギフト市場にステーキナイフ、プロ市場に洋包丁の開発を進めます。

今回も市場調査が肝要なので、2023年10月にニューヨーク・デンバー・ロサンゼルスの包丁小売店を訪問し、市場調査を行いました。その中でニーズのある商品・価格帯をヒアリングし、第二弾の商品開発に活かします。

こちらが現時点での商品イメージです。

「sen閃」の世界戦略はまだまだこれからも続いていきます。世界中の一流シェフから好評いただき、世界中の料理に携わる人たちから愛される日を目標に、奮闘は続きます。

「sen閃」付随資料

【オフィシャルムービー】

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【オフィシャルブランドサイト】

https://sen-knife.com/

【インスタグラムアカウント】

https://www.instagram.com/sen.knife/?hl=ja

【商品コンセプト】

1. 自然に恵まれ、歴史と文化に恵まれる日本

「日本らしさ」を追求する閃は、「日本らしい」自然の恵み、「日本らしい」歴史と文化を商品作りに体現することを志向

2. 本質的なサステナブル

地球が悲鳴を上げている中、恵み豊かな日本を守るべく、閃では、サステナブルな商品作りを志向

3. 藍染への遭遇

閃の想いを体現する日本の文化的技法「藍染」に遭逢

数ある藍染事業者の中から、藍が最も日本らしく美しく表現できるよう、畑から管理し、また、完全無農薬の持続可能な農法を追求し、サステナブルな未来を志向する藍染事業者を選定

4. 一本ものの堺打刃物

日本のプロの料理人に最も選ばれている堺打刃物

食材の旨味と風味を最大限引き出す切れ”味”の良い包丁

実用性を追求し、使いやすいステンレス製両刃の刀身で、持ちやすさとバランスに最大限配慮した柄の形状を採択。刀身・柄・藍染の3者のプロフェッショナルが製作

木目の美しさを見事に浮きあがらせ、藍でしか表現できない風合いを醸し出す、一点一点異なる木目模様

5. 堺打刃物事業者が厳選した木材 × 藍染事業者が厳選した木材

堺打刃物が包丁に合う国産の木材を厳選

その中から藍染事業者がJapanブルーを最も美しく表現できる木材を厳選

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2024/9/19 11:40

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