◆坂道シリーズから女優として羽ばたいたメンバー

　2011年に「AKB48」の公式ライバルとしてデビューすると、圧倒的なビジュアルや音楽性で48グループを抜き去り、今や国民的アイドルグループになった「乃木坂46」。さらに姉妹グループでもある「櫻坂46」（旧：欅坂46）、「日向坂46」といった坂道シリーズと呼ばれるグループも絶大な人気を誇っている。

　楽曲やパフォーマンス、バラエティ番組での活躍が目立つ彼女たちだが、最近ではOGメンバーを中心にドラマや映画、舞台などで俳優として躍進中。そこで、テレビドラマや映画に関わる業界人に坂道シリーズの中で“女優”として注目しているメンバーを聞いてみた。

◆ドラマでも躍進する白石麻衣と西野七瀬

　まずは、かつてキー局のドラマ制作会社で働き、現在はフリーのプロデューサーを務めるＡ氏に聞いてみた。

「元乃木坂46のエースで、モデルや女優として活躍する白石麻衣さん。圧倒的な知名度と清楚なビジュアルを生かしてさまざま作品でヒロイン役を務めてきましたが、演技力もなかなかのモノ。今年の夏ドラマ『漂着者』（テレビ朝日系、金曜午後11時15分～）では、謎の漂着者に翻弄されながらも不可解な事件を追う新聞記者役を務め、芯の通った正義感の強い女性を体当たりで演じており、ひきこまれました。

　将来的には、米倉涼子さんや篠原涼子さん、戸田恵梨香さんのような“強い女性”を演じられるトップ女優に育ってほしいですね。問題は、ヒット作に恵まれるかどうかになるかと……。個人的にはバラエティ番組やYoutubeチャンネルで見せるお茶目な一面を生かしたラブコメディなどにもトライしてほしいなと思っています」

　もう一人は、同じく元乃木坂46の人気メンバーだった西野七瀬さん。ヒットドラマ『あなたの番です』（日本テレビ系）でのサイコパス女子大生役が印象的ですね。

　ネットドラマ『ホットママ』（Amazon Prime Video）で新米ママ役を演じていましたが、演技面での総合力では白石さんにやや劣るかなというのが正直な感想。ただ、儚さの中に秘めたミステリアスな雰囲気は他の人気女優でも持っていない彼女の武器だと思うので、そういった役どころを極めていってほしい。

　坂道シリーズから大女優が生まれる日も遠くはなさそうである。

◆存在感が光る平手友梨奈

　この２人に続きそうな坂道シリーズ女優もＡ氏が挙げてくれた。

「存在感とオーラで飛び抜けている元欅坂46の平手友梨奈さんでしょう。特に印象的なのは映画『響-HIBIKI-』で演じた孤高の女子高生小説家役。インパクトのある目力と我が道をゆくエキセントリックな役どころは本人の内面とリンクしているのか、脳裏から離れなかったです。

　春クールの『ドラゴン桜』（TBS系）では表現力もアップしていて、今後どういった女優になっていくのか楽しみな存在です」

◆堀未央奈の存在感も負けてはいない

「他では乃木坂46の元メンバーである堀未央奈さんにも注目しています。放送中の『サレタガワのブルー』（TBS系、火曜深夜１時28分～）では不倫に興じる若妻を演じていますが、そこはかとなく漂う“影のある”雰囲気が魅了的。

　平手さんとはまた違う独特のオーラを持っている。映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』でも恋心に揺れる少女を繊細に演じており、女優として一本立ちできると思います」

　かわいさだけではない、キラリと光る存在感はこれからも磨かれていくだろう。

◆女優としてブレイク必至の伊藤万理華と深川麻衣

　続いて、乃木坂46好きを自称する某制作会社のキャスティング担当・B氏にも話を聞いた。

「音声アプリ・ポッドキャストと連動していることでも話題のドラマ『お耳に合いましたら。』（テレビ東京系、木曜深夜０時30分～）で主演を務める伊藤万理華さん。

　ショートカットと丸顔がチャーミングな彼女は、坂道シリーズのＯＧの中でも随一の表現力を持っていると思います。8月6日から公開される映画『サマーフィルムにのって』でも変わり者のオタク役を熱演しており、この先も映画を中心にオファーが殺到しているそうです」

　そしてもう1人は、演技力ピカイチの深川麻衣

「坂道シリーズで一番の出世頭は深川麻衣さんかな。映画祭で最優秀新進女優賞を受賞するなど、演技力はピカイチ。放送中の大河ドラマ『青天を衝け』（NHK、日曜午後８時～）にも出演しており、望まぬ縁談を結ぶ女性を持ち前の表現力で巧みに演じていて、どの役を取っても安定感がある。

　しっかりと台本を読みこんで役作りしてくれる子なので、業界人的には頼もしい存在ですね。『着飾る恋には理由があって』（TBS系）に出演していた「乃木坂46」の山下美月さんも華があるので、女優としての成長が楽しみな一人です」

◆櫻坂の小林由依と日向坂の渡邊美穂にも期待！

　最後に、アイドルのライブに足しげく通うアイドルライターのノダノゾム氏にも話を聞いた。

「現役メンバーでは、「櫻坂46」でエース的存在の小林由依さん。ドラマ『女子高生の無駄づかい』（テレビ朝日系）や『ボーダレス』（ひかりＴＶ）、映画『さくら』などに脇役ながら出演。セリフや表情の作り方は他の若手女優顔負けでしたし、もっと演技の機会を与えてほしい。

　バラエティ番組の印象が強い「日向坂46」の中では渡邉美穂さんに注目。メンバーからは“あざとい”とイジられることも多い彼女ですが、その演技力も一級品。「日向坂46」メンバーがメインキャストを務めたドラマ『声春っ！』（日本テレビ系）でもダントツのうまさを見せていました」

　話題性はもちろん、その演技力や存在感を認められ始めている坂道シリーズ出身や現役メンバー。ぜひこの夏はアイドルファンでないアナタも、破竹の勢いで活躍する彼女たちの演技面にも注目してみてほしい。

＜文／木田トウセイ＞

【木田トウセイ】

テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。