新人時代の「仕事ができない」無力感を抜け出す方法

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―[魂が燃えるメモ/佐々木]―

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第260回

◆「俺はこの会社にいらないんじゃないか」

 こんにちは、佐々木です。今回は「新人時代の無力感」について話します。

 私が相談を受けた社会人二年目の男性は、自分の仕事ぶりに悩んでいました。不慣れな会議進行を1ヶ月に渡って任され、仕事のできる先輩からダメ出しを繰り返されたことで、「俺は(この会社に)いらないんじゃないか」という考えから抜け出せなくなったのです。

 不慣れな新人が仕事の適性について思い悩む。これはあらゆる職場で起きています。自分はその仕事に向いていないのだろうか。それとも、ただ慣れていないだけなのだろうか。それを想像だけで判断するのは困難だからです。

 結局転職したから、その仕事は向いていなかった。とにかく続けていたらできるようになったので、慣れていないだけだった。そうした結果論で納得するしかない部分がたくさんあります。

◆仕事の悩みは人間関係

 しかし、この相談者が悩みから抜け出すために、適性の有無や判断は関係ありませんでした。本当の「悩みの種」は別の部分にあったからです。

 その別の部分とは人間関係です。相談者は仕事のできる先輩からダメ出しを受けた時に、「こんなこともわからないとか、お前ヤバイよ」と人格攻撃を受けていました。それが落ち込みの本当の原因だったのです。

 この相談者は先輩との関係から、「自分はいらない人間なのではないか?」と悩むようになりました。その悩みから抜け出すために取り組むべきなのは、仕事の適性の判断なのか。それとも先輩との人間関係なのか。人生相談では後者を選択します。

 話を詳しく聞いてみると、その先輩は明らかに天狗になっていました。仕事ができる20代後半にありがちな状態です。確かに個人プレーの部分では秀でているのかもしれません。しかし、会社で働くのはチームプレーです。にもかかわらず、「こんなこともわからないのか」「お前ヤバイよ」といった非教育的で不必要な毒を吐く。本当に仕事ができる会社員はそんなことはしません。

 とはいえ、20代後半の若者が天狗になって、後輩にイキり散らすのもよくわかります。完璧な人間などこの世にいないからです。この種の人は30代になると自分が調子に乗っていたことに気づいて反省し、後輩との接し方も丸くなります。

◆新人と先輩を「仕事の出来」で比べること自体ナンセンス

 心の問題には、こうした人間関係の説明が効果的です。自分が完璧ではないように、相手もまた完璧ではない。この認識が相手に対する誤った幻想を壊してくれるからです。

 相談者はその先輩について、「仕事のできない自分」と「仕事のできる相手」という関係で考えていました。この幻想を前提にしてしまったら、どれだけ色々考えても、「自分が間違っている」という結論にたどり着いてしまいます。だから、苦しむことになるのです。

 その先輩は5歳年上。相手の方が仕事ができるのは確かです。しかし、相談者は入社2年目。しかもコロナ禍によるリモートワークが原因で、実質まだ一年も働けていません。そんな新人と先輩を「仕事の出来」で比べること自体がナンセンスです。

 本当に仕事ができるなら、後輩にイキり散らしたりしない。そう意識させた時に、相談者はその悩みから抜け出すことができました。それと同時に別の人物のことを思い出しました。

◆会社の先輩と恩師の違い

 その人物とは高校時代の恩師です。その恩師はスポーツの世界では名が知られていて、指導者を引退した時に次のようなコメントを残していました。「スポーツで強くても、人間性が欠けていることはある。しかし人間性が優れているならば、スポーツも強い」。

 その恩師のことを意識したとき、相談者は「自分は後輩がわからないことを丁寧に教えられる人間になろう」という心構えを持ちました。そしてその先輩に関しては、仕事上の指摘は素直に受け取る、人格攻撃は「ああまた調子に乗ってるな」とスルーする、という方針を立てました。

 仕事ができる先輩を意識していた時は、ネガティブな思考と感情が止まらなくなる。高校時代の恩師を意識した時は、「自分はこういう人間になろう」という心構えを作ることができる。このように心は人間関係でできています。そして、その人間関係を意識することで、心を安定させることができます。

 自分はこの仕事に向いていないのではないか。新人時代に仕事の適性について悩んだら、悩むきっかけになった人間関係を思い出してみてください。

 相手が理不尽な要求をしているのではないか。相手の話を真に受けず、話半分で聞いてもいいのではないか。相手との関係を見直すことで、悩みに答えを出すのではなく、悩みそのものを解消できるかもしれません。

―[魂が燃えるメモ/佐々木]―

【佐々木】
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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