日経平均“4451円下落”の今だからこそ「投資を続けるべき」理由。過去の暴落事例で明らかに

8月5日の日経平均株価は約4451円下落し、TOPIXもマイナス12.23%も下落しました。新NISAがはじまって最初の大暴落であったことから、投資を始めたばかりの方や暴落の経験がない方にとっては不安が大きいのではないでしょうか。いくつかのメディアでは新NISAを売却したというニュースもありましたが、大暴落の今だからこそ「投資を続けるべき」ということを理由と合わせて解説したいと思います。

◆理由1:暴落時こそ新NISAでインデックス投資をコツコツ続けるべき

本来の新NISAの目的は長期間の運用で資産を育むものであり、短期間で資産を増やすものではありません。例えば、オルカン(全世界株式)やS&P500などの指数に連動するインデックス投資に毎月決まった金額を投資するドルコスト平均法であれば、マーケットの値動きを気にする必要はありません。

最初の設定をして、あとは継続する「ほったらかし投資」の優れた点は、感情に左右されずに自動的に購入する仕組みにあり、暴落時は「絶好の買い場」となるのです。

実はインデックス投資はプロの8割の投資家に勝てると言われるほど、優れた投資手法です。以上のような理由から、どんな状況であっても新NISAは続けるべきなのです。

◆理由2 過去の暴落事例から回復までの期間

過去10年以内に発生した暴落によってTOPIXが下落から回復までに要した期間はどれぐらいだったのか、過去の事例を取り上げていきます。

2016年2月チャイナショック

要因: 中国経済の減速と金融市場の不安定化。具体的には、中国の製造業の低迷や資本流出が加速し、人民元の下落などを背景に暴落しました。

底値: 2016年2月12日(1196.28ポイント)

直前ピーク: 2016年2月1日(1462.67ポイント)

下落率: -18.2%

回復期間: 約9ヶ月

相場解説:世界中の投資家がリスク回避のために資産を売却し、株式市場は急落。TOPIXもその影響を受け、大幅に下落しましたが約9ヶ月で元の水準に戻りました。

2016年6月: ブレグジット

要因: イギリスのEU離脱(ブレグジット)決定。国民投票で離脱が決まったことで、欧州経済の不透明感が増し、金融市場が大きく揺れました。

底値: 2016年6月24日(1204.48ポイント)

直前ピーク: 2016年6月23日(1298.71ポイント)

下落率: -7.3%

回復期間: 約3週間

相場解説:市場はブレグジットの衝撃を受けて一時的に大幅な下落を見せましたが、短期間で元の水準に回復しました。

2018年12月: 米国株急落・円高ドル安進行

要因: 米中貿易摩擦の激化やFRBの利上げ継続により、米国株式市場が急落し円高ドル安が進行しました。

底値: 2018年12月25日(1415.55ポイント)

直前ピーク: 2018年12月3日(1689.05ポイント)

下落率: -16.2%

回復期間: 約11ヶ月

相場解説: 貿易摩擦や金融政策の不透明感が市場に悪影響を及ぼし、株式市場は急落しました。日本のTOPIXも影響を受けましたが、約11ヶ月で回復しました。

2020年2月: コロナショック

要因: 新型コロナウイルスのパンデミック。世界中で感染が拡大し、各国で経済活動が停止されました。

底値: 2020年3月16日(1236.34ポイント)

直前ピーク: 2020年2月6日(1736.98ポイント)

下落率: -28.8%

回復期間: 約8ヶ月

相場解説:パンデミックによる経済停止と不確実性が市場に大きな打撃を与え、株価は急落しました。しかし、各国の大規模な経済対策やワクチン開発の進展により、市場は回復基調に乗り、約8ヶ月で元の水準に戻りました。

こうした事例を見れば明らかなように、最大でも1年程度で暴落直前のピークと同水準まで株価が回復していることが分かるはずです。もちろん株価急落時の取引にはリスクがあるので慎重になるべきですが、パニックになって本来売らなくても良い株まで売ってしまっては本末転倒なのです。

◆理由3 ある日突然ブラックスワンはやってくる

株式市場には「ブラックスワン」という言葉があります。この言葉は1697年にヨーロッパで白鳥は全て白色であると信じられていた中、オーストラリアで黒い白鳥が発見され、その定説が崩れたことが由来です。

この概念は金融の世界でも使われるようになり、マーケットの予期せぬ大暴落が発生すると多くの投資家がパニックに陥り、本来売らなくても良かった株まで投げ売りしてしまう現象を指します。

残念ながら多くの投資家は、正確に「ブラックスワン」がやってくることを予測することは困難です。つまり長く投資をしていれば10年に1度は暴落はやってくるものであり、避けて通ることは不可能です。だからこそ、どんなときも無理せず継続できる投資が重要になるのです。

本来投資というものは、いかに退場しないで生き残れるのかを考えるべきです。その重要さを改めて考える機会が今回の出来事ではないでしょうか。株式市場の乱高下に惑わされず、冷静な判断を保ちながら、長期的な視野で投資を続けていくことが大切です。

<文/鈴木文太郎>

【鈴木林太郎】

金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。 米国株投資がメインなので、主に米国経済や米国企業の最新情報のお届けを心掛けています。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数

X(旧ツイッター):@usjp_economist

2024/8/6 8:55

この記事のみんなのコメント

3
  • 脱走兵

    8/8 21:50

    証拠金取引してたら一発で追証発生からの追証用意できなきゃ半分以上失っての強制終了だがな(笑)。『投資』と『投機』の違いが解ってれば額面が暴騰しようが暴落しようが関係無い、という事。

  • 率で言ったら大暴落は大げさ。

  • 鈴木林太郎、ジム・ロジャーズと同じく…!?

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