「退職金2100万円でも老後資金が不安」シルバー人材派遣のバイト生活
4月1日より「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、より高齢者が労働に駆り出される時代が到来した。現在、実際に働く高齢労働者たちは何を感じ、現役世代は何を準備すればいいのか? 実際に60歳で定年を迎えた後、今もさまざまな職場で実際に働き続ける当事者たちの声を紹介していく。
◆再雇用終了後はシルバー人材派遣のバイト生活に
定年を機に転職をする人も多いが、再雇用期間が終わり転職を余儀なくされることも。元食品メーカー社員の佐々岡道雄さん(仮名・69歳)は60歳から嘱託職員として5年間働くもここで終了。
「まだ隠居できない」とシルバー人材センターに登録し、現在は倉庫管理の仕事に就いている。
「会社の退職金は2100万円、再雇用中も手取りで18万円もらっていましたがローンの残高が800万円ほどあり、老後資金が不安でした。それで体が動く限りは仕事をすることにしました」
◆「仕事内容が単調すぎるのも逆に辛い」
仕事は定期的に広い倉庫内を巡回するほかは、受付として事務所に待機しているだけ。ただし、訪れる人も電話もめったにないとか。
「これもれっきとした管理業務なのでしょうけど、さすがにやることがなさすぎて。でも、シルバー人材センターで紹介してもらえる仕事は軽作業だったり、今やっている管理人のような比較的楽な業務が多いのも事実。若い人たちのようにバリバリ働けと言われても困りますが、仕事内容が単調すぎるのも逆に辛いですけどね」
ただし、一番の不満はフルタイムで働ける仕事が少ないこと。今の仕事も6時間勤務の週3日で、収入は月7万円程度だ。
◆70代になった途端に求人数は激減
60代ならまだ派遣可能な仕事は多いが、70代になった途端に求人数は激減。自身も今年で70歳を迎えるため「今の職場が最後になるかも」との思いはある。
「今も働き口があるのは素直に嬉しいですけど、それでも老後の雇用には70歳という年齢で区切りがあるように感じます。できるならもっと上の年齢層でも働ける求人を増やしてほしいですね」
以前に比べれば高齢者でも仕事ができる環境は整ってきたが、まだ十分とは言えないようだ。
<取材・文/週刊SPA!編集部>
―[[老後も働く]のリアル]―