ウーバーイーツ配達員「コロナ収束で稼げない」。報酬300円の注文ばかり

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 今年10月頃からだろうか。ウーバーイーツ配達員への報酬が大幅に下げられてしまった。それまで東京都内で配達1回当たり平均500円くらいだった報酬がジャスト300円ばかりになってしまったのだ。私のようにウーバーイーツの配達をメインの収入源としている者にとってはそれが大きな死活問題になっていた。

◆配達の報酬は300円の“スリコ”ばかり

 配達であるマンションに行ったときのこと。そのエレベーターの中でウーバーイーツの宅配バッグを背負った他の配達員の男と鉢合わせになった。目が合うと、彼のほうから私に話しかけてきた。

「“スリコ”ですか?」
「ええ、スリコですよ。スリコ、スリコ、ずーっとスリコです」
「まったく、やってられないですよね」

 彼はそう言うと、ふうッと深くため息をついた。スリコというのはスリーコインズの略であり、配達員の間で300円の報酬を嘆くような意味合いで使われている

◆怒りしか湧いてこない

 ここ最近は配達で何キロ走ろうが、どれだけ時間がかかろうがほとんど関係なく、報酬はジャスト300円ばかりになっていた(ピークタイムだけは4〜500円と多少ましになることもあるが……)。

 運営は報酬について「配達に費やす予定の時間と距離、および商品の受取場所や届け先が複数あるかどうかを基に算出される」としている。が、その具体的な計算方法は示していない。いったいどういう計算をしたら300円ばかりになるのか。本当にふざけるな! という怒りしか湧いてこない。

 運営内でこんなやり取りがされているのがありありと目に浮かぶ。

「売上が大幅に減少してきていますね」
「それじゃあ、しばらくの間、配達の報酬は一律300円にしよう。それで報酬は配達の距離や時間を基にして算出してますとか言っておけばいい」
「し、しかし、それでは……」
「ああ、大丈夫、大丈夫。どんなに報酬を下げてもやる奴はやるから。まったく便利な連中だよ。わーはっはっは!」

 真相は定かではない。

◆1日5000円稼ぐのがやっと

 報酬が下げられたことに加え、注文の数自体も大幅に減っていた。そのため、夏の頃までは1日1万円くらいは余裕で稼げていたのが、今では1日5000円稼ぐのがやっとという状況だった。

 注文が減ったのはフードデリバリーの閑散期である秋になったことに加え、コロナが収束に向かいつつあることも影響しているのかもしれない。それは仕方がない。が、それならばその損失は配達員だけでなく会社もいっしょに被るのが筋ではないか。

 配達員への報酬を下げるだけ下げて会社だけ生き残ろうとするのはあまりに非人道的ではないか。それでも、運営の思う壺で非常に悔しいのだが、私はこの仕事を続けるしかなかった。

◆それでもこの仕事を続けるしかない

 私には一般企業で会社員として働くという選択はない。

 毎日出社するために満員電車に揺られる地獄。そしてウーバーイーツの低賃金地獄。どちらも地獄であることに変わりはないのだが、私にとってはウーバーイーツのほうがまだましな地獄だった。

 以前、あまりに過酷すぎる編集プロダクションに勤めていた。今でもトラウマになっており、そのことを考えただけで心臓がきゅっと縮み上がってしまうのである。

◆怨嗟の声を呟きながら

 その日もいつものように公園に自転車を止めて鳴る(配達リクエストが入る)のを待った。吹きつける風の冷たさに忍び寄る冬の気配を感じる。1時間ほど経ったところでようやく鳴った。配達距離4キロとなかなかの長距離だが、報酬は例の如く300円。私はちッと舌打ちしながら自転車のサドルに跨る。

「ふざけんな、ボケ。クソが……」

 そしてそんな怨嗟の声を延々と呟きながら、お客様のもとに美味しい料理をお届けするために必死にペダルを漕ぐのである。

<文/広瀬けいいち>

【広瀬けいいち】
編集プロダクションを退職後、アルバイトを転々としながらウーバーイーツ配達員に。たまにライターの仕事も請け負っている。幕末マニア。

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