この物価高、夏のボーナス平均支給額2.4%増って多い?少ない? 20%増の機械メーカーもあれば、「減額」と「賞与ナシ」が全体の1割ずつ
この物価高のおり、今夏のボーナスに期待したいが......。
帝国データバンクは2023年6月9日、「特別企画:2023年夏季賞与の動向アンケート調査」を発表した。
それによると、約4割(37.4%)の企業で平均支給額が昨年より増加、結局、1人当たり支給額は昨年より2.4%増えるという。これって多い? 少ない?
1人当たり支給額は、大企業が3.5%増、中小企業が2.2%増
帝国データバンクの調査によると、全国1095社に今夏の賞与支給状況を聞くと、「賞与はあり、増加する」と回答した企業37.4%、「賞与はあり、変わらない」が36.4%、「賞与はあるが、減少する」が9.3%で、合計すると、「賞与あり」が83.1%だった。一方で、「賞与はない」が11.2%となった【図表1】。
この「賞与が増加する」(37.4%)と回答した割合は、2022年冬季賞与の21.2%に比べると、かなり上昇している。
企業の規模別に「賞与はあり、増加する」の割合をみると、「大企業」が42.3%、「中小企業」が36.5%となり、規模が大きくなるほど増えていく【図表2】。
業界別にみると、コロナ禍から立ち直った「製造」(41.0%)がトップで、なかでも「鉄鋼・非鉄・鉱業」における割合は52.2%にのぼった。次に「卸売」(40.6%)、「不動産」(40.0%)も4割台にのぼった【再び図表2】。
一方、夏季賞与が減少すると回答した企業の割合でも、「製造」(13.8%)がトップで、特に「化学品製造」(22.7%)が目立つ。化学製品は世界的に需要減が続いており、賞与を減らす結果となったとみられる。
1人当たりの支給額について昨年からの変化を聞くと、平均で2.4%増加した。規模別では、「大企業」が3.5%増、「中小企業」が2.2%増、そのうち「小規模企業」が2.4%増となった【図表3】。
「物価高騰のなか、従業員のモチベーション維持に20%増額!」
それぞれの企業の声を聞くと、まず、増額する企業からは――。
「新型コロナが『5類』に引き下げられ、売り上げが従前に戻りつつあることと、従業員にとって電気代等、諸物価の値上がりが著しいため賞与を増やす」(飲食料品卸売)
「前期より20%増額の予定。正直、経営環境はまだ厳しいが、今後の回復への期待のほか、物価高騰のなか従業員には見える形で還元し、モチベーションの維持を図る」(機械製造)
といった、威勢のよい意見がきかれた。
一方、減額する企業からは――。
「当社のような製造業の中小零細企業は、仕入価格、電気料金などの上昇分を価格転嫁できず業績が悪化しているため、賞与は減額となる」(輸送用機械・器具製造)
「原材料価格の上昇が著しく、利益が当初の目標を大きく下回ったため、賞与が減額となる」(建設)
といった、元気のない意見がきかれた。
また、賞与を出さない企業からは――。
「新型コロナによる輸送貨物の激減や、輸送料の低下、原油価格の高止まり、働き方改革による労働時間の制限で、非常に厳しい状況であるため、賞与を支払う余裕がない」(運輸・倉庫)
「基本給より、歩合、能力給が多いため、賞与の支給はない」(リース・賃貸)
と、さまざまな「お家の事情」を明かす声がきかれた。
調査は2023年6月2日~7日、全国1095社(うち大企業163社、中小企業932社)を対象にインターネットを通じてアンケートを行なった。(福田和郎)