ハリソン・フォードがリヴァー・フェニックスを指名 『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』製作秘話

 『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』が、今夜の金曜ロードショーで本編ノーカット放映される。シリーズ3作目で、1989年に公開されたこの映画は、1作目の3億8900万ドル(約435.8億円)、2作目の3億3300万ドル(約373億円)を上回り、全世界で4億7400万ドル(約531億円)を売り上げる大ヒットとなった。若きインディ役にはリヴァー・フェニックス、インディの父親役にはショーン・コネリーという豪華布陣も目を引くが、製作が決まるまでには実はさまざまな紆余(うよ)曲折も。そんな『最後の聖戦』の製作秘話を振り返りたい。

■没になった脚本

 『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』をシリーズ化することは、原案のジョージ・ルーカスと監督のスティーヴン・スピルバーグが最初から決めていたこと。しかし、2作目『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』が、興行成績でも評判でも1作目に満たなかったこともあり、3作目をどうするかにおいては、かなりの紆余曲折があった。2作目への謝罪の意味も含め、3作目は再びオリジナルの精神に立ち戻ったものにすると決めたスピルバーグは、今作のために『ビッグ』と『レインマン』を監督するチャンスを諦めている。

 ルーカスが最初に提案したのは、呪われた家を舞台にするというアイデアだった。だが、スピルバーグは、『ポルターガイスト』に似ているとして反対。その後、スピルバーグが製作総指揮を務めた『グレムリン』の脚本を書いたクリス・コロンバスが脚本を完成させるも、ロケハンも始まった段階になって没に(その脚本は1997年にネットにリークされ、4作目の脚本かと騒がれることになった)。アフリカの人々の描写のされ方にルーカスが抵抗を感じたこと、また話があまりにも非現実的だったことが理由だと言われている。

■父親役はショーン・コネリー、若き日のインディ役はリヴァー・フェニックス

 そんな経緯を経てたどりついたのが、インディ・ジョーンズが父ヘンリー・ジョーンズと一緒にキリストの聖杯を探すというストーリーだ。聖杯を持ち出したのは、ルーカス。最初、スピルバーグはそのアイデアに乗り気でなかったという。逆に、父と息子の関係を話の中心にするというスピルバーグの思いつきに、ルーカスは「話の中心は聖杯であるべきだ」と主張したが、結果的にはそのふたつのバランスがうまく取れた脚本が完成した。

 父親役に選ばれたのは、彼らの第一希望だったショーン・コネリー。映画のオープニングで、若き日のインディと一緒にいる時、父の顔はあえて隠されており、コネリーが登場するのは大人のインディがようやく父と再会できてからだ。そして、この若き日のインディは、リヴァー・フェニックスが熱演している。ユタ州の洞窟で男たちが貴重な十字架を発見し、盗もうとしているのを見かけたインディは、「これは博物館に保存されるべきだ」と、奪って逃走。そこからアクションが展開するのだが、サーカスを乗せた汽車で起きるそれらのシーンは実に痛快で、スリル満点だ。

■リヴァーはハリソンの指名

 この役にリヴァーを選んだのは、主演のハリソン・フォード。ハリソンとリヴァーは、3年前の『モスキート・コースト』で共演していた。また、ハリソンは、その年齢だった頃の自分に最も似ているのはリヴァーだと思ったとのこと。『モスキート・コースト』と同じ年に公開された『スタンド・バイ・ミー』で大ブレイクを果たし、その後、『マイ・プライベート・アイダホ』など小粒なドラマで活躍していったリヴァーのキャリアを振り返ると、製作予算4800万ドル(約53.7億円)の『最後の聖戦』は最大規模の出演作だ。

 そのオープニングシーンから示唆されていたように、インディは父に対してやや複雑な感情を持っている。そんなことを気にもせず、わが道を行くタイプであるヘンリーとインディのやりとりは、ユーモアとハートがあって面白い。実は、このふたりの会話は、クレジットはされていないが、著名な劇作家トム・ストッパードによって書かれたものだ。ストッパードは、シリーズ4作目『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』の脚本にも貢献している。

■来年夏には待望の5作目が公開

 その4作目が公開されたのは、『最後の聖戦』から19年後。ルーカスは、『最後の聖戦』で映画は終わりにしようと思っていたが、テレビシリーズ『インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険』を手がけるうちに、1950年代を舞台にするというアイデアが湧いてきた。しかし、ハリソンがそれを気に入らず、話はそこで終わってしまう。そんな中でも、スピルバーグは娘からしょっちゅう「インディ・ジョーンズの映画はもう作らないの?」と聞かれ続け、2000年、ハリソンがアメリカン・フィルム・インスティチュートから賞を授与されるセレモニーでスピルバーグ、ルーカス、フランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディが顔を合わせると、一気に話が盛り上がることに。4作目にもコネリーを出したいという希望はあったが、コネリーはすでに引退していたことから、叶わず。だが、今度はインディ・ジョーンズの息子役としてシャイア・ラブーフが登場し、父と息子のコンセプトは引き継がれている。

 それからさらに14年を経て、来年夏には待望の5作目が公開になる。映画はまだ撮影中で、正式タイトルは未定、ストーリーの設定も明らかにされていない。ラブーフは出演せず、新たにマッツ・ミケルセン、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、アントニオ・バンデラスが出演する模様。この映画が北米公開される7月29日、ハリソンは80歳になっている。今度こそこれが最後かと思われるが、もちろん、それはわからない。インディ・ジョーンズが暴れ回るのを見たいと願うのは、スピルバーグの娘だけでなく、世界中にたくさんいるのだ。(文:猿渡由紀)

 金曜ロードショー『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』は日本テレビ系にて10月1日21時放送。

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