史上最年少20歳で「名人&七冠」!天才・藤井聡太の強さの秘密とは?
6月1日、藤井聡太竜王(20)が「新名人」、そして「七冠」となった。今回は、この稀代の天才棋士がなぜ、これほど強いのか、その裏側を探っていく。
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5月28日、第8期叡王戦第4局で、挑戦者の菅井竜也八段を退け、叡王のタイトルを防衛した藤井竜王。
その勢いのまま、31日からの名人戦第5局に臨んだ。
「この対局に勝利すれば、4勝1敗で名人位を獲得。1983年に谷川浩司九段が打ち立てた“史上最年少名人記録(21歳2か月)”を更新し、さらに96年の羽生善治九段以来となる“七冠保持者”が誕生します」(全国紙文化部記者)
すでに竜王、王位、棋王、叡王、王将、棋聖のタイトルを保有している藤井六冠。将棋界の8大タイトルのうち、2つを残すのみだったが、中でも最も伝統がある「名人位」は、やはり特別だ。
「藤井竜王が小学生時代の文集で、すでに“名人をこす”と夢を書いていたのは有名な話。本人は“もう時効にしてほしい”と笑っていましたが、“名人は子どもの頃から大きな存在”と、改めて思いを語っていました」(前出の文化部記者)
そこには、こんな裏話も。藤井竜王が幼少期に将棋を学んだ『ふみもと子供将棋教室』(愛知県)の塾長・文本力雄氏が語る。
「聡太が小4で教室を卒業するとき、私は“名人を目指すなら応援しない。名人を超える棋士になれ”と言ったんです。彼なら、もっと上に行けるだろうと」
つまり、文集に書いた言葉は、この発言を受けたものだったのだ。夢の実現に向け、藤井竜王は名人戦で、その強さを見せつけた。
■藤井の負けは“うっかり”が原因
「名人戦前から“藤井さんの4勝1敗”と予想していましたが、その通りになりそうですね」
こう語るのは、過去に名人戦を戦った経験もある森雞二九段だ。さらに続ける。
「藤井さんの負けを分析すると、“敗着”というより“うっかり”が原因。渡辺名人に負けた第3局も、名人が仕掛けたトラップに迷ったあげく、早く勝とうとしてミスしただけ。そういう負け方なら心配ありません。今後、その迷いがなくなるときが来れば、もう誰にも負けないでしょう」
『週刊大衆』「詰将棋」でもおなじみの佐藤義則九段は、名人戦第4局で、藤井竜王の強さが光ったと語る。
「この対局で藤井さんは、渡辺さんの猛攻撃を受け切って戦う、まさに“横綱相撲”で勝利しました。そういった老獪な戦い方は、経験豊富なベテラン棋士の専売特許。それを20歳の若さで、しかも将棋界トップの渡辺さんを相手に行うなんて、本当に驚異的です」
では、その驚異的な強さは、どう培われたのか。佐藤九段はまず、「AI(人工知能)研究に長ける」という点を挙げる。
「将棋で大切なのは、いくつもの道筋から、相手の王将を詰むためのルートを探し当てる能力。それを瞬時にはじき出すのがAIなわけです。藤井さんは、そんなAIを相手に研究を重ねてきたので、それに近い領域まで達している。ゆえに、王将を詰む嗅覚がズバ抜けているんです」
それが、不利な状況からでも逆転できる「無類の勝負強さ」に、つながっているという。
「羽生善治九段もよく勝負強いといわれますが、彼の場合は、難局を打開するひらめき意表を突く手で、流れを持ってくる勝負勘に優れています。対して藤井さんは、相手の王将を詰むまでのルートを、ミスなく正確に見極められる“完璧さ”が要因です」(前同)
まるで“人間コンピュータ”のようだが、それを裏づけるような逸話も。藤井聡太の強さの秘密の続きは、現在発売中の『週刊大衆』6月19日号で。