同じ場所で1年に4回も…代官山「車暴走突っ込み事故」を引き起こす「気象病」の危険度
中高年には今もなおオサレな街のイメージが残る、代官山での悲惨な事故だった。
2月19日11時30分頃、右折しようとした乗用車が暴走し、商業ビルに突っ込んだのだ。
現場は「代官山交番前交差点」。車が突っ込んだビルの階段下にカジュアルフレンチのデリとパンを提供する人気店が入っており、ランチを求める通行人が巻き込まれなかったことは不幸中の幸いだった。
この交差点付近で車が歩道やビルに突っ込む事故は、この1年間だけでも4回起きており、東京の新たな「危険スポット」になりつつある。
「確かに危険スポットではありますが、これだけ連続すると、もはや『心霊スポット』ではないのかと思ってしまいます」
冗談交じりにこう話すのは、社会部記者である。
代官山にはロシアやフィリピン、ブルネイなど海外資本所有で「投資詐欺被害」を出した、いわくつきの有名な廃墟があったものの、地名どおり、江戸時代までは山林であり、特に心霊スポットになるようないわれはない。
2013年に東急東横線が副都心線に乗り入れるようになってからは「シャッター商店街化」しており、今でも代官山に特別な思い入れがあるのは「代官山で買い物をしている自分」に酔いしれたい、小金を持った中高年くらいなものだろう。目に入る商品全てがお高い代官山は、ウィンドウショッピングだけでも目の毒だ。
気になるのはウェザーニュースなど、各天気ニュースサイトが出していた「気圧の変化注意報」である。
2月18日から20日にかけての日本列島は気圧の変動が激しく、それによって起きる頭痛や関節痛、耳鳴りなどの「気象病」を持っている人は体調不良を起こしやすいと、前もって注意喚起されていた。
事実、事故を起こした50代の運転手は、事故現場を訪れたテレビの取材クルーに「気圧の変化で頭が痛くなっちゃって、ボーッとしちゃって」と話していたという。
事故が起きた11時30分前後のデータを見ると、気圧は1030hPaから1020hPaに急降下していた。筆者も1020hPaに下がった午後から、頭重感に苛まれている。
気圧の変化によって体調不良になると自覚している人は、天気ニュースサイトで「気圧の変化注意報」が出た際は、運転を控えた方が無難だ。今回は通行人が巻き込まれなかったが、自分が加害者になることもあり得る。周囲に「仮病」「サボり」と誤解されないためにも耳鼻咽喉科を受診し「気象病」であるか、診断をつけておいてもらった方がいい。
(那須優子/医療ジャーナリスト)