古賀紗理那、高梨沙羅…アスリートの水着写真投稿に理不尽な批判 SNS利用を一部の人々が妨害する「歪な構造」

 パリ五輪をもって現役を引退したバレーボール女子日本代表の古賀紗理那が8月24日、自身のインスタグラムのストーリーズに、バカンスを楽しんでいる様子を投稿。そのなかに浮き輪を使ってプールで泳いでいる写真が含まれていたことが、一部で物議を醸している。

「写真そのものは、古賀さんの満面の笑みが印象的なショットです。もともと、女性アスリートがSNSで水着姿の写真などを投稿すると、煽情的な見出しで取り上げるメディアが少なからずあり、一部からは“そんなことをやっているくらいなら練習しろ”などの意見が寄せられるのが、ひとつのパターン。古賀さんの場合はすでに引退しているので、練習云々ではなく“インフルエンサー的な動き”に反感を覚えた人もいたようです。もちろん開放感あふれる楽しそうなショットには、好意的な見方をする声も多いのですが……」(スポーツライター)

 今年7月にはスキージャンプの高梨沙羅も、インスタグラムのストーリーズにて黒いビキニと大きなサングラスを着用した写真を公開した。こちらの投稿にも批判的な声が寄せられた。

「高梨選手の場合、年齢を重ねるごとにオシャレになっていますが、なぜかそれを批判する層が一定数います。“見た目を気にするよりも練習しろ”とか“メイクをするようになってから成績が悪くなった”といった声が多いのですが、いずれも赤の他人に言われる筋合いのない話。世界を見渡せばオシャレを楽しむトップアスリートはいくらでもいますし、SNSでひとときのバカンスを楽しんでいる写真を投稿するアスリートも珍しくない。選手にとっては理不尽でしかないでしょう」(同)

 一方、プロテニスプレイヤーの園田彩乃も自身のインスタグラムで水着写真を披露。するとそのスタイルの良さも相まって、多くのネットメディアで取り上げられたのだが……。

「園田選手はランキング上位の選手ではなく、今回のインスタグラム投稿でその存在を認知したというネットユーザーも多いでしょう。だからということもあってか“練習しろ”といった声は上がっていない。単純に自身の知名度を高める結果になったと思います」(同)

 SNSでの投稿は個人的な楽しみであるだけでなく、自身のブランディングや競技のPRにもつながる。プロスポーツ選手であれば、うまくSNSを活用していくことも重要だ。

「アスリートにとってのSNSは炎上のリスクもありますが、基本的には自分のパーソナルな部分を発信して、ファンとともに共有するためのものです。また、SNSとの距離が近い若いアスリートにしてみれば、楽しいオフショットを投稿するのは当たり前のことですし、水着の写真だって何ら珍しくない。しかし、日本国内では“アスリートは日常を犠牲にして精進してこそ”という考え方のスポーツファンもまだ存在していて、そういった人々から批判されやすいというわけです。スポーツ界と過去の価値観にとらわれるファンとの間にギャップができてしまった。園田選手のようにSNSを効果的に使って自身のPRを果たすケースがあるのに、古賀選手や高梨選手のようにSNSに水着写真を投稿しただけで批判にさらされるという状況はある意味不公平ともいえる。SNSによる競技や選手の人気拡大のチャンスを古いタイプのファンが奪っているという、歪な構造が浮き彫りになっているわけです」(同)

 昨今のスポーツ界では、露出度が高い競技ウェアを着たアスリートに対し、性的な視点で取り扱うことが問題視されている。そういった状況であるからこそ女性アスリートの水着投稿はいかがなものか、との声も上がっているが……。

「そもそものアスリートを性的な目的で盗撮したり、性的に見えるような瞬間を切り取って報じたりすることがNGなのであり、アスリート自らが水着写真を投稿することとは、まったく別の話。また、それなら園田選手に対してなら露骨なまでに性的な視線を向けてもいいのか、という声もありそうですが、当人の意図する部分もあったりするのでこれまた別の話です。露出度が高い服を着ている女性に対してもセクハラ的な発言は許されないのと同じで、アスリートの水着投稿にも良識ある反応をすべきという時代。当然、SNSでも“思ったことを思うままに発信していい”とはなりません」(同)

 自らの息抜きであるだけでなく、競技者やファンの裾野を広げるためにも活用されるアスリートのSNS。時代に合った観点でその投稿を見ていくことこそが、スポーツの発展につながると願いたいが……。

2024/9/1 11:00

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