【アジア最前線:タイ #15】タイ代表新監督にポルキン氏就任。その背景と今後の課題

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タイリーグで実績のあるブラジル人指揮官


 西野朗前監督が契約期間を残して解任となったタイ代表の新たな指揮官が決まった。タイのサッカー界では「マノ」の愛称で知られるドイツ系ブラジル人のアレシャンドレ・ポルキン氏だ。西野監督の解任劇から約2カ月が経過した9月28日、タイサッカー協会は同氏がA代表の新監督に就任することを発表した。

 ポルキン氏はドイツ人のヴィンフリート・シェーファー氏がタイ代表監督を務めていた2012年に、同代表チームのアシスタントコーチとしてタイでの指導キャリアをスタートした。その後、タイリーグのアーミー・ユナイテッド、スパンブリーFC、バンコク・ユナイテッドの監督を歴任。2014年から務めてきたバンコク・ユナイテッド監督を昨シーズン途中に退任すると、その後はタイを離れてベトナムのホーチミン・シティ監督を務めていた。

 タイリーグではバンコク・ユナイテッドを率いて2015年から5位、2位、3位、2位、4位と安定して上位をキープ。同クラブが親会社であるタイの大手通信事業者「トゥルー・コーポレーション」の資金力をバックに本格的なチーム強化に乗り出したタイミングと重なったこともあるが、チームはポルキン監督体制下でリーグ制覇を狙えるタイ屈指の強豪クラブへと成長を遂げた。

 2019年7月に大きな期待を背負って就任した西野前監督は、当初はワールドカップ予選でUAEを下すなど好調だったものの、コロナ禍の影響を大きく受けて2次予選敗退。2大会連続のアジア最終予選進出を逃したことで、タイ国内では前回大会で最終予選進出を成し遂げたキャティサック・セーナームアン氏の再登板を望む声も挙がっていた。だが、タイサッカー協会が新指揮官に選んだのはタイリーグをよく知るブラジル人監督だった。

東南アジア王座奪還を目指す新生タイ代表


 ポルキン新体制となったタイ代表にとって、最初のターゲットなるのは12月5日に開幕する東南アジア選手権(AFFスズキカップ)だ。本来であれば昨年末に行われる予定であった同大会はコロナ禍の影響で2度の延期を余儀なくされ、1年遅れでようやく開催の運びとなった。東南アジア選手権の開幕が約2カ月後に迫っていることもあり、新指揮官はタイサッカーをよく知る人物である必要があったと言える。

 1996年に「タイガーカップ」としてスタートした東南アジア選手権は、2年に1度をベースに開かれ今回で13回目の開催となる。東南アジアの王者を決める戦いとして同地域では非常にプライオリティの高い大会となっており、タイはこれまで最多5度の優勝を誇る。しかし、前回大会ではベトナムに3連覇を阻まれており、タイにとって今大会は王座奪還を期す重要な大会と言える。

 2018年の前回大会は急成長を遂げたベトナムの強さが印象的であったことも事実だが、タイはチャナティップらJリーグ勢をはじめ海外でプレーする複数の主力選手を欠いていた。国際マッチデーではないため、東南アジア外でプレーする「海外組」を招集できなかったのだ。前々回までは正真正銘の東南アジア王者を決める大会と言えたが、それが困難になりつつあることを感じさせる大会でもあった。

 タイは現在もJリーグやKリーグでプレーする選手を抱えているため、今大会もベストメンバーを招集することは難しいだろう。さらに、コロナ禍によって国内リーグの開幕が遅れたことで、大会直前まで代表活動は行えない見込みとなっている。西野監督体制下でも昨年からパンデミックによってまともな代表活動が行えない状況が続いていたが、新生タイ代表もまだまだコロナ禍の影響を受けながらの戦いが続きそうだ。

文=本多辰成

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