菅田将暉と小松菜奈の“戦友結婚”で振り返る共演映画3作。出会いは突然に、そして衝撃的に

菅田将暉さんと小松菜奈さんが2021年11月15日にご結婚を発表されました。

共演作が多いふたりなので「お似合い」と祝福する声でSNSは賑わいました。共演、それも相手役を演じたことをきっかけに後(のち)に結婚するケースは、役のイメージも合わさってより好意度が上がります。古くは三浦友和さんと山口百恵さん、最近では星野源さんと新垣結衣さんがその代表でしょう。

ひとりよりもふたりになることでより応援したくなります。そこに菅田さんと小松さんも加わりました。

◆出会いは突然に、そして衝撃的に「ディストラクション・ベイビーズ」

菅田将暉さんと小松菜奈さんの最初の共演作「ディストラクション・ベイビーズ」(16年/真利子哲也監督)でふたりが演じた役柄は決してキュンとなって憧れるような雰囲気ではありませんでした。映画作品としては攻めていてひじょうに興味深い作品なのですが好き嫌いはありそうです。

菅田さん演じる高校生・北原裕也は柳楽優弥さん演じる凶暴な人物・葦原泰良の影響を受けてどんどん凶暴化していきます。ふたりは組んで暴れまわり、小松菜奈さん演じる少女・那奈の乗った車を強奪、少女を乗せて逃亡します。裕也は那奈に酷いことをします。目も耳も塞ぎたくなるようなシーンの連続なのです。

ただし彼らの最初の出会いは鮮烈です。車の後部座席に乗り込んだ裕也が、そこに乗っていた那奈に気づいてハッとなる表情が印象的でした。菅田将暉さんと小松菜奈さんの結婚を知ってから見ると、出会いは突然に、そして衝撃的にと勝手に思ってしまう電撃性なのです。

◆最強コンビとしか思えない「溺れるナイフ」

次に菅田さんと小松さんが共演した「溺れるナイフ」(16年/山戸結希)はラブストーリーでした。キャッチコピーは「あの頃、君が世界の全てで、私達は永遠だと信じていた」という、ファッションビルのエモいキャッチコピーと写真みたいな雰囲気の少年少女の物語。

ここでのふたりの出逢いは鮮烈です。ティーンモデルをしていた望月夏芽(小松さん)が親の生まれ故郷に戻って退屈していたところ立入禁止の海で長谷川航一朗(菅田さん)と出会います。海を背景にふたりが向き合って見つめ合う画が絵画のようです。超美少女と金髪美少年。おそらくふたりして己の全能感を超えそうな相手に出会ってしまったその瞬間の衝撃。

その後(あと)、ふたりは海にザブーンと飛び込むことになります。服着たまま海に入る場面を演じたら恋するに決まってる。勝手にキャッチコピーを作ってしまいたくなる雰囲気がありました。

ですがこの映画もただただ無我夢中の思春期の恋だけではなく、なかなかヘヴィなことが起こります。火祭りの晩、夏芽の身に降りかかった悲劇は夏芽と航一朗の両方の心を傷つけます。

辛い出来事があったけれどふたりの恋は生涯一度の尊いもので、「海―」「空―」「雲―」とはしゃぎながらふたりで自転車やバイクの二人乗りをはじめとしてこれでもかこれでもかとエモいシーンの連続です。これを見ちゃうと、菅田将暉さんと小松菜奈さんは最強コンビとしか思えません。

◆確実に歩んでいった末の結婚だと感じさせる「糸」

「溺れるナイフ」の印象が強すぎてもっと何作も共演しているように思えますがその後、4年ほど間が空いて「糸」(20年/瀬々敬久監督)です。

13歳の時に出会ってほのかな恋をした高橋漣(菅田さん)と園田葵(小松さん)が出会いと別れを繰り返す18年間。想い合いながら別れたふたりが再会した時はそれぞれ別の道を歩んでいます。それでもふたりは互いのことが気にかかって……。

「ディストラクション・ベイビーズ」と「溺れるナイフ」では青くて鋭く尖った十代を演じてきた菅田さんと小松さんがすっかり落ち着いた社会人を演じています。前2作ではちょっと髪が長めだった菅田さんは短髪でさっぱり。北海道のチーズ工房で働き、結婚し、親になる実直な青年を演じています。小松さんは海外でビジネスを行うほどのガッツのある人物を演じます。「溺れる~」では助けてくれなかった彼をものすごく責めてしまう人物を演じていましたが「糸」では自分が他者を助けようと考える人物です。

若さそのものの活(い)き造りのような映画から地に足のついた演技を見せる「糸」へ――。この作品を経て実生活で結婚に踏み切った流れにふたりの堅実さを感じます。つまり、若さゆえの勢いの恋ではなく、確実に歩んでいった末の結婚だと感じさせるからです。映画のラストはその後の菅田さんと小松さんを暗示しているように今だと見えてしまいます。

◆負荷のかかる役柄を乗り越えて成長していった「戦友」

結婚報告で「出会った頃から変わらず私達は、戦友であり、心の支えであり、これからは家族になります。人生を共に考え進んでいくこと、とっても楽しみです!」とコメントしていたふたり。

確かに「ディストラクション・ベイビーズ」はまさに戦場のような撮影現場だったのではと想像しますし、「溺れるナイフ」もロマンティックだけれどなかなかハードなシーンの連続だったと思います(海に入るのみならず小松さんは浅い川に顔から倒れ込む場面も)。負荷のかかる役柄を乗り越えて成長していったふたりですからまさに「戦友」なのでしょう。

菅田さんと小松さんもともと顔立ちが似ているような気がしますが、近頃、ますます似てきているような気さえします。とりわけ瞳が。

大きな瞳に力を入れずまぶたをかぶせて眼ヂカラ抑えめな感じが。小松菜奈さんのほうが前からそういう感じで菅田さんが最近ますますそういう瞳をしているように見えるのはバイアスをかけてしまっているのかもしれません。

いずれにしてもアーティスティックなご夫婦としてこれからもご活躍をお祈りしております。結婚してからの共演はあるのか気になりますね。

<文/木俣冬>

2021/11/23 8:46

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