「私の年収に男性が引いちゃう」エリート女性の勘違い。敗因は収入じゃない

 こんにちは。恋愛婚活コンサルタントの菊乃です。

 共稼ぎが主流となった今。婚活の場で時々耳にする「女性のスペックが高いと男性が引いちゃう」というアドバイスは本当なのでしょうか。

 ブライダルジュエリー専門店の銀座ダイヤモンドシライシが20~39歳男性500名を対象におこなったアンケート調査(2018年実施)では、「結婚相手女性の方が年収が高かったら気にするか?」という質問に、男性の7割以上が「気にしない」と回答。女性の方が年収が高いことは、必ずしも結婚のマイナスにはならないという結果が出ています。

 婚活業界には、昭和の結婚観でアドバイスする仲人も多いので注意が必要です。

 ふっくらした女性の優子さん(仮名・35歳)は結婚相談所に入会したものの、10歳以上年上の男性や、会いたいとは思えない外見の男性、年収が低い男性からしか申込がなく誰にも会わず退会したそうです。自分の希望する男性は紹介されず、改善をお願いしても「優子さまだとスペックが高すぎて男性が引いちゃうのかもしれませんね」と言われてしまったとか。

 その結婚相談所は「高学歴向け」とうたっていたのですが、正確には「高学歴男性と結婚したい女性向け」だったようです。

◆年収を公開したら、金目当ての男性ばかり寄ってくる?

「初めは年収と出身大学を公開したら年収が低い男性ばかりから申込が来ました。それで、お金目当ての男ばっかり来るのは困るから年収と大学は非公開にしたんです」

年収低いってどれぐらい?

350万とか400万とかです

「その人たちの年齢は」

「うーん。30代だったと思います」

「そんなものですよ。東京で働く男性の平均年収は400万円ぐらいですが、年収1000万円を超える人たちもいての平均値だからボリュームゾーンって300万円台じゃないでしょうか。優子さんと比べたら少ないかもしれませんけど、特別その男性が低いわけじゃないと思いますよ」

 思った通り、優子さんは同年代男性の収入についてかなり誤解しているようでした。

「そうなんですか。でもその結婚相談所は、男性会員の6割以上が年収500万円以上だってうたってるんですよ」

「優子さんが入会していた結婚相談所って○○○に加盟しているところですね。あちらって男性会員が約3万人ぐらいいるんですよ。3万人のうち39歳以下の人数って1万人ぐらいで、あとの2万人が40歳以上なんです。年齢が高かったら年収も上がるんですよ。30代男性で500万円以上って男性はもちろんいるけど人気あるからライバルも多いんです

「え! そんなに年齢高いんですか!」

◆「優子さん、痩せる気ない? 服装も変えませんか?」

 優子さんは35歳ですが、この年齢のとらえ方は男女で全く異なります。

「そう。女性と違って30代で男性は焦らないんですよね。40代で婚活を始める遅い人は多いですよ。ただ、その結婚相談所にも問題はあるんだけど……男性だって選ぶんですよ。若くて美人でスタイルよくて正社員で働いているアラサー女性と比較されたら、優子さんを選ぶメリットってどこ?」

「え! メリットって言われても。頑張りやなところ?」

「う~ん。誰とも会ってないし、プロフィールだけで比較検討したら優子さんのメリットって男性に経済的に依存するつもりがないところだけじゃないでしょうか」

「だから、金目当ての男が寄ってくるんですね」

 ここで私は胃がキューっとしました。そう解釈したか! 金目当てって。

「優子さん、痩せる気ない? せめて、メイク習って服装も変えませんか? 今の容姿だと年収や学歴以前に、男性は写真だけで『NO』の方が多いよ

 言いたくないけれど、指摘しなければ本人は気が付かないのだから、伝えることを伝えました。

◆エリート女性に、今まで誰も指摘しなかったこと

 優子さんは背中、脇にぜい肉がついたやや太めの体型です。そういう体型だって、メリハリが出るようにファッションを工夫したり、ヘアメイク次第で素敵に見せることもできる。または「食べることが大好きだから一緒にご飯を食べられる人に出会いたいです」と明るく元気な食いしん坊キャラで特定ターゲットを狙うこともできます。

 しかし、優子さんはそうではありません。化粧も薄いし、髪もペタッとして、服もバックも黒、茶、紺ばかりと地味で、表情も少ないのです。

 全体的にもっさりした女性で、結婚相手としてプラスの要素が「しっかり手堅く働いていること」ぐらい。男性も女性も、金しかないように見える人に、金目当ての相手が寄ってくるのは当たり前。

◆エリート女性に、今まで誰も指摘しなかったこと

 一定の年齢を超えた女性に外見の指摘をする人はいないし、自分でも気が付きにくいでしょう。結婚相談所も基本的には容姿の指摘はあまりしません。本人がえり好みをしなければどんな外見の方でも結婚に至ることはありますし、外見の指摘はクレームになったり、本人を傷つけたりしてしまう可能性が高い。

「私のどこを改善すると結婚できると思いますか?」まで突っ込んで質問しないと、外見面については誰もアドバイスしないはずです。

 優子さんはよく言えば自己肯定感が高いのだけれど、自分が他人からどう見えているかを全く気にしたことがないようでした。

「就活なら何かの優れた能力があればそれで採用されるんだけど、結婚相手って優れた長所があることより『嫌だな』って思う要素が少ない方がいいんですよ。居心地がいい相手で嫌じゃなかったらずっと関係は続きませんか? 優子さんも相手から『嫌だな』って思われる要素を潰していきましょう」

「分かりました」

 幸い、外見がよくないから選ばれないということを伝えてもそんなに落ち込まないタフさがよかったです。

◆外見が変わって初めて同僚に「前はひどかった」と言われる

 優子さんは問題解決能力が高く、どこが問題なのかさえ分かれば行動が早かったです。パーソナルトレーナーを見つけてダイエットを開始し、服は少しでもウエストが分かるようなものに買い換えました。

 メイクも習って、皮脂でペタッとしがちだった髪も美容師おすすめのシャンプーに変えてふんわりして、一気に垢抜けたのです

 同時に同僚からの扱いも変わりました。

「そういう服の方がいいよ」「前はひどかった」「明るい色を着た方がいいよ」と、アラフォーにして初めて外見について言及されるようになったそうです。

「前の私は外見がひどいのに、年収が高いから男が引いてるんだって思い込んでました。たまたまいい会社に入れただけなのに、自分のレベルと勘違いしてイタイですよね。今まで会ってみたいと思ってくれた男性のことも、偉そうに断ってほんと失礼な女だったと思います」

 それから優子さんは結婚しました。

「職場は既婚者ばかりで出会いがない。独身はいても変な人ばかり」と言っていたのに、なんと職場結婚したそうですよ。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。

<取材・文/菊乃>

【菊乃】

恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt

2021/5/1 15:47

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