サイクロン被害が甚大なマラウイで、マンゴーの木に登って命拾いしたミュージシャン
マラウイでミュージシャンとして活躍するギボー・ピアソンさん(Giboh Pearson)は、マンゴーの木に登って命拾いした一人だ。パロンベ県のボコシ(Bokosi)村に住むピアソンさんは14日の早朝、自分の体が動いている感じがして目が覚めたという。彼は当時の恐怖をこう語っている。
「午前4時頃、外から私の名前を呼ぶ声が聞こえて起き上がったところ、マットレスが水の中に浮かんでいたのです。家の中は腰の高さまで浸水していたので急いで逃げ出しましたがその瞬間、強力な水流に襲われて家が倒壊しました。私の車は流されて近くの教会にぶつかっていました。」
付近の住民らも混乱していたところ、ある男性が「木に登ろう!」と叫んだそうだ。ピアソンさんは近所の人たち約14人と一緒にマンゴーの木に登り、2時間半ほどそこに留まっていたという。『Idzathera mapenate(ペナルティで終わる)』というヒット曲を持つピアソンさんは、録音機材を含むすべての持ち物を失ってしまった。
またパロンベ県から車で約2時間のところにある商業都市ブランタイヤ(Blantyre)に住むワトソン・カパラムラさん(Watson Kapalamula)は、フレディの恐怖を決して忘れることはないとしてこのように話している。
「3月13日の夜、私と息子2人は家の中にいましたが、近くの小川で水や石が転がっていく大きな音が聞こえました。そしてベランダで何が起こっているのかを見ていると、2分もしないうちにまた大きな音が聞こえました。なんと自宅の奥が崩れた音だったのです。」
その後、カパラムラさんたちは強い水流に巻き込まれてしまった。3人は強烈な流れに逆らえず為す術もなかったが、家から50メートルほど離れたところにある大きなイチジクの木の枝に引っかかり助かったという。カパラムラさんは「もしあのイチジクの木がなかったら、私たちは亡くなっていたかもしれません。神様は、自然を通して私たちを救ってくださったのです」と明かしているが、経営する理髪店の備品も含めすべてを失ったそうだ。
マラウイの災害管理局チャールズ・カレンバ(Charles Kalemba)長官によると、被災地に国連からの人道支援活動が行われるという。財務省は被災者支援のため、16億クワチャ(約2億円超)を投じるとのことだ。
画像は『GroundUp 2023年3月17日付「Mango tree saves top Malawian musician from death in floods」(Photos: supplied)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)