『ナイト・ドクター』キンプリ岸優太「誰かのためなら頑張れる」深澤役と「変顔ミジンコ」の覚悟

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ドラマ『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)がスタートした。24時間365日どんな患者も受け入れるために作られた、夜間救急専門の医師たちの青春群像医療ドラマだ。年齢も性格も価値観も全く異なる医師たちが集まったところから物語が始まっているのだが、中でも救命経験のない元内科医・深澤をKing&Princeの岸優太(25)が演じる。どう演じるのかとても楽しみだった。

■ 岸優太の芝居に期待する理由

 深澤を演じる岸は、2018年にKing&Princeとして『シンデレラガール』でデビュー。アイドルとしてテレビや舞台で活躍していて、とりわけバラエティ番組での活躍が目立っているが、実は俳優としてのデビューは2013年までさかのぼる。

 俳優デビューとなった『仮面ティーチャー』(2013年/日本テレビ系列)では、クラスを支配する“M4”の一員である獅子丸役で、武器はスピードで、宙に放り投げたペットボトルが地面に落ちるまでに相手をボコってしまう程に喧嘩が強い。孤児院育ちで里親に引き取られたが、虐待まがいの行為をされて大人を信用することができなくなったという暗い過去を持っており、信頼できる親友は、命を懸けてでも守ろうとする熱い男を演じた。

 翌年に出演した『近キョリ恋愛 ~Season Zero~』(2014年/日本テレビ系)では、幼馴染の高校生3人のうちの一人、鮎川奏多を演じた。奏多は幼馴染の女の子に恋心を抱いているのだが、その子は幼馴染の別の一人に片思いをしている。彼女の笑顔が見たくて変顔をしたり優しく慰めたりする、明るくて切なくてという「いい人ポジション」を好演していた。

 その後もコンスタントに映像作品に出演をしており、『お兄ちゃん、ガチャ』(2015年/日本テレビ系)では、理想のお兄ちゃんを召喚できる「ガチャコン」で引き当てられたトイ役で、家族には優しいのに引き当てた本人の女の子にはあまり優しくない、謎の多い人物を演じた。また、番組内スペシャルドラマ『大江戸ロボコン』(2017年/NHK)では、ロボットコンテストの出場を目指す高校生・将也役で、タイムスリップ先の江戸時代でからくり人形師に出会い成長する姿を熱演した。

 そして、2021年、連続ドラマ出演は実に6年ぶりとなる『ナイト・ドクター』に出演することになった。

■岸は与えられた役に向き合う本気度がすごい

 岸がCDデビューした2018年、映画『ニセコイ』に舞子集役で撮影していた現場にテレビの密着取材番組が入っていて、岸が芝居に対する思いを語っていた。主人公の親友で、いつも明るくて女子にもてたいお調子者の役。スチール撮影では変顔したり眼鏡をずらしておちゃらけたりとカメラマンの要望以上に応えていたのに対して、

「役のためでしたら、何でも。何でもしますよってぐらいの覚悟ではいますよね。別に変顔くらいじゃもうミジンコレベルっすよ」

 と話している。与えられた役への向き合い方の本気度がすごいのだ。

 役に対する思い入れが強いのは、2018年のアイドル雑誌の表紙を飾った際のエピソードで「4年前のドラマで演じた役をイメージしながら撮影に臨んだ」として、パンダの着ぐるみで笑顔のカットが採用されている。こんなところからも、岸が演じた役を大切にする人だということがよくわかる。

 そんな岸が、『ナイト・ドクター』では、医師を演じるという。両親を亡くしており、疾患を持つ妹を大切にする内科医の役。期待感いっぱいで初回放送の時を待った。

■岸の独特な間合いと苦悩の表現に引き込まれる

 深澤は、救命医らしくない医師だ。そもそも内科医として勤務しており、救急診療でボロボロの同僚を冷ややかに見ていた。いざ自分がナイトドクターになっても、どこか他人事だし身が入らないから足手まといになってしまう。救命の技術も経験もあって使命感に燃えている美月(波瑠/30)や、冷静に患者の状態を判断し処置にあたる成瀬(田中圭/36)、重傷患者に冷静に対応し機敏な高岡(岡崎紗絵/25)に比べると、現場のど真ん中で棒立ちだし悲観的な言葉しか出てこない。

 あまりに無力すぎて、本当に大丈夫か、といち視聴者ながら心配になるほどだ。

 給料がもらえればよくて、波風が立たない静かな生活を送りたい深澤にとっては、生死の判断を一瞬で行い、時に全力を尽くしても救えない命があることを目の当たりにするのは、性分に合わないと思うだろう。

 固まった心で体も動かないといった佇まい、戸惑いの表情は深澤の立場をより際立たせた。また、院長に救命は無理だ、と話す時の戸惑いながらもストレートに伝える間の取り方が絶妙で、深澤の苦悩がひしひしと伝わってきた。こんなふうに考えてしまうのも分かると思える、説得力のある芝居だった。

■深澤の成長と岸の穏やかな芝居に注目

 深澤を変えたのは、何よりも大切にしている妹だった。救急受け入れを断ったのが妹だと知り、非常に危険な状態だったのを見て、医師でありながら自分の無力さ不甲斐なさに涙を流した。

「もう誰も助けてくれないかと思った。怖かった」と泣く妹を見て、夜間救急の必要性や重みが身に染みたのだろう。不器用で、技術もないけれど、救命の現場から逃げたくないと思えるようになったのはひとつの成長だ。

 吹っ切れたような明るい表情なのに、静かな人であることを感じさせる佇まいや、患者思いで些細なことも見逃さないような包容力のある話し方が、深澤らしいと思わせる岸の芝居が心地いい。

 いくつもバイトを掛け持ちしながら医大を卒業した苦労人であり、自分のためには頑張れなくても誰かのためなら頑張れる深澤が、このチームで役に立つことがいつかきっとある。内科医の経験が生きたエピソードはもちろん、医師として成長していく様子を見ていきたい。

(文・青石 爽)

『ナイト・ドクター』は、夜間救急専門の「ナイト・ドクター」として勤務する医師たちを描いたオリジナル脚本。柏桜会あさひ海浜病院は『365日24時間、どんな患者も断らない医療』を目指し、崩壊寸前の救急医療を立て直すべく、新たな働き方として夜間救急専門のチームを設立することになり、救命に情熱を持っている朝倉美月(波留/30)、美月の先輩救命医で現実主義の成瀬暁人(田中圭/36)、元内科医で病気がちな妹を大切に思う深澤新(岸優太/25)、研修医上がりでムードメーカーの桜庭瞬(北村匠海/23)、仕事もプライベートも完璧な高岡幸保(岡崎紗絵/25)、技術も皮肉も一流で指導医の本郷亨(沢村一樹/53)といった、年齢も性格も価値観も全く異なる医師たちが奮闘する青春群像医療ドラマである。

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  • 7/2 18:00
  • 日刊大衆

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