八代弁護士の発言で議論再燃…日本共産党が目指す「革命」の形とは

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野党共闘で存在感を増す共産党。社会主義を目指す党がほかの野党と果たして協力できるのか。そんな疑問からワイドショーのコメンテーターが「暴力革命」と口にすると、大騒動に……

◆歯切れの悪い共産党。革命は諦めたのか?

 総選挙が迫るなか、9月30日に日本共産党の志位和夫委員長は立憲民主党の枝野幸男代表と党首会談。政権交代に意欲を示すも、足元では「暴力革命」を巡って議論が再燃している。

 きっかけは、八代英輝弁護士がコメンテーターを務める『ひるおび!』(TBS)で発した次のひと言だった。

「共産党はまだ『暴力的な革命』というものを党の綱領として廃止していません」

 すぐさま共産党は「事実無根」と猛抗議。八代氏は二度にわたって放送中に謝罪に追い込まれた。ただ政府や公安調査庁は「暴力革命」の見解を崩しておらず、情報史学研究家の江崎道朗氏は以下のように解説する。

「共産党の指摘通り、綱領には『暴力革命』の記載はない。八代弁護士の発言は間違いのため、謝罪するべきです。一方で共産党は過去には暴力革命方針を示した、“51年綱領”に基づき『白鳥警部射殺事件』『大須騒擾事件』など、凶悪事件を起こし、裁判所でも認定されているのも事実です」

◆『いかなる条件下でも暴力革命はありえない』と綱領に明記すべき

 オウム真理教も調査対象の破防法は、そもそもは非合法活動を行っていた共産党を取り締まるため’52年に施行。現在も公安調査庁は、共産党を調査対象としたままだ。

「最も大きな問題は共産党は過ちを認めないことです。八代弁護士は深々と頭を下げたのに、共産党は過去の武装闘争を『分派』のせいにして自らの責任と向き合わない。

 例えば、自民党の清和会が『田中派がやったことは知らん』と言ってまかり通るでしょうか? 『公安の言うことを鵜呑みにするのはバカ』との意見もあるが、私は過去の誤りを認めないのも問題だと思いますね」

 ’58年以降、共産党は「革命の形態が平和的になるか非平和的になるかは敵の出方による」、いわゆる「敵の出方論」を展開。

 現在の共産党は、議会制民主主義を通じた「革命」を標榜し、9月の中央委員会総会で志位委員長は「敵の出方論」は使わないとするが……。

「社会主義を達成したロシア、中国、カンボジアなどを見てもわかる通り、暴力革命でしか成功していない。議会制民主主義を認めないのがマルクス=レーニン主義。日本共産党の出発点はコミンテルン(第3インターナショナル)の支部ですから、暴力革命にこそ党の存在意義がある。

 だから共産党は暴力革命を否定できず、志位委員長は『敵の出方論』は誤解を招くから使わないとしただけ。政府や公安の主張が間違いというのなら、『いかなる条件下でも暴力革命はありえない』と綱領に明記すべきですよ」

◆先延ばしされる革命、高齢化する党員たち

 近年、ソフト化路線を進める共産党は、次第に天皇制、自衛隊、憲法の見解に矛盾をきたすようになった。

 さらに8年前にはマスコットキャラ「カクサン部」まで誕生。今では「革命より野党共闘に存在意義を見いだしている」と、元共産党参議院議員の筆坂英世氏は話す。

「先の都議選で立憲民主党が躍進したのは、共産党のおかげ。ある評論家が『共産党員は立憲の応援ばかりさせられて不満を溜め込んでいる』と言っていましたが、実際は正反対。当選しない候補者の応援より、他党でも当選する候補者を応援するほうがどれほどやりがいがあることか」

 ’80年「社公合意」によって、「与党vs野党vs共産党」という構図ができ、長きにわたり埋もれてきた共産党にとって、共闘は悲願だったという。

「数年前、党大会に他党代表が初めて来賓で出席しましたが、会場では小沢一郎さん(当時自由党代表)に割れんばかりの拍手、中継で見ていた地方の党員は涙を流したそうです。共産党はこれまで差別され、ずっと日陰にいた。その大会にこんな保守の大物が来てくれた、と。今の共産党には野党共闘が命綱なんです」

◆名前を変えるに変えられない理由

 ほかの野党も共産党の組織票は喉から手が出るほど欲しいだろう。約2500人もの共産党の地方議員が集票マシンとして期待できるからだ。

「共産党の地方議員は真面目に地に足つけて、頑張っている。投票するほうも、町議会選挙で共産党議員に票を入れても、革命が起こるとは誰も思わないでしょう(笑)。

 そもそも革命は若者が成すもの。共産党員の平均年齢は60歳を超えている。“杖をついた革命政党”なんて悪い冗談です。でも、公安も公安で、それを認めたら自分たちの存在意義がなくなるから、共産党は暴力革命を諦めていないと言い続ける。本当に税金泥棒です。

 共産党も党名を変えればいいと思うのですが、共産党という名前をよりどころにしているところもある。海外の共産党は看板を下ろすと、党がなくなってしまった。だから、変えるに変えられない」

 遠くの革命より近くの選挙――。

◆戦後の共産党を導いてきた3人の巨頭

 自民党の岸田文雄新総裁に日本共産党の志位委員長が早速、ツイッターで「表紙だけ変えても、中身は変わらない」と批判した。

 ただ共産党の「表紙」である志位氏は委員長に就任して実に20年。「共産党内に”民主的”な選挙は存在しない」と前述の筆坂氏は指摘する。

「中央委員の選出は、改選前の中央委員会が推薦する200人近くの名前が並んだ名簿に賛成なら無印、反対ならチェックをつける形式だが、最高幹部の私でさえ誰が名簿を作っているのか全く知らなかった。一応、党規約には『指導機関は選挙で選ぶ』とありますが、自由に立候補して『私は党をこう変える!』と表明する人はまずいません」

 トップの意向によって指導部がつくられるため、世代交代がなかなか進まない。戦後の共産党を導いてきた委員長は、驚くことに主に3人しかいないのだ。

 戦前の’33年に逮捕され、厳しい取り締まりを受けるも獄中で非転向を貫き通した宮本顕治初代委員長。’82年、2代目委員長に就任した不破哲三氏、そして5代目委員長の志位和夫氏だ(3代目は村上弘氏が1年半、4代目は再び不破氏)。ちなみに、志位氏は学生時代には宮本氏の長男の家庭教師を務めていた。

「”カリスマ”と呼べるのは宮本さん、不破さんまで。私が代々木の党本部にいたとき、宮本さんと不破さんの悪評はひと言たりとも聞かなかったです。

 宮本さんは非転向を貫いた神話や獄中手記のようなスゴみがありました。不破さんはマルクスやエンゲルス、レーニンをものすごく読み込んだ理論家で、演説も爽やかで、国会論戦もうまかった。

 それに比べ、志位さんはよく陰口を叩かれている。とはいえ、今の党幹部に志位さんの右に出る人材がいないことも事実ですが……」

 宮本氏が要職から退いたのは88歳、御年91歳の不破氏はいまだ最高幹部に名を連ねる。現在、67歳の志位氏は共産党指導者としては”若手”なのだろう。

◆東大卒の撮り鉄は将来の指導者?

 先ごろ、撮り鉄で知られる共産党の山添拓参院議員が、昨年11月に「勝手踏切」を渡ったとして書類送検された。不起訴になったものの、巷間では「共産党だから狙われたのでは」との訝る声が聞こえる。

「彼は東大卒の弁護士で、東京都が選挙区。将来の指導者候補とも囁かれており、公安にマークされていた可能性はある」(筆坂氏)

 宮本氏、不破氏、志位氏の歴代3トップは全員東大出身だ。

「私が共産党に入った’70年前後はまだマルクス=レーニンのイデオロギーに権威があった。私も資本主義から社会主義に発展すると習ったけど、現実に起こったのは逆だった。

 でも当時は『資本論』なんか誰が読んでもわからないのに、『東大生は頭が良いのだから、マルクスを読んで、共産党員になる責任がある』と勧誘されていた。今は幹部でも読んでいないでしょうし、共産党が訴えることも『平和・平等・LGBT』と、社会主義には何の関係もないことばかりです」(同)

 残ったのは唯「学歴」史観だけか。

取材・文/SPA!取材班 写真/時事通信社 朝日新聞社


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  • 10/10 8:51
  • 日刊SPA!

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この記事のみんなのコメント

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  • 観音寺六角

    10/11 23:25

    最低賃金が1500円になったらどうなるかな?俺は最速3000円で平均1000円だけど😱キツいっす

  • 過ちを認めないのはどうなのかなあ。

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