野草で食いつなぐ日雇い労働者。週一ペースの採取は「スーパーに行くノリ」
ウィズコロナ時代、突然の失職や休職を余儀なくされるリスクが顕在化。いきなり無一文になってしまったら、一体どうやって生き延びればいいのか――。日雇い労働者として働きながら、野草を採取して生活している男性に取材した。
◆野草で食いつないで米はアメリカ産
郊外の集合場所に自転車で颯爽と現れたのは、月に10日ほど派遣の日雇いで働き、月収は約15万円だというたむりんさん(54歳)。「多くて1万5000円程度」という1か月の食費にしては低い金額の内訳には、一般人が手を出さないライフハックがあった。
「野草を採取して食費を浮かせています。体調を崩して前職の不動産関係の仕事を退職してから、仕事への意欲がなくなり、現在はあまり働きたくない。生活のために日雇いの仕事でお金は稼いでいますが、削れる食費は削っていこうと思い立ち、野草の採取を始めました。道に生えている野草なら0円で手に入りますからね」
たむりんさんが野草採取を始めたのは5年ほど前。もちろん最初は知識がない状態からのスタートだったが、スマホを駆使すれば問題はなかったという。
「ネット上には、野草採取で生活する人のSNSなど、多くの情報があるので野草の特定は簡単です。地域や季節によって採れるものが替わるので、それらの情報を参考にしつつ、実際に採れたものは記録して年間のスケジュールを作り上げました。特別なスキルは必要なく、ネットや書籍で知識さえ仕入れてしまえばいい。これほどローコストな食材はないです」
◆生き抜くための食生活
野草を採取するのはあくまで食料確保が目的なので、できるだけ効率的に採取したいと言うたむりんさん。決して遠出したりせず、自分の生活圏で採取を行うことが大切だと語る。
「狙う野草はできるだけ家の近所に生えていて、多くの量を簡単に採取でき、アク抜きの必要がなく、下ごしらえに手間がかからないもの。加えて薬効があればなおよし。シーズンにもよりますが、今は週に一回くらいのペース。スーパーに買い物に行くようなノリです」
もちろん、不法侵入にあたるので、他人の私有地での採取は厳禁。たむりんさんは、路上や公園などの公有地で採取を行う。
「犬や猫などの糞尿はどうしても気になるので、重曹で汚れを落としてから調理にかかっています。野草は味が濃く、クセが強いものもありますが、『市販の葉物野菜に比べると栄養価が高い』と本で読み、健康面でも意識して食べるようになりました」
◆炭水化物は業務スーパーでまとめ買い
しかし、栄養価が高いとはいえ野草だけで空腹を満たすことはできないはず。ほかの食材はどこで調達しているのだろうか。
「生きるために必要な炭水化物はAmazonやメルカリで玄米や、業務スーパーで大容量のものを買います。5㎏1200円のアメリカ産の米『カルローズ』は味も悪くないし、よく野草と一緒にお茶漬けにして食べています。炭水化物だけでなく、国産のゴボウ4㎏を99円で入手したこともあったので、業務スーパーは店内をくまなくチェックしています」
路肩の草すら食料にする、これが真のサバイバル術だろう。
◆業務スーパーで買えるおすすめ炭水化物
・カリフォルニア米「カルローズ」
「業務スーパーで売られている米の中でも群を抜いて安く、味も悪くない。素晴らしいコストパフォーマンスです」(たむりんさん・以下同)
・スパゲッティ乾麺太さ1.2mm
「豊富なラインナップがありますが、個人的には細めのものが茹で時間も短く好み。5㎏入りなのでボリュームも大満足です」
・小麦粉
「生きることだけを考えれば一番安い栄養源。調理にも使う小麦粉は低コスト飯に必須。業務スーパーのものは安いので、こちらもコスパ◎」
◆たむりんさん一押しの野草3銘柄
・ノビル
葉は見た目・味ともにネギやニラに近く、球根も食べられる。スコップで掘り起こして採取するのがおすすめ。一般的には春が旬
・ヤブカンゾウ
えぐみや苦味が少なく、おひたしやスープで食べることが多い。旬は違うが毒草であるヒガンバナ科のものと間違えないように注意
・ヨモギ
繁殖力が強く、本州以南で多く見られる。健胃、下痢、貧血などに対して薬効があるとされる。トリカブトと似ているので誤食に注意
◆俺流生存戦略
情報収集を怠らずに野草は効率的に採取。炭水化物は大量買い
【たむりんさん(仮名・54歳)】
家賃3万8000円のマンションに住む日雇い労働者。自身の「ゴミ派遣労働者のブログ」で近況も記している
<取材・文/週刊SPA!編集部>
―[無職男のサバイバル術]―
いち(
5/13 16:17
そこら中に種蒔いたらどう?