知らない人だけ損をする「銀行預金だけの人」が貧乏になってしまうワケ

 円安による原材料費の高騰をはじめ、インフレがじわじわと進行する日本経済。家計の苦しさを感じ、将来に不安を抱く人も多いはず。

 そんななか「今後の資産形成を考えるなら、銀行にお金を預け続けてはいけない」と指摘するのが、なかのアセットマネジメント株式会社代表取締役社長をつとめる中野晴啓さんです。中野さんが指摘する「銀行預金だけで資産が守れない理由」を解説します。

(本稿は、中野晴啓『誠実な投資 お金から自由になれる「長期投資」の鉄則』(徳間書店)の一部を抜粋・編集したものです)

◆インフレ時代の預金は、資産の価値減少に直結する

 銀行に資産を預けるだけでは安心できない一番の理由は、商品の価格が上がるインフレ傾向が続いていることでしょう。これまで、日本は長らくゼロ成長が続いており、モノの値段が上がらない現象「デフレ」の期間が長く続いていました。

 デフレの時代であれば、今日100円だった商品が、1年後も100円以下で買えることになり、お金の購買力は上がります。

 しかし、現在は世界的に、モノの値段が上がるインフレ傾向へと変わりつつあります。実際、日本全国の世帯が購入する製品やサービスの平均的な価格がどのくらい変動したかを測定する「消費者物価指数」は、前年同月比で3%近く上昇しています。

 特にこの1~2年の商品の値上がりはすさまじく、食品などの価格を見ても、昨年100円だったものが1.5倍値上げされ、今年は150円になっている……なんてことも多々ありました。今後は、今日100円だった商品が、1年後には200円くらいになっている可能性もないとは言えません。

 インフレが進めば、その分だけお金の価値も減ってしまう。いままでと同じように銀行にお金を預けておくだけでは、資産の額面自体は変わらずとも、その価値は相対的に下がる。

 つまり、資産を運用しないままでは、大切に築いた資産そのものを減らすことに直結してしまうのです。

◆なぜ、昔は「銀行に預けていればOK」だったのか

 インフレ時代の資産防衛策は、金利を上手に使いこなすことです。仮に銀行に預金をしても、それに見合うだけの金利、すなわち利子があれば、インフレに大きく負けることはありません。

 たとえば、現在、アメリカの銀行の短期金利は5%ほど。一方、2023年のインフレ率は3%前後です。銀行預金を続けているだけでも、資産は年間2%増えていく。金利のおかげで資産は防衛できるわけです。

 数十年前までは、日本でも銀行金利は高かったので、インフレ時代であっても、資産を銀行に預けることに意味がありました。たとえば、1990年12月末、銀行金利は年間6.08%だったので、仮に100万円を預ければ6万円近い利子がついたのです。

 しかし、現在は低金利の時代です。銀行にお金を預けても0.02~0.03%前後の利子しかつきません。100万円を預けても、年間200円か300円の利子しか発生しない。それでは、ちっともインフレ対策にはなりません。

◆超インフレ時代のブラジルで起こった現象とは?

 では、日本のように経済が弱い国で、過剰なインフレが起こるとどうなるか。具体的に過去の事例を紐解いていきましょう。

 1980年代後半から1990年代前半のブラジルでは、財政赤字と公的債務残高が拡大し、大量の紙幣が増刷されたことがあります。その結果、市場には大量のお金が出回り、年間約2500%の物価上昇率を記録するハイパーインフレが起こりました。これだけのインフレが起こると、給与アップ程度では到底追いつきません。

 その際、ブラジル国民が取った行動は、給料をもらったその日にスーパーに駆け込んで食べ物を購入するというもの。前代未聞のインフレなので、明日になれば、牛乳やパン、肉など生活必需品の値段が倍になっているかもしれない。だから、一刻も早く現金をモノに換える選択を取ったのです。これは極端な事例かもしれませんが、日本でもインフレ前提社会はすでに始まっています。

 仮に、現在のように物価上昇率が3%程度を維持し、銀行金利がほぼ0%の状態で銀行に預金を続けた場合、資産価値は今後10年間で30%目減りします。

 現在、3000万円の貯金が、10年後、その実質的な価値は2100万円程度になってしまう。いざ数値にすると、どれだけ大変なことか、よくわかるのではないでしょうか。

<撮影/小黒冴夏>

【中野晴啓】

なかのアセットマネジメント代表。1963年、東京生まれ。明治大学商学部卒業。2006年セゾン投信を設立、2007年4月代表取締役社長、2020年6月より代表取締役会長CEO 就任。2023年6月退任後、同年9月なかのアセットマネジメント設立。全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。近著に『誠実な投資 お金から自由になれる「長期投資」の鉄則』(徳間書店)

2024/6/14 8:44

この記事のみんなのコメント

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  • 常に貨幣価値は下がるのが宿命。預金の価値が下がると言うのは間違っていない。銀行預金もタンス預金も日本円に投資しているのと同じ。ただその事実にどう対処するのかというのは人それぞれで違う。ギリギリで生活してる方に株式投資等は勧めない。そういう方は元本割れの含み損に耐えられないから。どんな方にも資産管理の勉強は勧めるが。ちなみに、預金・株式・債券・不動産・金等の資産割合をアセットアロケーションという。

  • まあ金持ちなら関係ないがカネがないなら貯金はする事無いね引き出すのに金取られるし家に置いとけば使う時に昔からの家での変動金利で初め安くそして金利を上げて払えない人からマイホームを取り上げたり、金を貸すからと迫り悪くなると貸し剥がしかなりの人が苦しんでる今は株とか儲かると騙してるそのうち人が必要が無くなり銀行に必要無くなり役立たずがでてくるかも、こんなヤクザの開始やに金をを預ける必要やないかもね。

  • ***

    6/17 19:02

    銀行預金だけなら貧乏になる?勝手な事言うなアホめ!兄は銀行預金だけだがかなり金持ちですわ!給料が違うからな、以前株とか勧めたけど細かい事面倒だし儲け以上仕事で儲けたら良いわと言われた 今でも中金持ちですわ銀行預金だけだが ただ4年前位からかな?金始めてかなり上がってるけど売るつもり無いみたい、売る意味ないからな、お金ならあるから

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