『駒田蒸留所へようこそ』早見沙織&内田真礼インタビュー「ウイスキー作りの苦労と、お仕事の“あるある”がつまったストーリー」

全国絶賛上映中の、P.A.WORKS「お仕事シリーズ」の最新作の劇場版オリジナルアニメ『駒田蒸留所へようこそ』。世界でも注目されるジャパニーズウイスキーを題材に、崖っぷち蒸留所の 再起に奮闘する若き女性社⻑と、夢もやる気もない新米編集者が、家族の絆をつなぐ”幻のウイスキー”復活を目指す物語が描かれます。「アヌシー国際アニメーション映画祭コントルシャン部門」や「2023 シッチェス・カタロニア映画祭アニメーション部門」、「第36回東京国際映画祭アニメーション部門」への正式出品を果たすなど、国内外でも熱い注目を集めるアニメーション映画です。

蒸留所の女性社⻑・琉生を演じた早見沙織さんと、琉生の元で広報活動に勤しむ朋子を演じた内田真礼さんにお話を伺いました。

――本作とても楽しく拝見しました。本当に人物描写が細やかで、大人がじーんとしてしまう映画でした。

早見:ありがとうございます。P.A.WORKSさんの作品は「お仕事シリーズ」に限らず日常を生きる人間の描き方がしっかりしていて、監督の言葉を借りると“あるある感”にあふれていると思います。この人にもこの子にも共感出来る、「こんな日々あるよね」がたくさんあって。本作もそんな所が素晴らしかったです。

内田:実際に蒸留所の密着取材の記事が出たとしたら、基本的に“笑顔の部分”を多く伝えると思うんですね。でもこの作品では、職人たちの真剣な姿勢も描かれているし、記者に対して朋子が怒っている姿も描かれていて。色々な人の苦悩がつまっていて、寄り添って作られたお話、温度感を感じる作品だなと感じました。

――おっしゃるとおり、現実の社会には「駒田蒸留所」の記事や番組が出るとしたら「若き社長が幻のウイスキーを復活!」といった華々しい見出しが飾りそうです。

内田:そうそう、そうなんですよね!

早見:そういった部分も“あるある”ですよね、どんなお仕事も華やかな裏側にはたくさんの方々の努力と苦悩があって、成り立っている。そういった部分をストーリーにしている所が素敵ですよね。

――お2人はお酒は召し上がりますか?

早見:普通に、くらいですね。詳しいわけではなくて。この作品に携わって、ウイスキーを作るのってすごく時間がかかるんだなと驚きました。

内田:私もそうです。普段ウイスキーをロックで飲む機会も無いですし。

早見:そうそう、飲むのはハイボールくらいだよね!

内田:幻のウイスキー「KOMA」を復活させる為に、膨大な数の味を研究して…。

早見:化学の実験の様な、すごい作業だなと思いました。

――「KOMA」をはじめとするウイスキーのアニメーションが美しすぎて、私は普段ウイスキーを飲まないのですが、観ている間飲みたくて仕方がなかったです(笑)。

早見:私も、ウイスキーを自分で1本買ったんですよ!

内田:おお〜!

早見:それまでロックでウイスキーを飲むことなんて、大人の世界だと思って経験がなかったのですが、ついに買ってみて。そんなに高いものでは無いですし、カッコ良いグラスでも無いのですが、すごく美味しかったです。この映画を通してウイスキーを作る工程や背景を知ることが出来て、それを知ってから飲むと、これまでと全然違う味と香りを感じることが出来ました。ウイスキーの色や香りを感じながら「このウイスキーはどうやって、どんな方が作ったんだろう」と考えることがすごく楽しくて。

――この作品に携わる前と後では捉え方が全く変わったわけですね。

早見:全く変わりました! 今度この映画の舞台としてモデルのひとつになった富山県の「三郎丸蒸留所」に行きたいなと真礼さんと話しています。

内田:説明を聞きながら飲みたいんですよ!

――映画館を出た後は絶対ウイスキーを味わいたくなりますし、気が早いですがソフト化や配信がはじまったらウイスキーをお供に鑑賞したいです。

早見:いいですね!ぜひ大人の方はそんな楽しみ方もしていただきたいです。

――早見さんが演じられた琉生は、とても頑張り屋さんな若き社長ですが、このキャラクターをどの様にとらえられましたか?

早見:父親から受け継いだ蒸留所を守るために、「自分が頑張らなきゃ」という気持ちをずっと持っている子で。家族と――蒸留所のみんなも家族なので、力を合わせて協力して、この蒸留所とウイスキーの味を守っていきたいという気持ちが原動力となっています。そんな情熱はあるけれど、それだけで乗り切れるほど社会は優しくなくて、色々な出来事が起こっていきます。そんな時に家族や朋ちゃんに気持ちをこぼしたり、助けてもらうことで成長していく。人と人とのつながりがとても大切なキャラクターだなと思います。

内田:流生の色々な面が描かれていますが、年齢相応の可愛らしい部分であったり、乙女な部分をずっと隠しているじゃないですか。そこに「そうだよね、本当は好きなことしたいよね」ってすごく共感出来て。流生の本当にしたかったことが分かった時は、観ていてハッて止まりました。そんな人間味のある部分、頑張っているからこその“ゆらぎ”を沙織さんがすごく素敵に演じられていて。グッときてしましました。

――早見さんがおっしゃった様に、内田さんが演じた朋子は本当に友達想いですよね。

内田:この2人の友情本当に素晴らしくて…! 子供の時からの姿も描かれていて、ずっと友達なんですよね。こんなに長くずっと寄り添える友達ってなかなか出来ない素晴らしい存在だと思います。朋ちゃんが流生のことをとても大切に思っていることが伝わってきますし、朋ちゃんという存在を通して「駒田蒸留所がどんな場所なのか」ということがよく分かるんですよね。どんな想いでみんながウイスキーが作っているのかが伝わってきて、私も駒田蒸留所で働きたいなと思わせてくれる、そんなキャラクターでした。

早見:朋ちゃんを通して、あたたかい蒸留所なんだなって分かるよね。

内田:映画の最初の方に、朋ちゃんが記者の高橋さんを車で迎えに行きますが、それと同じシーンが最後の方にも出てくるんですよね。

早見:あのシーン、すごくいいんですよね!

内田:朋ちゃんがいかに駒田蒸留所を大切にしていて、その熱意をどう外部の方に伝え続けているのかが分かる、素敵な表現だなと思います。

早見:真礼さんのお声がついたことで、朋ちゃんをより身近に感じたというか。もともと真礼さんのことを長く知っているということもありますし、真礼さんのお芝居がこちらに語りかけてくる様な表現の仕方で。流生と朋子の長年の絆を感じさせるあたたかみを与えてくださったと思います。

――お2人やキャストの皆さんのお芝居、監督をはじめとするスタッフさんの頑張りがあって、こうやって素晴らしい作品が出来上がっているのですね。

早見:今日、舞台挨拶(東京国際映画祭での舞台挨拶)で監督が「P.A.WORKSで行ってきた、20年以上の若手の育成に着想を得ている」とおっしゃっていて、そうだったんだ!ってすごく感動しました。新しく入ってきた方の、絵やアニメーションへの取り組み方も時代によってどんどん変化していったり、技術は受け継がれていって…。「彼らの芽が出るには、ウイスキー作りと同じ様に時間がかかるけれど頑張ってほしい」と言ったことを初めて知って、とても感動しました。

内田:あと、すごいなと思ったのが「朋ちゃんのお母さんが駒田蒸留所で働いていた」といったような、映画には描かれていないバックストーリーも考えられているんですよね。朋ちゃんにも他にやりたいことがあったかもしれないけれど、流生が社長に就任してそれをサポートするようになったのかな?とか、全てのキャラクターの背景が気になりますし、とても愛しく感じるんです。

――監督の若手のクリエイターさんへの想いが、本作にも滲み出ているのですね。観客の皆さんもですが、ぜひキャスト、スタッフの皆さんでウイスキーで乾杯して打ち上げしていただきたいです!

早見:打ち上げしたいです!収録から1年以上経っているのですが、こうして素敵な作品が完成して、またみんなで集まりたいです。

内田:映画のワンシーンの様にみんなでテーブルを囲んでウイスキー飲みたいですね。想像するだけで楽しそう!

――ぜひ、そんな様子もSNSなどで見られたら嬉しいです(笑)。今日は素敵なお話をありがとうございました!

撮影:オサダコウジ

『駒田蒸留所へようこそ』作品概要 全国大ヒット上映中!

P.A. WORKS「お仕事シリーズ」最新作は、オリジナル⻑編アニメーション!

崖っぷち蒸留所の再起に奮闘する、若き女性社⻑と、夢もやる気もない新米編集者が

家族の絆をつなぐ”幻のウイスキー”復活を目指す!

『花咲くいろは』『SHIROBAKO』『サクラクエスト』『白い砂のアクアトープ』―。

「働くこと」をテーマに、日々奮闘するキャラクターを描いてきた、P.A.WORKS による”お仕事シリーズ”の最新作は世界

でも注目されるジャパニーズウイスキーの蒸留所が舞台!

先代である父亡きあと、実家の「駒田蒸留所」を継いだ若き女性社⻑・駒田琉生(こまだ・るい)は、経営難の蒸留

所の立て直しとともに、バラバラになった家族と、災害の影響で製造できなくなった「家族の絆」とも呼べる幻のウイスキ

ー”KOMA“の復活を目指し日々奮闘していた―。

そこに、やりたいことも見出せず職を転々としてきたニュースサイトの記者・高橋光太郎(たかはし・こうたろう)が取材

にやってくるが・・・。

原作:KOMA 復活を願う会

監督:吉原正行/脚本:木澤行人、中本宗応/キャラクター原案:髙田友美

キャラクターデザイン・総作画監督:川面恒介/美術監督:竹田悠介/色彩設計:田中美穂

3D 監督:市川元成/撮影監督:並木 智/編集:髙橋 歩/音楽:加藤達也

アニメーション制作:P.A.WORKS

製作:DMM.com

配給:ギャガ

主題歌:「Dear my future」駒田琉生(CV.早見沙織)

駒田琉生:早見沙織/高橋光太郎:小野賢章

河端朋子:内田真礼/安元広志:細谷佳正/東海林努:辻親八/⻫藤裕介:鈴村健一

駒田滉:堀内賢雄/駒田澪緒:井上喜久子/駒田圭:中村悠一

公式サイト:https://gaga.ne.jp/welcome-komada/

公式 X:https://twitter.com/welcome_komada/

公式 Facebook ページ:https://facebook.com/welcome.komada/

※画像使用の際は、下記のコピーライト表記の記載をお願いいたします。

©2023 KOMA 復活を願う会/DMM.com

2023/12/6 17:00

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