東京五輪で印象に残ったセリフBEST10、池江璃花子「本当に幸せ」は2位

◆名言やパワーワードが続出中の東京オリンピック

 連日のメダルラッシュに日本が沸いている。2021年7月23日(金)から8月8日(日)まで、史上最多となる33競技339種目が行われる「東京オリンピック」。競技の日程はいよいよ佳境を迎える。ここまで数々の名シーンが生まれているが、同時に注目を集めているのが選手や関係者たちの言葉だ。すでに多くの名言やパワーワードが飛び出している。

 そのなかで、もっとも印象に残っているのはどれか。今回は、8月1日(日)までに行われたものから、ニュースやSNSで話題を呼んだセリフを合計30個ピックアップ。全国の30代~40代の男性200名に対して「2020年東京オリンピック競技大会で印象に残っているセリフ」にかんしてアンケート調査を行った。さっそく、ベスト10から発表しよう。

◆10位「13歳、真夏の大冒険」倉田大誠(スケートボード実況)8.5%

 7月26日、スケートボードの女子ストリート決勝で、13歳の西矢椛が金メダルを獲得。西矢が5回目のトリックを成功させた瞬間、実況を務めるフジテレビの倉田大誠アナウンサーが「決まった! 13歳、真夏の大冒険!」と叫んだ。このフレーズがTwitterでもトレンド入りを果たした。

◆10位「ラスカル」西矢椛・中山楓奈(スケートボード)8.5%

 スケートボードの女子ストリートで西矢椛が金メダル、中山楓奈が銅メダルに輝いた。優勝直後、競技の合間に2人で何を話していたのか問われた際に西矢が「ラスカル」と答えた。

 ラスカルの正体について、ネット上ではチャンネル登録者数96万人のYouTuber「大食いらすかる」やヒップホップアーティスト「ディジー・ラスカル」なのではないかという憶測の声もあったが、アニメ「あらいぐまラスカル」と判明。アニメの制作会社は素早く反応し、公式Twitterアカウントにて祝福のコメントとイラストをアップしていた。中山は試合中にラスカルの曲「ロックリバーへ」を聴いているという。

◆9位「免疫ありすぎる俺の心には1ミリもダメージない」水谷隼(卓球)9%

 卓球・混合ダブルスで金メダルを獲得した水谷隼と伊藤美誠。しかしその後、水谷は自身のTwitterで、“とある国”から誹謗中傷のDM(ダイレクトメッセージ)が大量に送られてきていることを明かし、そのうえで「免疫ありすぎる俺の心には1ミリもダメージない」とコメント。翌日には投稿を削除したが、これを各紙が報じた。

◆7位「ゴン攻め」瀬尻稜(スケートボード解説)9.5%

 7月26日、スケートボードの女子ストリート予選にて、プロスケートボーダーで解説の瀬尻稜さんが、高難度のトリックを決めたオランダ選手について「練習も見てましたが、ひとりだけゴン攻めしていて」とコメントした場面があった。

 実況の倉田大誠アナウンサーが「ゴン攻めというのは?」と聞き返すと、「攻めてたッス。ガンガン攻めていて」と説明した。

◆7位「ビッタビタ」瀬尻稜(スケートボード解説)9.5%

 続けてスケートボードのセリフから7位にランクイン。7月25日、男子ストリート決勝で銅メダルを獲得したアメリカのジャガー・イートン選手がレールで大技を決めた。すると、解説の瀬尻稜さんが「やべ~、ビッタビタハメてましたね」。これに対して実況の倉田大誠アナウンサーが「ビッタビタにハメてましたか?」と質問。瀬尻さんは「ビッタビタでしたよ」と返したのだ。そんなふたりの掛け合いにSNSが盛り上がった。

◆6位「スポンサー的にまずいんで」久保建英(サッカー)11%

 7月28日に行われたサッカー・フランス代表戦に勝利した直後の出来事。久保建英がインタビューのために登場した際、まだカメラがまわっていないと思っていたのか、カメラマンに対して「上半身だけでいいですか? すいません」と発言。そして、 下半身を気にする素振りを見せながら「これたぶんスポンサー的にまずいので」と続けた。

 これに対して、吉田麻也が「絶対に足映んないよ」とツッコミを入れるが、久保が「え、スタイル良いんで」と切り返したことが話題を呼んだ。代表ユニフォームのスポンサー企業とは別のものを着用していたと推測される。

◆4位「お兄ちゃんが今からなんで」阿部詩(柔道)11.5%

 7月25日、女子柔道の52キロ級でアマンディーヌ・ブシャール(フランス)と延長戦の末、金メダルを獲得した阿部詩。

 その瞬間、ガッツポーズで喜びを爆発させた。だが、兄の一二三が決勝戦を控えるなか、「お兄ちゃんが今からなんで、まだ気が抜けない。しっかり応援しようと思います」とエールを送る。家族の絆が垣間見られる言葉にSNSが沸いた。

◆4位「土下座して謝りたい」内村航平(体操)11.5%

 4大会連続出場、個人総合2連覇、体操界のエース・内村航平が7月24日、「僕はたぶんもう主役じゃない」と発言した。今回は怪我の影響などから個人総合や団体を断念し、鉄棒の1種目に絞って出場したが……結果は、まさかの予選落ち。

 インタビューでは「心ここにあらずという感じだった」と振り返る。また、代表選考を争っていた米倉英信の名前を出し、「土下座して謝りたい」「本当に申し訳ない気持ちしか出てこない」と苦しい胸中を吐露した。

◆3位 長すぎる開会式スピーチ バッハ会長(開会式)14.5%

 7月23日の開会式で選手入場が終わった午後11時過ぎ、大会組織委員会の橋本聖子会長に続いて、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が挨拶を行った。

 しかし約13分間も続いたスピーチに、Twitter上では「スピーチ」がトレンド入り。「話長い」「聖火まだ?」などの感想で溢れた。「運動会の校長を思い出した」という声も多く、バッハ会長を「バッハ校長」と呼ぶような投稿も散見された。

◆2位「本当に幸せ」池江璃花子(水泳)20%

 8月1日、競泳の女子400メートルメドレーリレー決勝、池江璃花子は第三泳者として登場。得意のバタフライを泳いだ。池江はレース後に号泣、万感の思いが込み上げた。

「一度は諦めかけた東京オリンピック。リレーメンバーに選ばれて決勝に残れて本当に幸せだなと思いました」

 白血病を乗り越えて、まさに奇跡の復活。日本は3分58秒12で8位という結果だったが、多くの人に感動と勇気を与えたに違いない。

◆1位「記念する」天皇陛下(開会式)22.5%

 7月23日、新型コロナウイルス感染拡大が続くなかで迎えた開会式。天皇陛下は開会宣言で「私は、ここに、第32回近代オリンピアードを記念する、東京大会の開会を宣言します」と、従来であれば「祝い」の部分を「記念する」と変更して述べた。これを新聞各社が翌日の朝刊で大々的に報じた。

◆11位〜20位まで一挙に紹介

 アンケートの結果、ベスト3のうち2つが「開会式」だった。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、賛否両論あるなかで始まったことから、多くの人の印象に残っていたようだ。NHK総合で生中継された開会式の様子は、平均世帯視聴率56.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったという。また、地上波では珍しいスケートボードやBMXも視聴者には新鮮に映ったことだろう。以降は、20位まで一挙に紹介していこう。10位が同率2つで12位から。

12位「水谷選手とだから勝てた」伊藤美誠(卓球)8%

 卓球の混合ダブルス準々決勝、ドイツ戦にのぞんだ水谷隼と伊藤美誠のペア。しかし、大苦戦を強いられる。3-3で迎えた最終ゲーム、最大7点差まで離され、絶体絶命のピンチをむかえる。伊藤の表情が曇るなか、水谷が驚異の追い上げを見せ、大逆転勝利。

 伊藤は試合後、「水谷選手とだから勝てたなとすごい感じる。諦めない気持ち、声も一本一本かけてくれたし、顔つきもそうです」と水谷への感謝を口にした。

12位「後藤が顔面蒼白で」上野由岐子(ソフトボール)8%

 7月27日、アメリカとの決勝戦。エースの上野由岐子は最終回となる7回に、「リエントリー」(※先発の選手は1度だけ再出場できる)制度でリリーフの後藤希友からマウンドを託された。上野は優勝後のインタビューで、そのときの心境を次のように振り返った。

「リリーフで投げてくれた後藤が顔面蒼白で、いっぱいいっぱいで投げてくれたのを見て、逆に自分がやるんだと奮い立たせてもらった」

 Twitterでは、これまで全くプレッシャーを感じていることを見せなかった若干20歳の後藤の奮闘ぶりを称えるとともに、最後まで頼もしかった上野に対して「さすが」という声が多く出ていた。

14位「2人で最高に輝けた1日だった」阿部一二三(柔道)7%

 7月25日、柔道の阿部一二三と詩の兄妹が同日金メダルを獲得するという快挙を成し遂げた。表彰式のあと、兄妹でインタビューを受けた際に、一二三は「2人で最高に輝けた1日だった」と話した。また、お互いにとってどのような存在か問われると、「本当に頼もしい妹だし、柔道家として尊敬する妹です」と一二三。一方で詩は「やっぱり最強の兄だなと思います」。

 SNS上には「兄妹で金メダルすごすぎる」「世界一の兄妹」などと、2人の絆を称賛するコメントが多く見られた。

14位「鬼やばい」瀬尻稜(スケートボード解説)7%

 堅めのスポーツ中継でお馴染みのNHKだが、今回から新種目として登録されたスケートボードの解説で「やっべ~」「ハンパない」「アツい」などのフランクな口調で注目を集めた瀬尻稜さん。なかでも「これは鬼やばいッス」との発言に、視聴者は面食らった様子。Twitterでは「クセになる」などの声が相次いだ。

16位「投げられなくなるまで絶対に投げてやる」上野由岐子(ソフトボール)6.5%

 2008年の北京オリンピック以来、13年ぶりにオリンピック種目となったソフトボール。決勝戦でアメリカに2─0で勝利して金メダルを獲得した。

 その重圧は計り知れないが、優勝決定後のインタビューでピッチャーの上野由岐子は「これが自分が背負っているものだと思っていた」としたうえで、「このマウンドに立つために13年間、いろんな思いをして、ここまで来た。投げられなくなるまで絶対に投げてやるという思いだった」と振り返った。

17位「本当に夢みたい」大橋悠依(水泳)5%

 今回、競泳の女子400メートル個人メドレーに続き、200メートル個人メドレーでも金メダルを獲得するという快挙を成し遂げた大橋悠依。初のオリンピック出場で2冠を達成した大橋だが、レース後に「本当に夢みたい」と笑顔で語っていた。

18位「ゲシる」勅使河原大地(BMX解説)4.5%

18位「キャンキャン」勅使河原大地(BMX解説)4.5%

 東京オリンピックからの新種目、自転車・BMXフリースタイルからもランクイン。男女ともに7月31日がシーディングラン、8月1日に決勝が行われた。スケートボードと同様に、BMXも解説の言葉からSNSに火がついた。

 解説を務めたのはプロライダーの勅使河原大地さん。ジャンプして着地する際に後輪が台についてしまうミスの「ゲシる」や、それとは逆に上手く着地する「ビタ着(ちゃく)」などの専門用語が話題に。ほかにも片足をペダルから離して、逆側に足をまたいで伸ばす「キャンキャン」という技の名前も注目を集めた。

20位「彼、スケボー上手いっすね」瀬尻稜(スケートボード解説)4%

 7月25日に開催されたスケートボードの男子ストリートで見事、金メダルに輝いた堀米雄斗。解説の瀬尻稜さんが堀米の技巧を評する際に、サラリと「彼、スケボー上手いっすね」と話した。その瞬間にTwitterでは「この解説好き」「面白い」「最高」などの声が続出した。

 ——東京オリンピックも残りわずかとなってきた。果たして、あとどれだけの名言が誕生するのか。期待して観戦したい。

【調査概要】

調査方法:アイブリッジ(株)提供の「リサーチプラス」モニター(30~49歳男性)に対してアンケートを行い(複数回答)、その結果を集計したものです。

調査期間:2021年8月2日(月)

有効回答者数:30~49歳男性200人

<文/藤井厚年>

―[東京2020オリンピック]―

【藤井厚年】

Web/雑誌編集者・記者。「men’s egg」編集部を経てフリーランスとして雑誌媒体を中心に活動。その後Webメディア制作会社で修行、現在に至る。主に若者文化、メンズファッション、地下アイドル、社会の本音、サブカルチャー、エンタメ全般を取材。趣味は海外旅行とカメラとサウナ。Twitter:@FujiiAtsutoshi

2021/8/3 15:55

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