佐藤治彦「儲かるマネー駆け込み寺」火災保険が来年値上げへ 損な契約を見直すなら今だ!
賃貸住宅派が増えてはいるものの、多くの人にとって最大の財産はマイホームだろう。
そのマイホームは地球温暖化の影響を受けて、毎年のように台風による風災や水害の被害を受けるリスクがあるのは、多くの人が実感しているはずだ。自然災害の大きな被害が毎年のように起き、保険会社の支払う保険金は何倍にもなった。
保険会社も必死だ。そのため、火災保険の保険料、掛け金は毎年のように値上がりしている。その詳細はいまだ発表されていないが、2024年も値上がりだけは内定している。
今回の特徴としては、水害のハザードマップが全国的に整備されたこともあってか、同じ都道府県内でも水害の危険性の大小によって5段階の差をつけたこと。保険料の安い1等地に比べて5等地は約1.2倍の保険料になる。
火災保険料自体も、平均して過去最大の13%程度値上がりすることが予定されている。厄介なのは、掛け金の算定基準だ。火災保険は都道府県や建物が木造なのか鉄筋なのか、といったように建築の構造や耐火性、建築年数、そして、今回はさらに水害の可能性によって細かく分類されるからだ。
そのため、以前と比べて25%以上も値上げとなるケースもあれば、ごく一部ながら値下げとなるケースもある。
とはいえ、全体の火災保険料は正直どうでもいい。大切なのは自宅や親戚、仲間などの家や建物の保険料がどうなるかだ。
そこでまず、自分の火災保険の契約がどうなっているかを調べてほしい。特に短い年数の契約になっていないか、もしくは、契約更改の時期が近づいていないかがポイント。なぜなら火災保険は、原則として今は最長5年間の契約ができるばかりか、その期間は値上げの影響を受けないからだ。もし損な契約をしていたら、ぜひ、見直しをしてもらいたい。
中には風災は保証されても水災は対象外になっている契約もある。そこもチェックしてもらいたいポイントだ。建物だけか、家財道具の保証はどうなっているかもチェックしたい。
万が一、台風の風や洪水などで水の被害を被った時は、片づけを始める前に、スマホやデジカメで被害状況を細かく写真撮影しておくのも覚えておきたいところ。各所の被害がわかりやすいように、できるだけ細かく、たくさん撮影しておくといいのだが、忘れがちなのが屋根。なぜなら、屋根の被害に気がつかず、日数が経ってから雨漏りなどが始まってしまうこともあるからだ。
もし台風の被害を被ったら、周りの高い建物などから屋根の状態を確認してもらいたい。高いビルがなくても、近所のベランダから見えるかもしれない。写真画像の記録がスムーズな保険金の支払いにつながってくるので、イザという時に頼みやすいように、まあ、少し気に食わないお隣さんでも、挨拶くらいはしておくのが大人の嗜みだ。
保険料の値上げは2024年というだけで、細かな日程などは決まってない。ただ例年だと、割と直前に決まって多くの人が対応できないため、今のうちに動向をチェックしておこう。
また、8月末に発表されたが、自動車保険料が4年ぶりに値上げされることも忘れてはならない。こちらは来年1月からに決まっている。「東京海上日動火災保険」が約2.5%、「三井住友海上火災保険」と「あいおいニッセイ同和損害保険」が約3%と、損保大手3社が値上げになる。
ただし「損害保険ジャパン」だけは「ビッグモーター」による保険金の不正請求問題を受けて、値上げは理解されないとして値上げを先延ばしするようだ。
何でも値上げで頭が痛いよね。忘年会も始まる季節だけれど、笑顔で年内を走り切ろう。
佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。著書「素人はボロ儲けを狙うのはおやめなさい 安心・安全・確実な投資の教科書」(扶桑社)ほか多数。