大好きなお義母さんと一緒にいたい!わけないので義実家とうまくやるには
by marcusrg
結婚する前に相手の両親に挨拶をしに行く。私が結婚した頃は、男性が女性の両親(特に父親)の了解を得るのは、まだ当たり前だったように思います。
結婚には女性側の父親の了解を得るのが"常識"だった時代はたしかにありました。
歌手のさだまさしさんの『親父の一番長い日』という曲は、娘の誕生から結婚までを描いた、文字通り長い曲です。この曲の中で、「娘さんを僕にください」という青年が現れ、それに父親が激怒し、娘が泣き、最終的には父親が「娘をやるのはいいが、一発君を殴らせろ」と返すシーンがあります。
1979年に公表された曲なのでもう37年前、私が結婚するのよりずっと前のことですが、こういうことが一般的だった時代があったのです。この曲はオリコンで1位になって、ドラマ化もしているのですから。
さすがに今はここまでいかずとも、相手の両親に挨拶をしに行くのは当たり前で、嫌われないようにどんな手土産を持っていくか、どんな服装で行くか、何を話すかなどを2人で悩むのは、今でも結婚にまつわる“あるある”なエピソードでしょう。
とはいえ、結婚相手の家族とは挨拶さえ済めばそれで終わりということにはなかなかなりません。時には、親族付き合いが嫌だというのが離婚事由になります。
結婚後も続く関係性
今回もTOFUFUの編集さんに「義理の家族との付き合いについてのモヤモヤはありますか?」と質問してみました。そうしたら、光の速さで、
・義理の実家の盆暮れ正月法事には参加しなきゃいけないのか?
・義理の家族とどう接したらいいか分からない
・義理の実家に行くの頻度とのバランスで、自分の実家に帰りすぎると角が立つのか?
こういったことに悩まれている人がいるというお話がありました。どれも“あるある”な悩みですね。
結婚後も義理の家との関係が続くことが理解しにくい人は、こういうシチュエーションを想像してみてください。
「自分の親との付き合いを結婚後も続けるか」
「自分の実家のイベントに自分の配偶者を連れて行くか」
さて、どうでしょうか。これについて「はい」と答える人は多いと思います。
一番いい例は、自分の兄弟・姉妹の結婚式に自分の配偶者と一緒に参加するかどうかですね。自分の立場で想像すると、たとえ相手の家族と距離が離れていても、何がしかの接点があることは推測できると思います。
実の家族は実の子が対応するという原則
私は二世帯住宅に住んでいます。日々、義理の両親と接していて思うのは、義理の両親の実の子であり、私の配偶者であるパートナーの役割の重要さです。
言わずもがなですけど、誰かと結婚するのは、その人と結婚したいからですよね。相手の家族が好きで、その家族と付き合いたくて結婚するというのは、No.1の理由としてありえない。もちろん、相続財産狙いだと話は違うし、義理の家族だって付き合いたいと思える人のほうがいいでしょうが。
二世帯住宅は、相手の家族との付き合いの近さとしては究極的なものです。私にしたって、義理の家族にしたって、一緒に住むことの意味は二世帯住宅を開始する前に共有していました。ただ、それは、「様々な点を考慮すれば、一緒に暮らすことの利益が不利益を上回る」という合理的な判断によるものであって、「うわー、大好きなお義母さんといつも一緒にいたい!」なんていうものではありません。
私と義理の家族との関係は、言葉を選ばず言えば、実子を通じて接点がある赤の他人同士です。赤の他人は一緒に暮らしている目的が必ずしも同じではありませんから、利害が一致しないことも多々出てきます。だからこそ、双方に利害が一致する部分を担う、実子がハブとして機能することが求められるわけです。
二世帯住宅の例で説明しましたが、実子の役割が重要であるというのは、義理の家族との付き合い方一般でも同じことが言えるのではないかと思います。
実子は伝書鳩になってはならない
実子が義理の家族との間を取り持つ上で、いくつか気を付けることがありますよね。
・ 自分たち夫婦の意見はあくまで自分の意見として伝える
・ 相手の親がしたことを必要以上に伝えない
要するに、揉め事の種になるようなことは自分でカットして、ハブとして機能するということです。決して伝書鳩になってはならない。
例えば、妻の実家は頻繁に孫の顔を見に来てプレゼントを渡しているとします。それに対して妻が「あなたの家からは何もないわね」と言ったとする(これを言っている時点でかなりマズい)。これを夫が夫の実家に伝えようと思って、「お母さんちは全然会いに来てくれないし、プレゼントも渡さないから、嫁が何もくれないって言ってるんだけど」などとダイレクトに伝えたら、その後は妻と夫の両親との間で冷戦が勃発することは必至です。
先ほど紹介した気を付ける点に従えば、「うちの子もそろそろ○歳だけどさ、親父とお袋は遊びに来る? こっちから言うことじゃないけど、何かと物入りだからこういうものをくれると嬉しいな」とこんな感じになります。主語はあくまで「俺が嬉しい」とすることですね。
実の両親は、実の子どもから言われたなら甘く受け取めるんですよね。甘えてくれて嬉しいと財布のひもが緩む。義理の子どもから言われたことは、あくまで他人だから同じ話でもキツく受け止めてしまうことがある。
もちろん、この辺は、親との関係性次第なので、実子が実の親とあまり良い関係が築けていないことだって往々にあります。場合によっては、実子が親と付き合いたくないからと配偶者に不利益な情報を流していることもある。ただ、ある部分は、実子に任せた方が上手く行くことが多いと思います。
ということで、最後になりましたけど、
・義理の実家の盆暮れ正月法事には参加しなきゃいけないのか?
・義理の家族とどう接したらいいか分からない
・義理の実家に行くのとのバランスで、自分の実家に帰りすぎると角が立つのか?
という悩みについては、義理の家族との接触は可能な限り実子の判断に任せるようにして、親との話はお互いに上手く情報を伝え合うようにするというのが答えですかね。
仮に、義理の両親とのコミュニケーションに配偶者が面倒くさがっていたとしたら、締めちゃっていいと思います。ただし、自分も上手く自分の親と配偶者の関係を媒介しているという前提で!
Text/斗比主閲子
※2016年9月14日に「TOFUFU」で掲載しました。