米国トップシェフの味が「600円」で楽しめる京都の穴場「エースホテル京都」
京都でおしゃれな人が集まる「新風館」は、レストランやカフェ、映画館にアパレルや雑貨などのショップが連なる人気の商業施設。そんなクールなスポットを牽引しているのが「エースホテル京都」だ。
ホテルといっても堅苦しい場ではない。ロビーはいつもパソコンで作業をする人々で賑わっている。新風館に来るついでに、様子を見に立ち寄る人や、フロント横で販売されているオリジナルグッズを買いに来る人もいる。カジュアルに人が往来し、地域に開かれたカルチャー発信地のようなものだ。
そんな「エースホテル京都」の中二階・二階に位置するバー&タコスラウンジ「PIOPIKO(ピオピコ)」で、600円でビールやカクテルを楽しめるお得なプランを見つけたので紹介したい。そしてなんと、数々の受賞歴を持つトップシェフであるウェス・アヴィラ氏が監修するタコスまで600円で味わえるのだ。おでかけや旅行にはもちろん、仕事帰りに同僚と軽く一杯なんていかがだろうか。
「毎週火曜日はタコスの日!」
「エースホテル京都」内、アメリカン・メキシコ料理のバー&タコスラウンジ「PIOPIKO(ピオピコ)」で毎週火曜日に開催されているのが「TACO TUESDAY(タコ・チューズデー)」と呼ばれるタコスイベントだ。
週に一度、絶品タコスとお酒が600円で楽しめる日がやってくる。ハイセンスな空間で、気の置けない仲間と一緒に堪能したい。
トップシェフがプロデュースする600円の「絶品タコス」とは
600円で楽しめるタコスは、全5種類(写真右側の白いお皿が一例)。チキンやビーフのタコスをはじめ、「カリフラワー・タコス」のような珍しいものまで揃っている。また、1000円のスペシャルタコスとして「カルネ・アサーダ」というボリュームのあるビーフステーキ・タコスもラインアップ(写真左)
ボトルビールや、PIOPIKOのシグネチャーである「季節のフローズン・マルガリータ」も600円とお得になる。色とりどり、バラエティ豊かなタコスをテーブルいっぱいに並べて、ドリンクを片手にカジュアルに頬張りながら、陽気な時間を過ごしたい。
ハーブとバターで焼いたさつまいもをメインに、ローストカシューナッツのサルサソースを合わせた「スイートポテトタコス」は、甘さのなかにもピリリとしたアクセントが効いている。
自家製ソースには、メキシコ料理には欠かせない果実「トマティーヨ」に、アルボルチリ、ハバネロなどがミックスされているという。最後に自家製のフレッシュチーズと九条ネギをトッピングして完成する。
「フライドフィッシュタコ」は、シーズンごとに選ばれた白身魚のフライがメインのシーズナルメニューだ。まるでコース料理の一品かのような美しい佇まい。ストリートフードであるタコスが、敏腕シェフの技によって完全に昇華している。これぞ、ウェス・アヴィラ流のタコスなのだ。
塩とレモンで漬け込んだキャベツ、きゅうり、トマト、セロリ、玉ねぎからなる野菜のサルサを筆頭に、ハラペーニョ、コリアンダー、スモークしたチリ、モリタクレマソースと、さまざまな食材が見事にマッチ。
柔らかくもっちりしたトルティーヤは、案外あっさりとしている。そんなベースがあるからこそ、こんもりと山になったトッピングの個性がより引き立つのだろう。サイズ自体は大きくないが、豊富な食材のおかげで食べ応えは十分だ。
屋台からスタート、成功のカギは「情熱」
今でこそ大成功を収めたウェス氏だが、その背景には、たった167ドルのポケットマネーからスタートした過去があった。
PIOPIKOの監修シェフであるウェス・アヴィラ氏は、ロサンゼルス出身のメキシコ系アメリカ人。全財産の167ドルを手に、無許可のフードカートからキャリアをスタートさせた。営業停止など紆余曲折ありながらも、LAの人気店「Guerilla Tacos」のオーナーを経て、後に構えるレストランはミシェラン・ガイド・ビブグルマン賞を受賞。着実にステップアップしながら、アメリカンドリームを叶えた経歴を持つ。
多くの日本人が住むLAで育ったウェス氏は、小さな頃から日本の食材に触れ合うことも少なくなかったという。他民族が共存する環境で自然に培ったインスピレーションをもとに、初めて日本でプロデュースするメニューとなった「PIOPIKO」のタコスには、日本の食材も積極的に取り入れた。すると、日本ならではの食材とメキシコのスパイスが互いに引き立て合い、ウェス氏にしか引き出すことのできない独特のハーモニーが生まれたのだ。
「LAでは、ガツンと焼けるようなスパイシーさも受け入れられますが、日本は辛さのなかに垣間見える『旨味』を大切にするイメージがあります。食べ物本来のオーセンティックさや、自身の魂やパッションはそのままに、旨味を感じられるよう工夫しました」と話すウェス氏。その言葉通り、情熱にあふれた人生を送っている。
13歳の頃からレコード収集を始め、約30年ものあいだ料理と同じエネルギーを音楽にも注ぎ込んでいるウェス氏。この日は、タコスを振る舞う合間に「DJウェス」としての姿も見せたのだ。なんと、使用するレコードもすべてアメリカから持ってきたらしい。
「クリエイションという意味では、音楽も料理も同じですよ。好きだから、同じエネルギーレベルでやっています」と話す笑顔の裏には、情熱があるものに対してどれほど入れ込み、こだわりを持って研鑽してきたかが垣間見れる。パッションこそが、成功の根源なのだろう。
そんな熱い気持ちを注ぎ込んだ彼の代名詞である「タコス」が600円で味わえる「タコ・チューズデー」に、気軽に立ち寄ってみてほしい。
ちなみに、生ビールが700円、グラスワインが1000円で飲めるハッピーアワーは、毎日11時30分〜18時に開催されている。
クリエイターが生んだホテル
アメリカでクリエイター集団が生み出したエースホテル。2020年、建築家である隈研吾氏が外装デザインを監修し、エースホテルの長年のパートナーであるLAのコミューンデザインが内装を担当した素晴らしい建築のもと満を持して京都に開業し、これがアジア初進出となった。
ロビーやレストランだけでなく、全てのゲストルームには作家のアートや作品が散りばめられている。レコードやギターが置かれた部屋もあれば、犬と一緒にステイできるドッグフレンドリーな客室も。
さまざまなゲストに対して「ウェルカム」と両手を広げてくれるエースホテル。地下鉄「烏丸御池駅」直結という好立地でアクセスもしやすいだろう。京都を代表する粋な発信地に、気軽に立ち寄ってみては。