メガネは大きめがトレンド。流行と好みが違う時、どうする?

『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。

◆メガネのフレームもファッションの流行に影響される

メガネ、それは多くの人にとっては視力を矯正するために装着する器具であり、またある人にとっては雰囲気を変えるために、おしゃれの一部として顔周囲の装飾のために用いられる器具です。もちろんその両方を使用目的としている人たちもいます。

 レンズについては視力を正確に測ることにより決定されますが、フレームを選択する場面にうつると、そこからは個人の趣味嗜好が問われます。

 ほとんどの人が視力矯正のために利用しているにもかかわらず、メガネのフレームもまた、ファッションの流行に影響されます。大雑把(おおざっぱ)に言えば、服がタイトなシルエットのときにはフレームは小さ目、服がビッグシルエットになってくると、フレームも大き目になります。もちろん例外もあるので、すべてがそうなってしまうということはありません。

◆ビッグシルエットの流行で最近は大き目のフレームが増えた

 ここ最近は、ビッグシルエットの流行にともない大き目のフレームが多くなってきたと言っていいと思います。

 今ではこの大きさに見慣れてしまって、現在多くの人がかけているメガネのフレームの大きさが標準のように感じられますが、2000年あたりから2010年代の中盤までは、女性用メガネのフレームは、縦幅が狭く、形もオーバル型、あるいはスクエア型が主流でした。

 ネックレスやイヤリング、ヘアスタイル、そして眉毛は、服のシルエットがタイトなときは、小さくコンパクトになる傾向があります。

 ですから、2000年あたりから2010年代中盤は、イヤリングはスタッズタイプのように小粒なもの、ネックレスもチェーンが華奢で、ペンダントトップが小さなもの、ヘアスタイルはタイトになでつけたスリークヘア、そして眉毛は細眉でした。これらとバランスをとるために、メガネもおのずと小さ目のフレームが選ばれることになりました。

 行き過ぎると必ず反動が起きます。2010年代も中盤を過ぎると、イヤリングは装飾的な要素が強いステートメントイヤリングに、ネックレスは太目のチェーンに、眉毛は太く、ヘアスタイルもふんわりと、そしてメガネのフレームも大きくなったというわけです。

◆メガネの流行も繰り返される

 この大き目のフレーム、現在10代、20代の方たちにとっては新鮮に映ったことでしょう。けれども、80年代から90年代のことをよく覚えている年代の人たちにとっては、またあれがきたか、という感じだったのではないでしょうか。

 特に黒ぶちで大きなフレームのタイプは昭和の時代、マンガのキャラクターがこのメガネをしていたことから「アラレちゃんメガネ」と呼ばれ、若者の間で大流行したのを覚えている方もいるでしょう。メガネの流行も繰り返されるのです。

◆自分の好みと流行が一致していない場合は?

 ファッションでメガネをかけるわけではない人たちにとって、どのフレームを選ぶかは悩みどころでしょう。メガネをかけないと生活できないので、コンタクトをつける時間はあるとしても、使わないわけにはいきません。

 かけ心地がよくて、壊れにくく、よく見えることが何より大事である、と考える人も多いでしょう。けれども、そんなことにはお構いなく、メガネ売り場にも流行の波がやってきます。

 自分の好みと流行が一致していればいいのです。けれどもそうでない場合はどうするか。それはその人の価値観と、優先順位によって変わってくるでしょう。

 高校生のころからメガネをかけている私にとって、メガネは実用品なので、流行よりは自分の好みが優先です。しかもその好みは大学生のころにフレームの縦幅がしっかりあるボストンタイプのセルフレームを買ってからずっと同じ。流行が変わっても、好きなものは変わりません。

◆なかなか自分の好きなものに出合えない時期も

 ずっと同じものでも構わないのですけれども、メガネもモノなので時々壊れます。そのたびに新調するわけですが、2000年を過ぎたころから、セルフレームはどれも縦幅が小さくなってしまって、理想の形を見つけられず、妥協して買って、気に入らないままメガネをかけていた時期がありました。

 好きなものが決まっていると、時たまこのように、なかなか自分の好きなものに出合えない時期が訪れます。これはメガネだけではなく、靴の形、スカート丈など、あらゆる面において起こり得ます。

 とりあえずあるもので妥協するか、好きなものと出合うまで探し続けるか、どちらでも選べます。

◆理想的な、グッチのフレームに出会った

 このメガネは、私の好きなタイプが多く市場に出回るようになった2年ぐらい前に買ったグッチのもの。理想の形に近く、かけ心地もいいので選びました。妥協していた時代が終わって、やっと自分の感覚になじむものに戻れました。

 本当に自分が好きと思えるものはいつの時期も、またどこにでも売っていないものです。流行の影響を受けて、多くのものが変化するものだということを、大人になればなるほど学ぶでしょう。

 自分の好きと流行と、妥協してもいいものと譲れないものと、これらのバランスのとり方がその人のスタイルを作ります。ぶれない支点と、揺れる部分と、うまくバランスがとりながら、変わっていく流行を楽しんでいきましょう。

<文/小林直子>

【小林直子】

ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。新刊『わたし史上最高のおしゃれになる!』は発売即重版に

2021/10/4 15:46

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