木村拓哉『レジェバタ』、後輩映画に完敗も…「アマプラ独占配信」で赤字解消?

 挽回の一手?

 木村拓哉の主演する映画『レジェンド&バタフライ』が5月12日よりAmazon Prime Videoで独占配信される。DVD・Blu-ray発売についてまだ未発表の中でのいきなりのサブスク配信に驚きの声も出ているが、“赤字解消”の狙いがあるともささやかれているようだ。

 東映創立70周年記念作品となる『レジェンド&バタフライ』は、主演に木村、ヒロインに綾瀬はるかを迎え、監督は『るろうに剣心』シリーズなどの大友啓史、脚本は『コンフィデンスマンJP』『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなどの古沢良太といったヒットメーカーが集まり、そして邦画では破格の製作費20億円という大作ということでも大きな注目を集めた。

 1月27日に382スクリーンで華々しく公開され、オープニング3日間の成績は興行収入4.9億円、37万人動員を突破。配給の東映は最終興行収入40億円を狙えると鼻息が荒かったのだが……。

「木村は各局の人気番組に出ずっぱりとなるなど宣伝にも大いに力を入れ、国内映画の興行収入ランキングでは初登場1位となったものの、2週目は2位、3週目は3位、4週目は6位、5週目は8位と下がっていき、6週目にはトップ10から姿を消してしまった。公開25日で累計興行収入20億円、150万人動員を突破したことが発表されて以降は成績に関する公式発表が途絶えたが、最終的には24億円強どまりと推定され、25億にも達しなかったとみられる。一般的にはじゅうぶん“大ヒット”といえる数字だが、映画館の取り分などを考えると、製作費20億円を回収するためには興収30億でも黒字に乗るか厳しいのではとも指摘されていた」(映画業界関係者)

 大赤字が濃厚となった『レジェンド&バタフライ』は、前後に公開された後輩の主演映画との“成績差”も話題になった。

「嵐・二宮和也主演の『ラーゲリより愛を込めて』(12月9日公開)は2月下旬の時点で興行収入24億円超えと報じられていましたが、ロングラン上映となったこともあり、26億円前後まで数字を伸ばしたとみられています。また、Snow Man・目黒蓮主演の『わたしの幸せな結婚』(3月17日公開)はオープニング3日間で興行収入6.5億円、47万人動員と初動から“レジェバタ超え”でしたが、4月中旬の時点で興行収入21億円突破。こちらも公開8週目で興行収入ランキングのトップ10に食い込む(5月8日発表)など勢いがあり、現在は26億円を突破したと考えられます。どちらも製作費は『レジェバタ』の1/4以下程度とみられており、木村は後輩に“完敗”といえそうですね」(映画誌記者)

 そんな『レジェンド&バタフライ』が突然のサブスク解禁に乗り出したのは、やはり“赤字”が背景にあると指摘されているようだ。

「日本ではまずセルメディアで販売し、その後レンタル、有料チャンネルでの放送、最後に地上波放送……という流れが一般的で、サブスク解禁も放送タイミングに合わせることが多かったですが、近年は戦略的にサブスク解禁を早めるパターンも出てきています。

 特に今回のケースは、東映も配給に関わっていた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の成功例を意識したものではないでしょうか。『シン・エヴァ』は多くの劇場で公開が終了してから1カ月と空けずにアマプラ(Amazon Prime Video)で独占配信を始め、世間を驚かせましたが、あの戦略の背景には、熱心なファンが多いためサブスク先行配信をしてもDVDやBlu-rayの購入需要にさほど影響が出ないとみられたこと、そしてプラットフォーム独占での配信によって有利な条件での契約が可能になることがあったと考えられています。日本でアマプラは2位のNetflixの2倍以上の会員を抱え、SVOD市場の3割を独占しているとされるなど圧倒的に強いことも影響したでしょう。『シン・エヴァ』は興収100億を突破するなどの大ヒット作だった点で『レジェバタ』とは違いますが、『シン・エヴァ』のサブスク解禁戦略が成功したのを踏襲した可能性は高そうです。木村のファンも、セルメディアで販売されればちゃんと購入してくれるでしょうし」(同)

 Prime Video会員であれば、12日より世界200以上の国と地域で見放題となる『レジェンド&バタフライ』。日本では不評の声が多かった“トンチキ”時代劇だが、ひょっとすると海外ウケする可能性もあるかも?

2023/5/11 11:00

この記事のみんなのコメント

1
  • 管仲

    5/13 13:01

    “市場の3割を独占している”って日本語、おかしいよ。3割を占めている、が正しい。

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