センバツ高校野球「注目校」はここだ!78歳最高齢監督が孫と挑む「令和の新ルール」
1月27日、センバツ高校野球大会の出場校が決定した。今年は95回目のメモリアルとなるため、例年よりも4校多い36校で争われるが、注目は「昭和」「平成」「令和」を知る阪口慶三監督(岐阜県・大垣日大)だろう。78歳10カ月は甲子園指揮官として最高齢であり、愛知県の東邦監督時代も含めて「春夏通算34度目の甲子園」となる。
「甲子園大会中、自らノックバットを振り、ブルペンにも走って行って先発投手の状態を確かめます。いつ見てもお元気そうです」(学生野球担当記者)
今春の甲子園では、「ご長寿監督ならでは」のシーンも見られそうだ。阪口監督の指揮する大垣日大の正一塁手としての出場が予想されている髙橋慎(2年生)は、監督の孫なのだ。中学までは愛知県で暮らしていたが、「おじいちゃんと一緒に!」との思いで越境入学したという。
「幼少期からキャッチボールをするなど阪口監督から野球を教わってきたそうです。『監督と生徒』の関係になった今、髙橋は意識していないと言うものの、距離を縮めようとはしないそうです」(地元関係者)
親子鷹ならぬ「祖父孫鷹」というわけだが、「孫とともに甲子園へ」の思いが、阪口監督の元気の源なのかもしれない。
もっとも、「昭和時代」の同監督を知る教え子や関係者たちは「当時は本当に怖かった」と口をそろえる。しかし、怖いだけではなく、当時では珍しい「定期休養日」も設けていた。また、大垣日大に移った「平成時代」は、自ら率先して球児たちに話しかけるなど、時代に適した指導法を模索していたようだ。東邦時代を知る教え子もこう言う。
「試合前のノックも優しくなりました。試合前だから変に緊張させてもいけないと思っているのか、意識して優しく打っているような印象を受けました」
阪口監督が初めて「春の頂点」に教え子たちを導いたのは、昭和時代の1989年。令和になった今大会からは「完全タイブレーク制」が導入される。延長戦は全て「無死一、二塁」からスタートとなり、心理的な駆け引きも必要とされる。令和の新ルールの中で、阪口監督ならではの老練な采配がクローズアップされそうだ。
(飯山満/スポーツライター)