「本当に枕営業してくれると思ってる方も…」元生保レディが悩んだ“男性客の勘違い”。ストーカー被害に遭った同僚も

『気がつけば生保レディで地獄みた。』(古書みつけ・刊)で、保険業界の闇を明らかにした忍足みかん氏。業界の闇はまだまだ根深いらしい……。

◆ケータイは自前。社用ケータイならではのデメリットも

――お客さんに配る、社名入りのティッシュやカレンダーが自腹なのと、ケータイが自前だと知り、驚愕しました。

忍足みかん(以下、忍足):入社1年目だとグッズはおこぼれに与れるんですけど、勤続年数が長いけど結果が出せない人は、給料分のグッズを購入して自爆営業していました。

 ケータイは当時と同じ機種を使っているんですけど、アカウントを作り直そうかどうか迷っています。タイムラインに投稿すると、お客さんが「いいね!」と押してくれたりしますし。既に保険会社は退職しているし、公私混同したくないから一度、必要な人も切って改めようかなと。

 今は社用ケータイになったらしいんですけど、メリットとデメリットを天秤にかけるとどうなんでしょう。ケータイ代は浮くもののGPSがついていて全部チェックされる、完全管理下に置かれるらしいです。

◆男性宅への訪問は防犯ブザーを忍ばせて

――怖っ! 怖いと言えば、男性宅に1人で訪問するのは怖くありませんでしたか。

忍足:募集では正社員と謳っているのに事実は個人事業主だったので、自分の身は自分で守るしかない。護身策としてスーツのポケットに、防犯ブザーを忍ばせて警戒しつつ訪問していました。

 女性で保険会社に勤務しているというだけで、枕営業やAVを想起されるのも、イヤで仕方なかった。顧客のごく一部には、本当に枕営業してくれると思ってる方もいました。確かに、バレンタインデーとかチョコレートを手渡して相手を持ち上げたりもするんですけどね。いつもは見た目と中身が真面目一辺倒な先輩なのに、特定の男性顧客宅を訪れるときだけ、シャツの胸元を大きく開いていることを目の当たりにしましたし。私は“女”を売りにはしませんでしたけど、水商売が苦手な人には不向きな職業ですね。

 同僚は、ストーカー一歩手前の目に遭っていました。彼女の応対に舞い上がってしまったみたいで、会社へ頻繁にバッグなどのモノを送ってくるんです。基本的に保険会社の職員はお客さんと生活圏が近いので、お子さんを慮って相手の出方を見ながらガードしていました。

◆元生保レディがオススメする保険商品

――危険と隣り合わせの職業なんですね。保険に詳しい忍足さんに、保険の選び方もお聞きしたいです。

忍足:個人的にオススメしたいのは、先進医療です。年齢と性別で異なりますが、1000円から商品になっている医療保険に、月数十円で追加できるんです。

「命に関わる病にかかったら、先進医療はしなくてもいい」と考える人もいると思います。ですが、余命宣告されたら即座に、何千万円ももらえる先進医療も中にはあるんです。豪遊して最期を迎えるって、楽しそうじゃないですか?

◆性的マイノリティの問題について思うこと

――勤めていた企業は「LGBTQ+」にフレンドリーだと謳っておきながら、実体は違いました。忍足さんご自身も「LGBTQ+」ですが、今の世間の風潮をどう捉えていますか。

忍足:『おっさんずラブ』(テレビ朝日)や『(昨日)何食(べた?)』(テレビ東京系)で発信されて、認知度は高まったけれど、まだ別の世界の出来事と眺めている人が多いような気がします。

 特に50代半ば以降のおじさんは、理解するのが難しいみたいですね。女は3歩下がって男の後ろをついてこい! という価値観で育った世代ですし、「LGBTQ+」自体を気持ち悪いと思ってしまう人も少なからずいるようです。

 先日、知り合いのドラァグクイーンがショーに出た際、観客のおじさんから「やっぱりキモい」と言われたそうです。だったら観に来なければいいのに(笑)。急スピードで見た目が変わった演歌歌手を、「オカマちゃんになっちゃったな」と嘆いている人もいるそうです。

 おばさん、おばあちゃんと40代の男性は意外とすんなり受け入れてくれます。私、40代の友達が多いんですけど、以前男性から「ゲイじゃないんだけど、女装してみたい」とお願いされました。「いいじゃん。やってみようよ!」と、和装をした日もありました。

 あと、一言いいですか?

――もちろんです! どうぞ。

忍足:暴露によって大手芸能事務所が解体され、歌劇団の内部事情が明らかになったのは、みなさんもご存知だと思います。次は私、生保業界の闇を暴いてほしいと思っているんです。上役に洗脳されて、後輩にも自分がされた被害を継承していくって、生保も同じ関係図なんです。先輩が黒いものを白と言えば、後輩は「それは黒じゃなくて白です」とは、間違いを指摘できない、みたいな。

 生保業界を取材し続けている記者さんもいるんですけど、闇を暴くブームが、もっと高まってほしいですね。

<取材・文/内埜さくら>

【内埜さくら】

うちの・さくら。フリーインタビュアー、ライター。2004年からフリーライターとして活動開始。これまでのインタビュー人数は3800人以上(対象年齢は12歳から80歳)。俳優、ミュージシャン、芸人など第一線で活躍する著名人やビジネス、医療、経済や一般人まで幅広く取材・執筆。趣味はドラマと映画鑑賞、読書

2024/2/26 15:53

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