いつかは“過ぎゆく存在”だから…ルカ・モドリッチは足掻き続ける「まだやれる。それで最後はマドリーで引退したい」
クラブレベルとして今シーズン最後の試合となるチャンピオンズリーグ決勝戦を控えるレアル・マドリードのMFルカ・モドリッチが、スペインメディア『カデナ・コペ』のインタビューに応じた。
38歳を迎えた今、“白い巨人”の英雄はベンチを温める日々を過ごしている。2012年夏にレアル・マドリードに加入すると、チャンピオンズリーグで前人未到の3連覇を含む計5度のビッグイヤー戴冠を成し遂げた他、2018年にはバロンドール賞を受賞するなど、王の地位を確立するクラブにその名を刻んだ。それでも今シーズンは、新時代到来を告げるスーパースターが顔を揃えた絢爛豪華なスタメンに、旧時代の背番号『10』の居場所はなかった。事実、昨シーズンは公式戦プレータイムが3000分を超えていたのに対して、今シーズンは2238分に。先発出場した回数に至っては、前年度の『35』から『23』にまで減少している。
昨夏に現行契約を1年延長し、在籍12年目のシーズンとなった中、ベテランとしてチームに還元するという新たな役割を求められたモドリッチ。不満を露わにするようなことはしないと強調しつつも、自身の立場について「最初は理解するのが難しかったし、この新しい役割を引き受けるのは辛かった。今も、それを受け入れているつもりはない。もちろん、出番が回ってくれば、良いプレーを見せられたと思う。監督も喜んでくれている」と告白。また「ずっとスタメンとして、とても重要な選手としてプレーしてきた。でも今は、異なる状況に向き合い、戦わなければならない。僕は諦めることを知らないんだ。チームが必要としてくれた時には、これまで以上に激しく戦う必要があった」と振り返った。
続けて、「トレーニングも、試合も、僕はいつものように100パーセントの力を出し続けてきた。チームやコーチ陣に、問題を与えるようなことは一切していない。当然、いつもプレーしたいと思っているよ。だからと言って、不満を露わにする行動を取ろうとはならないし、それどころか、模範的な姿勢を練習から示すようにしている」と殊勝な心がけを口にしている。
そんなモドリッチのレアル・マドリード残留は濃厚と報じられており、世界最高のプレーを要求されるクラブで40歳目前までプレーすることになりそうだ。同選手は「いつまで続けるか? いつまでとは言えないけど、少しずつ進んでいくしかない」とした上で、「エリートであり続けるためのフィジカルと実力はあると自負している。多くの人々が年齢について話すけど、本当に煩わしいよ。だって、一番大事なのはピッチ上で何をするかだろう。フィジカル的に問題ないと証明できたのならね…なぜ、マドリードが世界最高クラブなのか? それはいかなる時も最高の選手がプレーするからだ。誰かが優遇されるとかはない。僕だってそうだし、だからこそ最高のプレーを目指している。とても調子が良く、まだやれると感じているんだ。それでも、半年後には変わるかもしれない。もしそのレベルに届かないと感じたら、その時は自分からノーと言うつもり」と自身の引き際についても明かしている。
かつて、「レアル・マドリードは今在籍している僕たち全員がいなくなっても、優勝への道を歩み続ける。僕たちは過ぎゆく存在で、レアル・マドリードだけが永遠なんだ」と述懐したモドリッチ。だからこそ、38歳の今もなお、足掻き続けるのだろう。トニ・クロースのような終わらせ方があるとしても。同インタビュー内にて、「マドリードを最後のクラブにしたいといつも言ってきた。ここで引退したいけど、どうなるか見てみよう。ホームで、そして人生のクラブで引退するのは、僕にとって夢のようなことなんだ」と語ったように、レアル・マドリードで少しでも長くプレーし、引退するために。