俳優・大橋彰としてのアキラ100%。監督は「芸人と知らずに」配役

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 お盆を使ったハダカ芸でお馴染みのアキラ100%が、このところ本名である大橋彰名義で映画やドラマに起用されるなど、俳優としての活躍に注目が集まっている。

◆お盆を置き、服を着たハダカ芸人が見せる演技派俳優としての顔

 昨年は、日本テレビ系ドラマ『トップナイフ-天才脳外科医の条件』にもレギュラー出演。9月10日公開の映画『達人 THE MASTER』では、初の主役に抜擢された。

「アキラ100%として芸をするときは、スイッチが入ると言いますか、『ちょっと顔が変わりますね』って言われるんです。でも、俳優として出演した作品は、最後まで芸人のアキラ100%だとわからずに観てくださる方もいらっしゃるぐらい、別人に見えるようで……。監督も、最初は僕が芸人だと知らずに配役してくださったんですよ」

 実は、大橋は『達人 THE MASTER』でメガホンを取った横尾初喜監督作品の常連俳優だ。監督から声がかかったのは、ピン芸人としてブレイクする直前。大橋が出ていた舞台を監督が観て「俳優として惚れ込んだ」のがきっかけだという。

◆初めての主演は「嬉しさと不安が入り交じった気持ち」

 その後、初めて撮影に参加した’17年公開の『ゆらり』では出演シーンは少なかったものの、’19年公開の『こはく』では、井浦新演じる主人公の傍らで人間味溢れる兄を演じ高い評価を得た。3度目の出演となった今回は、横尾監督と二人三脚で役作りに励んだ。

「今回は『以前から温めていたコメディ映画があるのですが、彰さん、出ませんか?』と声をかけていただきました。初めての主演ですから、嬉しさと不安が入り交じった気持ちで挑んだんですけど、いざ撮影に入ってみると、コメディとは言っても会話のなかで密接な人間関係が描かれており、ドラマの部分がかなり重要な作品でした」

 映画の冒頭で頭を強打して記憶を失った大橋演じる達人(たつひと)は、「俺は何かの達人(たつじん)だった気がする……」という記億の断片を手がかりに、過去の自分を探していくなかでストーリーが進んでいく。

◆遅咲きの苦労人から滲む、哀愁漂う確かな演技力

 メインキャストは大橋と2人の女優陣。セリフのほとんどは、舞台となった一軒の屋敷のなかで交わされるため、3人の心の機微を追うには、俳優の確かな演技力が求められる。

「撮影は鎌倉の屋敷を借り上げて行ったのですが、監督が車で現場に向かう通り道に僕が住んでいたので、毎日ピックアップしてもらって……。監督とは車中や現場で役作りについてよく話し合いながら撮影を進めました」

◆「悔しいな、うまくいかないなと、人生に迷う時期が長かった」

 30歳でお笑いの道に進むまでは俳優志望だったというだけあり、初の大役も力みなく演じ切っている。全編を通してスクリーン越しで記憶に残るのは、ピン芸人として陽気にお盆芸を披露する姿からは想像できない大橋のシリアスな佇まいだ。

「僕はなかなか売れなくて、悔しいな、うまくいかないなと、人生に迷う時期が長かった。ですから演じているときに、オジサンの哀愁みたいなところが自然と溢れ出していたのかもしれません。芸人のときと素に近い俳優のときではギャップがあるので、観にきてくれたお客さんには、その振り幅を楽しんでいただけたら」

 あくまで軸足は芸人に置くというアキラ100%だが、俳優・大橋彰としての活躍もますます期待される。

『達人 THE MASTER』
監督・原案/横尾初喜 出演/大橋 彰(アキラ100%) 安倍萌生 宮本真希 配給/SDP 9月10日(金)公開
記憶を失った謎の男(大橋)が、静子(安倍)が住む屋敷の前に倒れている。記憶を取り戻す手伝いをする静子は、次第に男との距離を縮めていくのだが……

【大橋 彰/アキラ100%】
お笑い芸人、俳優。’74年生まれ、埼玉県出身。’17年、ピン芸日本一を決定する「R-1ぐらんぷり2017」で優勝を果たす。最近はドラマや映画にも出演し、俳優としても活動を始めている

取材・文/池田 潮 撮影/浅野将司


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  • 日刊SPA!

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