「9番DHに強打者」原監督が交流戦で奇策を匂わせた真意とは…
巨人・原辰徳監督のセパ交流戦に向けた「奇策」は、セットアッパー・平内龍太の先発によるオープナーだけではなかった。
巨人の交流戦は、千葉ロッテとのビジターゲームからスタートするため、DH制の打順を組まなければならない。原辰徳監督は囲み取材で、
「DHを使うとしたら、9番ぐらいなのかな」
と話していたが、30日の初戦はウォーカーを指名打者に起用して7番に配置。1番にはルーキー・萩尾匡也外野手を抜擢するという布陣を組んだ。
「9番DH発言の前に、原監督は中田翔の話をしていたんです。右大腿裏の肉離れから復帰したばかりなので『中田がDHに入るのか?』という質問があって、原監督は中田の守備は心配していないという趣旨の話をしていました。なのでDH中田はないのかと…」
「9番にDHを置く」原采配は今後見られそうだが、かといって、投手の打席で代打を送った時の試合途中のようなイメージとは、原監督の考えは違うようだ。
「下位打線でチャンスメイクし、上位で返すのが狙いのようです。今の巨人はある程度メンバーを固定して戦えるようになったので、DHが使えるからといって、その流れを大きく変えるようなことはしたくないと考えている」(球界関係者)
もっとも、控えメンバーの顔ぶれを見ると、先のウォーカー、梶谷、ブリンソンら、どちらかといえば出塁率よりも長打力が売りの選手たちだ。仮に9番に彼らが入った場合、やはり投手に代打を出した時の試合途中のような打順になることは否めない。
「原監督はセ・リーグにもDH制を導入すべきという持論です。DH制で得点力をアップさせたら、その言葉にも説得力が増しますが、ロッテ投手陣に抑え込まれた場合、導入論そのものが議論されなくなりそう」(同前)
交流戦で勝ち越さなければ、ペナントレース再開後の展開はさらに苦しくなる。原監督にとって、今年の交流戦は絶対に負け越すことの出来ない重要な局面となる。「9番DH」の奇策は功を奏すか…。
(飯山満/スポーツライター)